Late-Type Giant Variables in NGC 6522, LMC and SMC. How Do They Differ?


Schultheis, Glass, Cioni
2004 AA 427, 945 - 958




 アブストラクト 

 2MASS から NGC 6522, LMC, SMC 3領域の完全サンプルを抽出し、MACHO, ISO データと同定した。各 MK ヒストグラム上で、TRGB の上で数が減る。 TRGB 光度はメタル量と共に増大する。また、与えられた MK に対す る (J-K)o もメタル量と共に大きくなる。これらのデータを Ferraro et al 2000 の銀河系球状星団と比較した。(J-H, H-K) 二色図上、低メタル星ほど多くの星が H-K 大になる傾向が著しい。これは、炭素星の割合が増加することによる。 全ての領域で主な変光星は、周期数十日の短周期変光星、長周期大振幅のミラ的 変光星、二重周期星であった。  低メタルになると、変光星の割合が小さくなり、与えられた振幅に対する最短 周期は長くなる。各領域で、 K - log P 図上の様々な傾向が見られた。LMC では 各領域間は類似しているがバルジ領域は異なる。バルジ領域では、K - log P 図 の "A" 系列は MK,0Tip をほとんど越えない。他のグル ープも LMC の対応系列と較べ途中で止まっている。マゼラン雲では 200 - 300 日周期の星が多数あり、 "C" 系列に従う。  ISOCAM で検出された MIR サンプルは MK < -7 星に対しては 完全である。様々な TCD, CMD には低メタルになると炭素星が増加する効果が 反映されている。ミラ型星の 等級・周期関係は少なくとも 7 μm までは 存在する。長周期変光星と二重周期 SRV からの質量放出はメタル量の差に 拘わらず、領域間で類似している。


 1.イントロダクション 

 K - log P 系列の発見 

 Glass, Lloyd Evans 1981 は LMC のミラに K - log P 関係を発見した。 Wood 1999 は振幅の小さい LMC SR もミラと平行する系列に乗ることを発見した。 Wood もまた Alard et al. (2001) も SR の数がミラよりもずっと多いことを示した。

 質量放出の特性  

 , バルジの NGC 6522 領域 ISOGAL 観測 Omont et al 2003 と LMC の ISO-MCMS 観測 Loup et al 2004 から、晩期型巨星の質量放出の特性を調べた。
 周期 70 日以上で質量放出 

  Alard et al. (2001) は Glass et al 1999 が ISOGAL NGC 6522 領域観測に より 7, 15 μm で見つけた星を調べて、それらが全て規則型または半規則型 の変光星であり、周期が 70 日以上の星ではかなりの質量放出がしばしば見られる ことを見出した。Blanco 1986 の重複域での完全分光サーベイの結果を用いて、 変光巨星が晩期 M-型で、質量放出をするのは中でも最晩期に属することが判る。

 3領域の比較 

 この論文では、メタル量や年齢の異なる 3 領域 NGC 6522, LMC, SMC の変光星 を NGC 6522 で行ったのと同じ方法で解析して比較することである。


 2.サンプル選択 

 領域サイズと境界等級 

 2MASS からバルジとMCs領域で MKs,0 < -4.75 の星を全て 選んだ。それは NGC 6522 では Ks = 9.75, LMC で 13.5, SMC で 13.95 である。 フィールドサイズは領域間でサンプル数が大体同数になるようにした。ただし、 ISO 領域はうんと狭い。

 選択領域  

 NGC 6522 領域は Alard et al. (2001) と同じにした。ただし、DENIS の代わ りに 2MASS を使用した。LMC, SMC では ISOCAM 観測 (Cioni et al 2003) が得られる所を使用した。

表1.選択領域。  




 3.MACHO から変光曲線を抽出する 

 同定失敗 

 MACHO データベースでサンプルの対応天体を探した。NGC 6522 で 133/1782, LMC で 91/1809, SMC 53/1649 個が見つからなかった。見つからなかった原因 は CCD モザイク配置のすき間、 CCD の感度穴などが考えられる。
 明るすぎる星 

