炭素星で既に知られている低マスロス率現象は O-リッチ星にも現れる。 これは一般的な現象なのである。マスロス率は熱パルスの位相に依存する のではないか。 | マスロス率は熱パルスの際にピークに達し、間パルス期に低下し、停止する。 低マスロス期は脈動の低下または停止と一致するのかも知れない。 |
Willems, de Jong 1986 はシリケイト炭素星の説明として、O-リッチから C- リッチに化学組成が変わった時に、脈動が止まり、その結果しばらくマスロスが 停止すると述べた。 | 一方、 Olofsson et al. (1990) はヘリウムシェルフラッシュが炭素星分離シェルの原因とした。ここでは その説を O-リッチ星に適用する。 |
![]() 2.1.選択基準可視 IRAS 星の選択IRAS PSC から FQ(12,25,60) = 3 で、可視同定のある 3728 星を選んだ。 そこから、 M, S, N 型と分かっている星を残すと 1969 M-星、382 炭素星、 96 S-星になった。 シラスの除去 分離シェルの特徴は強い F60 であり、シラスの影響が心配である。そこで、 CIRR3 > 100 MJy sr-1 の天体を除去した。また、F60 が信頼 できない5星も除去した。これらの措置で残ったのは 1842 M-星、320 C-星、 77 S-星であった。 図1にはそれらを二色図上にプロットした。 2.2.F60超過図1上に Rowan-Robinson et al 1986 のモデル線を引き、その上にフラックス 較正不定性のラインを加えた。さらにその上を F60 超過星と定義する。ただし、 濃い炭素星では Chan, Kwok 1990 の Q(λ) ∝ λ-1.5 で外挿した。( もっともな定義の仕方である。シェルモデル線が C-リッチと O-リッチで違う のはオパシティの性質だと思うが、簡単にはどこか? ) 136 C-星と 98 M-星が F60 超過となる。 |
![]() 図1.可視 C, M, S 星の IRAS 二色図。CIRR3 < 白丸= 100 MJy str-1 の星。黒丸= CIRRS Flag good の星。十字=シリケイト 炭素星。実線= Rowan-Robinson et al 1986 のマスロス星モデル。 短破線=炭素星に対する彼らの延長。両側の長破線= IRAS フラックス較正の 不定性。上側長破線の上部=F60 超過星。 |
領域 VI VIa 領域にある星, C21 = -0.9 カラー, は光球を表す。大きな C32 の説明 として、 (i) 星が分子雲に埋もれている。 (ii) ダストオパシティの形が奇妙。 (iii) 30 - 100 K の冷たいシェルに囲まれている。 VI だが、C21 がより赤い (i) 星が分離雲に囲まれている。マスロス停止から 500 年以内で、 F25 が かなり強い。 (ii) 二重分離シェル。遠い方は数千年経過。近い方は復活したマスロス。 領域 I 領域 I には炭素星が完全に欠落している。炭素星はすべてマスロスの過去 を持つことを意味する。 |
非連続マスロスの割合 サンプルでは、F60 超過 M-星は 5 % だが、C-星では 42.5 % である。 ただし M-星サンプルには早期 AGB 星や RGB 星も多いので、単純な比較 は無理がある。 不規則変光星 Willems 1988 は F60 超過炭素星は主に不規則変光星であることを見出した。 98 個の F60 超過 M-星のうち、14 個がミラ、9 個がSR,12 個は不規則型 である。 (98-14-9-12=63 M−星の変光は 不明なのか? TMMT でカバーできるのか?) 図1の C21 ≥ -0.8, C32 ≤ -0.3 の部分には、分離シェル M-星が 39 個含まれ、その中に 14 個のミラ型星が存在する。その他の 39-14 = 25 星のうち、8個は SR で、7 個が不規則型、10個が不明である。 その上、そこにあるミラ型星は全て C21 ≥ -0.75, C32 ≤ -0.7 で 領域 VII の上辺付近にある。内 5 個は LRS が得られていて、熱いダスト の存在が示されている。つまり、それらは再びマスロスを開始していると 解釈される。 非変光の可能性が高い 逆に C21 ≤ -0.8 または C32 ≥ -0.3 の 59 M-星は非マスロス星に 違いない。その内、セミレギュラー1個、不規則型5個で、他は不明である。 これらの分離シェル M-星の大部分が不規則変光星か, 非変光星である可能性は 高い。 |
変動マスロス マスロスは熱パルスの位相により変化している可能性が強い。間パルス 期にはマスロスがゆっくり低下するか、突然停止する可能性がある。 水素燃焼が再開すると、光度は再び熱パルス直前値へと復活し, 次の熱パルス、1 Mo で約 105 年後、までその値を保つ。 M-型星 通常は AGB 進化に伴い、脈動周期と振幅は増加していき、ミラ型星で 頂点に達すると考えられている。しかし、我々の発見は星の分類に、熱パルス 位相を考慮すべきであることを示す。つまり、間パルス期には無変光か不規則 変光し、熱パルスピーク時にはミラ型変光を示すのである。勿論 AGB上の進化に伴い平均マスロス率は変化して行く。しかし、この二つ の効果を分離することは難しい。 我々のモデルではパルス後の星半径が収縮する時期に周期は短くなる。 (ミラ型星がピーク期だけだと すると多すぎはしまいか? ) |
炭素星マスロス マスロス炭素星は一般に 10-5 Mo/yr の大きなマスロス率を示す。 我々は炭素星のマスロスはステップ関数型で、短いパルス期に高い値を取り、 より長い間パルス期にはマスロスがないか非常に低いというモデルを提案する。 AGB星一般マスロス AGB 星のマスロスは連続な現象でない。熱パルスの位相によりマスロスが変化 するというモデルが最も現実的である。 |