ベル研 7 m 13CO サーベイにアンテナ温度閾値を適用して、 1400 個の分子雲カタログを作った。その内 281 個を運動距離がよく決まった 雲として選択した。 | スケール高、光度、内部速度分散、雲の大きさを解析した結果、M < 105.5 の雲のスケール高は 35 pc で雲の質量に無関係であること がわかった。一方、それより大きい巨大分子雲のスケール高は質量と共に 低下する。 |
![]() 図1.カタログの 1400 雲の (l, v) 分布。記号サイズは速度巾に対応。速度 信頼度が高い 281 個の雲には色を付けた。赤四角=銀河系中心雲。青丸=分子 リング接点速度。緑三角=外側銀河系雲。 サーベイの概要 ここで用いる 13CO サーベイの (l, v) 図は Lee et al. (2001) に載っている。サーベイは l = [-5, 117], b = [-1, +1] を 3′ または 6′ 間隔のサンプリングで行われた。データは (l, b, v) 空間の 23 M 点から成る。このサーベイでは 103 Mo 以上 の雲は全て拾われている。 雲の選別 次の基準を満たすデータピクセルの集まりを"雲"と呼ぶ。 (i) アンテナ温度 > 1 K (ii) (l, b, v) 空間で隣り合っている。 (iii) l, v 夫々で巾が2個以上。 こうして約 1400 個の"雲"が見つかった。 距離範囲決定例 距離決定には回転速度 = 215 km/s (一定)を仮定する。個々の例を検討すると (i) (l, b, v) = (110, 0, -20) 外側銀河系の雲には距離の二重性は存在せず、r = 2 kpc が最も確から しい距離となる。雲の速度分散を考慮して、v = -20 ±7 から、 距離範囲としては r = [1.3, 2.6] pc を取る。 (ii) l = 30 雲は遠近二つの運動距離が可能である。夫々に速度分散を足し引き するから計4つの限界距離が付随する。 (iii) 銀河中心方向の大きな速度の雲 それらは距離 6 kpc から 10 kpc の間のどれであっても可能である。 (iv) |v| < 14 km/s の雲。銀経は任意。 0.15 kpc 以内の近距離か、速度ゼロの遠運動距離かも知れない。 |
![]() 図2.距離の信頼度が高い 281 雲の分布。色の意味は図1と同じ。天空上での 見かけの大きさは図の記号よりずっと小さい。従って、異なる雲が重なる可能性 は小さい。 表1の説明 表1には (l, v) の様々な領域に対する可能な距離範囲を示した。右端の上 から3列は遠運動距離で、ストレイトに円運動の視線成分から出した距離、 それに速度分散を足した距離、引いた時の距離である。次の3列は第1象限 と第4象限の雲に対する近運動距離に対する3通りの距離である。 雲の距離範囲 一つの雲にはこうしていくつかの距離範囲が与えられる。それらの内最大値 を dfar, 最小値を dnear と名付ける。これらは、個々 の雲の近似的な距離範囲を与える。注意しておくとこれはガウシャン型の誤差 を与えてはいない。 距離信頼度の高いサンプル ここから先は dfar/dnear < 31/2 の雲のみを解析の対象とする。この制限は十分に大きいので銀河系中心方向の 雲も全て排除されるわけではない。光度は距離の二乗に比例するので、この 制限は光度の不確実性を 3 つまり、半桁に押さえる。こうして選んだサンプ ルには 281 個の雲が含まれる。図1にはそれら、距離の信頼度が高い雲を 色を付けて示した。それらは3グループに分かれる。それらは ペルセウス腕、第1象限の接点速度付近の雲、銀河中心である。それらの大 部分は数 kpc の距離を持ち、図2を見ると、多くが |b| < 0.5 に分布する。 これは |b| < 1 の観測範囲がサンプル選択に十分であることを意味する。 |
図3は距離信頼度の高いサンプルに関して、その銀河面高度を示した。
左図は個々の分子雲ごとの高度を、右図は分子雲光度毎にグループ分けして、
その平均値のダイアグラムを示した。低光度の雲ではスケール高が光度に依らず、
ほぼ一定の 35 pc である。巨大分子雲となると、スケール高は低高度雲より
小さく、光度と共に下がって行く。 図4ではビリアル質量と L(CO) の関係を示した。 |
![]() 図4.L(CO) と ビリアル質量との関係。直線は Mvis = 20 L(CO)。 |