 しかし、MACHO テーブルには パッチ と呼ばれる、半径 3 arcsec 程度の 星が存在しない穴がある。それは LMC で 12, SMC で 13 個ある。2MASS では そこに、青い明るい星がある。UK シュミットを見るとそこには非常に明るい 星がある。


 4.周期情報の抽出 

 5.振幅 

 6.議論:近赤外 

 以降、NGC 6522 距離指数を 14.7, LMC 18.5, SMC 18.94 とする。 減光は NGC 6522 E(B-V) = 0.5, LMC 0.15, SMC 0.065 とする。NGC 6522 に 対する 14.7 は Glass et al 1995 の値を採用した。この値は、通常使われる 値より少し大きい。しかし、これは MK - log P 関係が 3者で一致するという利点がある。  JHK 図で使用されるシンボルは以下の意味を持つ。
十字=飽和星
白丸=非変光星
黒点=小振幅変光星
四角=二重周期星
アステリスク=大振幅星。r MACHO 全振幅 > 1.0 mag



図1.左:MKs,o - (J-Ks)o 図。上=SMC, 中=LMC, 下=NGC6522. 図の右下、(J-Ks)o > 1.2-1.4, MKs,o > -7 は多分測光エラー。 右:左の濃いところの拡大。点線= RGB 先端。

 6.1.CMD 

 3領域間の巨星枝カラーと先端等級のシフト 

 3領域の CMD を較べて最も目立つ特徴は、NGC6522, LMC, SMC の順に巨星 枝が青い方へ移って行くことである。Kiss, Bedding 2004 は RGB 先端等級 を LMC で MKs,o = -6.48, SMC で MKs,o = -6.26 とした。図2に示した Ks ヒストグラムを見ると、崖位置が SMC と LMC とで 0.3 等、LMC と NGC 6522 の間も同じくらいの差がある。

 TRGB 等級  

 Ferraro et al 2000 によると、銀河系球状星団では、

     MKoTip = -0.59[Fe/H] - 6.97

Ks2MASS と KSAAO の間には少し変換が必要である。 したがって、もし Kiss,Bedding 2004 の図を取って、NGC 6522 の RGB 先端が LMC より 0.3 mag 明るいと仮定すると、NGC 6522 で [Fe/H] = -0.32, LMC で [Fe/H] = -0.85, SMC で [Fe/H] = -1.22 というやや低い値となる。

 RGBカラー  

 与えられた MK での (J-K)o もメタル量の指標となる。 MKs,o = [-5.25, -5.75] のカラーは NGC 6522 で 1.09, LMC で 0.99, SMC で 0.89 である。これらの値を Ferraro et al. 2000 の使用した SAAO システムに変換するには、

     (J-Ks)2MASS = 9.44 (J-K)SAAO - 0.005

すると SAAO システムでは、NGC 6522 で (J-K)SAAO = 1.16, LMC で (J-K)SAAO = 1.05, SMC で (J-K)SAAO = 0.95 である。Terndrup et al. 1990 は内側バルジフィールド M 型巨星に対し [M/H] = 0.2 を得た。LMC の t < 109 yr 星は [He/H] = -0.2, SMC では -0.5 である。しかし、Feast et al 1989 は古い種族ではそれより 1 dex は低いとした。RGB 先端値から導かれるメタル量は約 0.4 dex 低い。
Ferraro00 から、[Fe/H] = -(M(Ko)+6.97)/0.59 なので、Ks=K として
     SMC M(Ks)=-6.26, [Fe/H]=-1.20
     LMC M(Ks)=-6.48, [Fe/H]=-0.83
     NGC6522 M(Ks)=-6.78, [Fe/H]=-0.32
この値とどれが 0.4 dex の差になるか、わからん。

図2.Ks,o ヒストグラム。崖= RGB 先端。実線=NGC6522, 点線=LMC, 破線=SMC.



