天文学教育研究センター 概要・沿革

沿革

　　教育面においては, 東京大学大学院理学系研究科および理学部における大学院生,学部学生の研究指導と教育を天文学教室と協力して行い, 次世代の研究者の養成にあたっている.

　　研究面においては, 現代天文学の主要分野,主として電波天文学と光学赤外線天文学の分野で, 銀河の構造・活動・進化, 宇宙論, 恒星物理学, 星間物理学の先端的な研究を行っている.装置開発をふくむ萌芽的基礎的な研究も進めると同時に, 国立天文台および宇宙科学研究所など大学共同利用機関と密接な関係を保ち, 地上観測装置およびスペース天文学において共同研究を推進し，諸大型装置の建設と計画に積極的に参画している.また, 国内はもとより, 諸外国の研究機関とも国際共同研究を進めている.

　　平成10年度には東京大学の大学院重点化構想に基づく大学院部局化にともない，大学院理学系研究科附属天文学教育研究センターとして大学院化した.これに伴い, 教官・職員は大学院が主務となり学部が兼務となった.

概要

   電波天文学分野

• 系外銀河・宇宙論 : 国内外の大型電波望遠鏡などを駆使した銀河系・銀河の構造と進化, 銀河における星形成および星間物理学, クェーサー・銀河中心活動の研究, 及び電波観測による宇宙論的研究.
• 星間物質・銀河系構造 : 独自に設計開発した広視野小型サブミリ波望遠鏡を，一台を長野県野辺山に, もう一台をチリのアンデス山中に設置．銀河系全域の大規模分子線サーヴェイ, 及び分子雲, 星形成領域, 銀河系中心領域の研究.

   銀河天文学分野

• 銀河・銀河系構造 : 星の計数観測による銀河系の構造及び表面測光による銀河構造の研究.
• 銀河の進化 : 銀河内に於ける元素合成, 星とガスの循環, ダストの影響を採り入れた銀河の化学・スペクトル進化モデルの構築と, それに基づいた観測的な銀河系及び系外銀河の形成, 進化, 星の生成史の研究.
• 観測的宇宙論 : 銀河進化モデルにもとづいた新しい赤外観測及びそれらに基づく銀河計数解析, 宇宙論モデルの研究．赤外線衛星ISOによる遠赤外線観測により宇宙初期の銀河形成ならびにクェーサーの研究.

   恒星物理学分野

• 星形成領域・高温度星 (赤外線天文学) : 新しい赤外二次元素子等を実用化した赤外カメラ, 赤外分光装置の開発, 及びこれらを用いたOB型星,星形成領域, 分子雲, 暗黒星雲などにおける物理過程の研究.
• 低温度星 (光学赤外線天文学) : 地上およびスペースからの光・赤外観測による, 赤色(超)巨星, 炭素星, AGB星, 晩期型(準)矮星, 褐色矮星等の大気構造, 質量放出, 化学組成, 進化などの研究.

   木曽観測所

• 銀河系内天体の分布と進化及び銀河系構造の研究.
• 系外銀河の構造と進化及び観測的宇宙論の研究.