4. CISCOの今後

Fig 6
[図6] 2.1μm帯で見たすばるディープフィールド。これまでに撮った 画像のうち、露出時間にして3時間半分のデータをまとめたものです。暗い天体 が数多く写っていますが、これらのほとんどは数億光年以上も彼方の銀河です。

ファーストライトからはや半年、CISCOはその後大きなトラブルに見舞われる こともなく順調に観測を続けています。

特に観測時間の大部分を注ぎ込んでおこなっているのが『すばるディープフィー ルド』と名付けられた領域の観測です。 この領域をすばるのあらゆる観測装置で集中的に観測して、宇宙の歴史を明らか にしていこうというプロジェクトの一環として、 CISCOはすでに20時間以上の観測時間をかけてこの領域の露出を行っています。 最終的には1.2μm帯と2.1μm帯でそれぞれ15時間ずつの露出を行い、 世界で最も暗い天体まで写った画像を作ることを目標にしています。

CISCOの観測は6月の末でしばらくお休みです。このあと望遠鏡の主鏡の再蒸着や 主焦点ユ ニットの調整などが行われ、CISCOは11月の半ばからいよいよOHSのカメラとして 本来の場所へと収まる予定になっています。 おそらくまた、様々な予期しないトラブルに悪戦苦闘することになるでしょう。

装置開発は休む暇のない装置との格闘なのです。




Author
ただいま観測中
[著者紹介] もとはら けんたろう:1973年 京都生まれ。東京大学理学部天文学科卒、 京都大学大学院理学研究科 博士後期課程に在学中。理学修士。 CISCOのエレクトロニクスとソフトウェアの開発に従事し、宇宙初期の銀河生成の観測を行っている。(1999年現在)
motohara@cr.scphys.kyoto-u.ac.jp
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1. 序