 とにかく  

 とにかく(?)メタル量の絶対値では外れているが、バルジと LMC, LMC と SMC との間でメタル量が 0.4 - 0.5 dex 違うことについては 分光の結果と一致している。年齢効果が RGB 先端等級 M(K) = -5.5 からずらしている可能性がある。
(この -5.5 はどこに出てた? )




 6.1.1.モデル等時線との関係 

 RGB 先端光度の年齢効果 

 Girardi et al 2000 の等時線で RGB 先端光度を調べる。t = 3 Gyr と 9 Gyr との先端 Ks の差は、Z = 0.004 で 0.16, Z = 0.008 で 0.23, Z = 0.15 で 0.27 である。3つのメタル量は SMC, LMC, NGC6522 に対応している。 年齢効果は高メタルになるほど強くなるらしい。

 メタル量効果  

 今度は 年齢を 10 Gyr と一定にして、メタル量を変えてみよう。 先端 Ks 等級の差は, Z = 0.008 と 0.004 の間で 0.32 mag, 0.008 と 0.019 の間で 0.19 であった。3 Gyr 集団に対しては、上の値は 0.25 mag と 0.15 mag である。メタル量の効果は低メタルの方が強いようである。

 両効果が現れる  

 当然のことだが、それぞれ領域には色々な種族が混在している。観測された 先端等級の 0.3 mag の差はそれらの年齢効果とメタル量効果が混じった結果 である。

 6.1.2.CMDに関する追加コメント 

 NGC 6522 領域にはない低振幅、二重周期で赤い変光星 

 低メタル量になって来ると AGB 先端から赤い方にある星の数が多くなる。 NGC 6522 領域で最も赤い星は酸素過多のミラ型変光星である。マゼラン雲 ではそれが炭素過多ミラ型星となる。しかし、マゼラン雲には低振幅、二重 周期で赤い (J-Ks)o の変光星が多数存在し、その対応天体は NGC 6522 領域 にはない。それらはおそらく炭素星である。

 暗い二重周期変光星 

 もう一つ興味深いのは、SMC には RGB 先端より暗い二重周期変光星がない のに、 LMC にはそういう星が 3 個、NGC 6522 には多数存在することである。

  

 マゼラン雲には巨星枝より 0.3 mag 青い非変光星がある。しかし、 NGC 6522 領域には存在しない。それらの多くは (J-Ks)o < 0.5 でおそらく前景の 銀河系天体である。


 6.2.CCD 図 

 変光星の 二色図 

 図3には MACHO 変光星の (J-H)o - (H-Ks)o 図を示す。ただし、特に LMC には多くの怪しい点が図の右と上に見える。これは 2MASS エラーか同定ミス による疑いがある。図では、青=非変光星、マゼンタ=飽和星、緑=小振幅星、 四角=二重周期 SRVs. アステリスク=ミラ型星。

 バルジ二色図は小さい  

 SMC と LMC の二色図は良く似ているが、NGC6522 は炭素星がないために分布 が小さい。

 二重周期変光星  

 マゼラン雲の二重周期変光星は周振幅星の中では最も赤い星である。その 長周期側の振幅でさえ、 1.0 mag を越すことは稀である。それらは NGC6522 の 対応星よりは赤い。少なくともそれらの幾つかは炭素星であろう。ただし、 Groenewegen 2004 は近赤外カラーのみで炭素過多か酸素過多かを決めることの 危険性を注意している。










図3.(J-H)o - (H-Ks)o 図。上=SMC, 中=LMC, 下=NGC6522. 青=非変光星、マゼンタ=飽和星、緑=小振幅星、 四角=二重周期 SRVs. アステリスク=ミラ型星。




