種族 I 長周期セファイドの分布を調べた。セファイドと銀河星団の年齢の 比較から、P > 11.25 d、 年齢 ≤ 30 Myr は b 2-3 の早期型星団と同じ くらいよい渦状腕の追尾天体である。 | セファイド距離は改訂された周期・光度関係と色超過から決めた。得られた分布 は若い星団から導かれる渦状腕とよい相関がある。 |
若い銀河星団と HIIR に続いてセファイドが腕を追尾するかは興味ある問題 である。 M31, M33 での観測が完全でないのでこの問題に決着が付いていない。 銀河系ではどうだろうか?問題は長周期セファイドの数が少ないことである。 1.5 kpc 以内の長周期セファイドの数は若い星団の 1/10 くらいである。 | Kraft と Schmidt 1963 は明るいセファイドと OB-アソシエイションの間に 弱い相関を見出した。この関係は Kraft 1963, Schmidt-Kaler 1964, Tammann 1968 が確認した。しかし、最近 Fernie 1968 はこの相関を否定した。それどころか、 早期 B-型星、銀河星団、 HIIR との反相関を見出しさえした。 |
Kippenhahn, Smith 1969 は星団セファイドの年齢と周期の関係を調べた。
セファイドは数回不安定帯を横切るが、そこに重みをつけて、Tammann 1969 は
次の式を見出した。 log t(10 Myr) = 1.16 - 0.651 log P(day) (1) 図1には、Sandage, Tammann 1969 による星団セファイドの周期を星団中の 最も早期の星のスペクトル型と較べた。周期とスペクトル型には明らかな 相関がみられる。この図から P > 15 d のセファイドは b 2-3 星団と 同じか若い年齢であることが判る。したがって、それらは渦状腕の良い 追尾天体である。P = 11.25 d (t = 30 Myr) まで下がると、b3-星団まで 含むことになるが、それらは渦状腕の中に封じ込められていない。 図1.星団セファイドの周期と属する星団の最も早期のスペクトル型。 右側のスケールは式(1)から決めたセファイドの年齢。 h + χ アソシエイションの4つのセファイドは点線四角の中。白丸= 星団所属がやや怪しいサンプル。 |
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3.P-L-C 関係ここで使う P-L-C 関係は、0.4 < log P < 1.9 でM〈V〉 = -3.534 log P + 2.647(〈B 0〉 - 〈V0〉) - 2.469 M〈V〉 = -3.382 log P + 1.834(〈U 0〉 - 〈B0〉) - 1.700 4.セファイドの色超過上式を書き直すと、M〈V〉 = -3.534 log P + 2.647(〈B 〉 - 〈V〉 - EB-V) - 2.469 M〈V〉 = -3.382 log P + 1.834(〈U 〉 - 〈B〉 - 0.80EB-V) - 1.700 この2式から、 EB-V = -0.129 log P + 2.243(〈B〉 - 〈V〉) - 1.554 (〈U〉 - 〈B〉) - 0.652 こうして決めた E(B-V)phot を分光または Γ 測光(?)で 決めた減光と較べたのが図2である。系統誤差は認められない。 |
![]() 図2.分光観測または Γ-測光から決めた E(B-V) と式(9) から決めた E(B-V) の比較。差が大きな二つのセファイドを示す。直線は勾配1. |
式(2)と Av = 3.0 E(B-V) の仮定から、セファイドの距離指数は (m-M)0 = 〈V〉 + 3.534 log P - 2.647 (〈B〉 - 〈V〉) - 0.353 EB-V + 2.469 セファイドの距離公式ほど自然が親切に与えてくれた道具は少ない:観測量 の係数は大きなものほど精度が高く、距離に影響しそうな量は E(B-V) である が、それでも 0.1 mag のエラーが距離指数では 0.035 mag にしかならない。 P-L-C 関係の分散も小さい。 | 左式を使って求めた P > 9 d セファイドの距離を下の表1に載せた。 十分なデータが揃った種族 I のセファイドは全て集めた。ただし、種族に疑問 があったり、連星の可能性が疑われるものは省いた。多くの長周期セファイド では光電測光データが不足している。そのような星の距離は Fernie, Hube 1968 のリストを使用した。それらは表1には含まれていない。彼らの使用した 周期・光度関係はここで使ったものと全く違うので、共通の星に対して表1の 値と彼らの値が良く合っているのは驚きである。 |
図3の説明 図3には P > 15 d セファイド 15 星と 15 > P > 11.25 d のセフ ァイド 20 星をプロットした。さらに光電測光データのない、長周期群の 14 セファイドと中周期群の 7 セファイドもプロットした。Becker 1969 による 若い星と HIIR も白丸で示した。図から以下の結論が導かれる。 (a)長周期セファイドは腕に乗る P > 15 d セファイドは若い星団と HIIR で区切られた腕領域を少しはみ 出る感じで分布している。同様の分布が 15 > P > 11.25 d のセファ イド 27 星中 25 星に当てはまる。2星 TT Aql と Z Sct のみが腕間空間に 位置する。この結果は長周期セファイド、若い星団、 HIIR は同じ場所で生ま れたという見方を支持する。 (b) TT Aql と Z Sct の位置 TT Aql は Becker 1963 の呼称による 腕 0 と -I の中間にある。その年齢は 式1を使うと 27 Myr である。仮にランダムスピードが 15 km/s あると、その 時間で 400 pc 動くので腕間空間で発見されても不思議はない。Z Sct は腕 -I と -II の間にある。二つの腕が収れんする可能性もあり、その場合はこの星は 腕状にある。 |
(c) 腕 -II をセファイドで追う可能性 若い星団、HIIR, 長周期セファイドの位置は腕 -I では極めて近い。腕 0, +I の一致も良い。腕 -II と +II の存在が若い星団と HIIR から示唆されていたが、 セファイドはそれを確実にした。光電測光が増えれば、腕 -II がセファイドで はっきり追尾される期待がある。 (d) 短周期セファイド P < 11.25 d の短周期セファイドは周期が短くなるにつれ腕間空間に散ら ばっていく。ついにはばらばらになり Fernie 1968 の言うようなセファイドと 若い星団、 HIIR との逆相関がみられるようになるのである。 |
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