Carbon Stars and C/M Ratio in the WLM dwarf Irregular Galaxy


Valcheva, Ivanov, Ovcharov, Nedialkov
2007 AA 466, 501 - 507




 アブストラクト 

 マゼラン型矮小不規則 WLM 銀河(Wolf-Lundmark-Melotte) の豊富な炭素星 種族を同定した。深い NIR 観測でそれらの測光的性質を調べた。C/M = 0.56 である。  WLM 内の AGBs 分布は数百パーセクの大きさの恒星集団が二つある可能性がある。 WLM の HI 分布から N(HI)/E(B-V) = 60 1021 cm-2 mag-1 である。セファイド4つから出した距離指標 (m-M)o = 24.84 である。円盤の J バンドスケール長 は 0.75 kpc である。


 1.イントロダクション 

 Minniti, Zijlstra 1997 は V, I 測光に基づき、WLM メタル量を [Fe/H] = -1.45 とした。Hodge et al 1999 は HST 観測から、球状星団の [Fe/H] = -1.52 とした。  一方、Venn et al. 2003 は WLM 内 二つの青色超巨星の高分散分光観測から 「[Fe/H] = -0.38 という高い値を得た。この矛盾を解決するため、メタル量に 敏感な WLM 炭素星の観測は極めて重要である。


 2.観測とデータ整約 


図1.WLM のNIR 画像。当高線= HI マップ。

図2.測光エラー。



図3.J, Ks 光度関数。N = 1 平方分、0.2 mag あたりの星数。 実線=全銀河。破線=内側。点線=外側。一点鎖線="clear sky". 垂直線=完全性限界。

表1.WLM 555 星の測光データ。


 3.CMD 


図4.MKs - (J-Ks) CMD. 左:WLM. 右:"clear field" = 銀河の14.8' 南で、銀河星はない。. 等時線=0.01, 0.02, 0.03, 0.1, 1, 10 Gyr, Z=0.001.  


 4.炭素星の同定と C/M 比 


図5.WLM 炭素星の光度関数。実線=TRGB より上の炭素星の分布。 破線= Battinelli, Demers 2004 炭素星。

 過去の観測 

 Cook et al 1986 によると、WLM, IC 1613, NGC 6822 には異常に炭素星が 多い。Battinelli, Demers 2004 は CN/TiO フィルターを使い WLM を撮像し、 149 炭素星を検出した。しかし、M-型 AGB 星は一つも見つからなかった。 彼らは C/M = 12.4 を得た。

 J-Ks 境界法 

  Cioni, Habing (2003) が近赤外測光を用いて、マゼラン雲の炭素星を探した方法は、 NGC 6822 (Cioni, Habing 2005 J-K = 1.24, Kang et al. 2006), NGC 185 (Kang et al. 2005), NGC 147 (Sohn et al 2006. J-K = 1.28) に応用された。 AGBs のカラー分布にはある値ではっきりした不連続が存在する。図6の枠内 にあるように、TRGB より上の星に対しそれを C/M 分離に使用する。カラー 分離は (J-Ks)o = 1.20 で行われた。

 前景星の混入 

 分離線の左 M-星= 259 星、右側 炭素星=146 星である。この M-星は M0+ = M0 より先の全てが含まれる。同じ基準を "clear sky" に適用すると、 TRGB より上に 31 C 星と 19 M 星が検出された。この数字を考慮して、 炭素星 146 - 31 = 115 星、M-星 259 - 19 = 240 星とする。
("clear sky にある前景矮星?" )

図6.MKs - (J-Ks) CMD.点線= 25 % と 100 % 測光完全性ライン。 6黒四角=変光星。77 黒三角=炭素星(Battinelli,Demers 2004)。枠内=TRGB より上のC/M 分離に使用する AGBs.縦破線は (J-Ks)o = 1.20 の C/M 境界線。

 光度関数 


("混入矮星の分は?矮星分LFを作り引く?" )
ガウシアンフィットの結果は、⟨Ks⟩ = 17.35 mag. ⟨MKs⟩ = -7.51 mag.

 C/M 比 

 前景補正無しの時、 C/M = 0.56±0.12, 補正ありは 0.48 である。 この値は Battinelli,Demers 2004 の 12.4 と 20 倍の違いである。 TiO バンドは M3 より晩期型で強くなるので、 CN/TiO 法は早期 M-型星を 無視する傾向がある。その上、WLM は低メタルなため、TiO バンドが弱い。
(M-星の範囲がフラフラしているのが悪い! )





図7.空間分布。左=全星。中= AGB 星。右=C/M 比。

 5.空間分布 

 6.雑 

 6.1.セファイド距離 


表2.4つのセファイド


図8.ガス/ダスト比と log(O/H)+12 の関係。実線=直線フィット。  

 6.2.変光星 

 6.3.銀河の構造パラメター 


図9.WLM 円盤のスケール長。  


 7.まとめ