 6.3.等級分布 

 変光星と非変光星の等級ヒストグラム 

 ピークツーピークの振幅が r で 0.03 mag 以下の場合は通常 変光星として検出されない。変光星か非変光星かの区別は測光精度にもよる。 変光とスペクトル型との関係は Glass, Schultheis 2002 で論じられている。 図4は変光星と非変光星の等級ヒストグラムを別けて示す。RGB 先端等級も 示した。明らかに AGB 上の変光星は非変光星を圧倒している。変光星の比率 は、しかし、 NGC 6522 領域の方が LMC, SMC より高い。この傾向はバルジ では MKs,o = -5 まで続く。これは変光星検出の完全度限界である と考えられる。 LMC, SMC では 2MASS のこの特性は MKs,o = -5 となる。

 明るい AGB 星  

 さらに重要な特徴として、MKs,o < -7.5 の明るい AGB 星の 割合がメタル量の増加と共に上がるということがある。第7章で述べるが、 それらは ISO で検出された星の大部分を占める。












図4.実線=変光星の等級ヒストグラム。点線=非変光星の等級ヒストグラム。 破線= RGB 先端等級。




 6.4.周期 - MKs,o 関係 

 NGC6522 の log P - MKs,o 関係はボケ てる 

 図5は3領域の log P - MKs,o 関係を示す。マゼラン雲には数本 のはっきり分離した系列が見える。しかし、NGC 6522 ではバルジの視線方向 深度のために系列が重なり合って見える。

 散らばり  

 系列 C (ミラ型星)の散らばりは Glass et al 1995 より大きい。これは、そ れらの振幅は大きいのに、単回 Ks 観測のデータを用いたためである。LMC の 系列は直視でフィットした。

 系列  

 Ita et al 2004 は Wood et al 2000 の A,B,C,D 系列に加えて、C' 系列を 見出した。また、彼らは A を A- と A+, B を B- と B+ に分けた。我々の図では C' は B+ から分離しているが、 A は一つに見える。

 勾配  

 系列の勾配はマゼラン雲同士では良く似ている。NGC 6522 でも多分同じで あろうが散らばりが大きすぎてはっきりしない。

 二重周期星  

 二重周期変光星の短周期は B と C' 系列に現れるが、 A, C 系列にはない。 二重周期変光星の長周期は D 系列に現れる

 マゼラン雲とバルジの差  

 マゼラン雲の系列は NGC 6522 系列より明るい側まで伸び、かつ明るい変光星 の割合が高い。実際、 NGC 6522 A 系列は RGB 先端光度を越えない。Kiss, Bedding 2003 はこれら延長部にある星は (J-Ks) が赤く、炭素星らしいと述べた。

 低メタル C 系列  

 低メタルでは、通常はミラ型星が占める C 系列の下部に多数の小振幅変光星が 見られる。それらは SMC では数多いが、 NGC 6522 では数が少ない。








図5.log P - MKs,o 関係. 上: SMC. 中; LMC. 下: NGC 6522. 黒丸=小振幅変光星。四角=二重周期 SRVs の短周期. 菱形=二重周期 SRVs の長周期. アステリスク=ミラ型星。直線= LMC 系列への直視フィット。 点線= RGB 先端。
 


 6.5.振幅分布 


図6.小振幅 0.05 < A < 0.2 変光星の周期分布。斜線= NGC 6522, 空= LMC, 黒= SMC.  

 周期分布 

 図6には小振幅 A < 0.2 mag の周期分布、図7は大振幅 0.2 < A の周期分布を示す。 小振幅でも大振幅でも低メタルほど長周期にまで達する。大振幅変光星の 一般的な分布はバルジ、LMC, SMC で非常に良く似ている。バルジで log P が 2.0 まで、マゼラン雲で 2.3 までは振幅が小さい A < 0.2 mag まま である。そこから振幅は劇的に大きくなる。図8を見よ。しかし、全変光星 の割合は低メタル星ほど小さい。

 低メタルになると大振幅星の割合は小 さくなる  

 一般に低メタルになると大振幅星の割合は小さくなる。これは低メタルの 球状星団では完全にミラ型星がないという事実と一致する。これはまた、 LMC で伝統的に炭素星ミラと分類されている星が M-型ミラにくらべ振幅が 小さい (Glass, Lloyd Evans 2003)こととも合う。


























図8.MACHO log P - A 図。上= SMC, 中= LMC, 下= NGC 6522. バツ= 非変光星。黒丸=セミレギュラ−。四角=二重周期 SRVs. アステリスク=ミラ。 高メタルの NGC 6522 では、大振幅変光の開始が早い。  

図7.大振幅 0.2 < A 変光星の周期分布。斜線= NGC 6522, 空= LMC, 黒= SMC.  



 6.6.カラー - log P 図 

 (J-Ks)o カラー 

 図9には (J-Ks)o - log P 図を領域毎に示す。短周期変光星の (J-Ks)o 分 布の厚さ、log P < 2 での、は NGC 6522 で最も大きい。マゼラン雲では log P > 2.0 で SRVs の数が増す。それらはマゼラン雲では (J-Ks) ≥ 1.4 である。このカラーは星の診断に使える。ミラの中には同じ周期の SRVs よりも (J-Ks)o が青い星がある。これはおそらく 水蒸気吸収が Ks バンドのフラッ クスを下げるためであろう。

図9.(J-Ks)o - log P 図。周期 100 d 付近から先での炭素星効果が SRVs, 二重周期星、ミラ型星で明らかである。  


 7.議論 

 7.1.ISO 観測 


表2.ISO 領域

 等級 

 今回調べた3領域の一部は ISOCAM 観測領域と重なる。

   [7] = 12.38 - 2.5 log FLW2(mJy)

   [12] = 11.13 - 2.5 log FLW10(mJy)

   [15] = 10.79 - 2.5 log FLW3(mJy)

ISO と 2MASS の観測は同時期ではなく、特に大振幅変光星では時期のズレの 影響があることは考慮しなくてはならない。

 ISO検出天体の性質  

 ISO 検出の分布は図10に示されている。ISO 検出はマゼラン雲では MKs,o = -7, NGC 6522 では MKs,o = -7 で不完全に なることが判る。Glass, Schultheis 2002 で指摘される通り、ISO 検出は NGC 6522 では RGB 先端で完全、SMC/LMC では最も明るい AGB 星のみが 完全に検出されている。ISO 検出天体の多くは (J-Ks) > 1.4 である。 しかしこれはそれら全てが炭素星であることを意味しない。 MKs,o > -7 の同定は偶然と考えられるので、今後の議論では 無視する。

図10.実線=ISO観測のある星の MKs,o ヒストグラム。 点線=ない星のヒストグラム。マゼラン雲で MKs,o = -7, バルジで MKs,o = -5 より暗いと ISO と 2MASS の同定は 怪しい。


 7.2.近赤外 - 中間赤外色等級図 

 図11= [12/15] - (K-12/15) 色等級図 

 図11には[12/15] - (K-12/15) 色等級図を示す。LMC, SMC に用いた LW10 フィルターは IRAS 12 μm フィルターに近く、一方 ISOGAL の LW3 フィル ターは 15 μm が中心波長である。 LW10 フィルターは 9.7 μm シリケ イトと 11.3 μm SiC 放射を含む。図には 2MASS 検出限界を点線で書き入れた。 Alard et al 2001 や Glass, Schultheis 2002 で指摘されたように、NGC 6522 の [15] - [K-15] 図ではマスロス系列が見えていて、その上部は大振幅ミラ型星 が占めている。図11も同じ様子を示している。

 メタル量効果  

 Cioni et al 2001 は ISO が検出した SMC の ミラ型星を調べ、それらの (Ks-LW10) カラーが赤いこと、その中で炭素星ミラは M-型星ミラより赤い ことを見出した。図11を見ると LMC と SMC とで全く違う。黒点=(Ks-12) > 1.5 のマスロス大の SRVs、 は低メタルになると減って行き、SMC では 全く存在しなくなる。




















図11.[12/15] - (K-12/15) 色等級図。点線=2MASS-ISO 同定の信頼度限界。 NGC 6522 天体は LMC, SMC よりずっと暗い天体まで同定していることに注意。 マゼラン雲には M12 = [-8, -10], (Ks - 15) = 1 付近に多数の 天体があるが、 NGC 6522 にはそれがない。  




 7.3.二つの近赤外 - 中間二色図 

 7.3.1.(H-K) - (K-7) 二色図 

 SMC に M-ミラはない? 

 図12には (H-K) - (K-7) 二色図を示す。NGC 6522 のカラー範囲が SMC, LMC と較べ狭いことに気付く。NGC 6522 と LMC には (H-Ks)o = 0.3, (Ks-7)o = 0.2 付近に星の塊りが見えるが、 SMC にはない。これは おそらく SMC には M 型変光星が存在しないためではないか。後に、 (H-K)o が非常に赤いミラ型星は必ずしも炭素星ではないことを示す。

 

 

 

 

図12.(Ks-7) - (H-Ks) 二色図。マゼラン雲ではミラによる赤い方への伸長が 著しい。  

 7.3.2.(K-7) - (7-12/15) 二色図 

 O-過多と C-過多の系列 

 図13は (K-7) - (7-12/15) 二色図を示す。O-過多と C-過多の系列が明瞭 に分かれる。Groenewegen (Loup et al 2004 を見よ)は星の上に シェルをかぶせて光学的厚さの変化に伴う系列を作った。LMC のミラ型的変光 星は大部分が O-過多であるが、一個だけ C-過多星があるようだ。
( 意外!)
NGC 6522 には C-過多系列星は一つもない。

 SMC  

 SMCサンプルは (7-15) の青い方に沿っている。これは C-過多ダストシェル のためである。

図13.(Ks-7) - (7-12/15) 二色図。Groenewegen による C, M3, M5, M8, M10 にダストシェルを付けた時の経路も示す。M マークの4本の線は右ほど晩期型である。 この図は C 過多と O 過多の星をはっきりと分ける。SMC 星は Cioni et aal 2003 からの追加データを足した。  




 7.4.周期 - M[7] 関係 

 図14を見ると、周期・等級関係が 7 μm でも成立していることが判る。 ISO の測光エラーが大きいため、ミラの関係だけが判別可能である。 短周期の星に対しては感度の制限のため関係は見えない。

















図14.7 μm 絶対等級と log P の関係。直線= LMC ミラへのフィット。

 7.4.1.中間赤外色等級関係 

 二つの系列 

 図15には中間赤外色等級関係を示す。炭素過多星と酸素過多星の大体の 位置をそれぞれ示した。

 M-型星は (7-12) が赤い  

 M-型星は C-型星よりも (7-12) が赤い。それで2系列は初めから分かれて いる。
( もし M-型と C-型がダストなしで初めから分離するなら、AKARI の炭素系列の根元の分離に分光観測が要らない。本当か?)
しかし、酸素過多ダストシェルが発達して来ると、(7-12) カラーが減少する ようになる。
( 説明が意味不明。Loupe et al 2004 を読むべきか? )

図15.M[12/15] - (7-12/15) CMD.ここでも発達したダスト シェルが炭素過多と酸素過多の2系列にはっきり分かれる傾向が著しい。 直線=炭素過多星の位置。折れ線= M-型星。SMC 系列は Cioni et al 2003 からの表2外側星データで少し補った。




 8.質量放出 

 図16には、12 μm (SMC, LMC), 15 μm (NGC 6522) におけるダスト 放射の単波長光度と周期 P の関係を示す。メタル量の違いに拘わらず、 マスロスのレベルは似ている。3領域全てで、P > 100 d では強い マスロスを示す。短周期星の中では 二重周期星が赤外長が強いように見える。
































図16.12 μm (SMC, LMC), 15 μm (NGC 6522) におけるダスト放射の 単波長光度と周期 P の関係。K バンドは全て恒星光球放射と仮定した。 3者 の類似に注意。SRV からの放射で大きく外れている例は測光エラーと看做す。


 9.結論 

(1) 3領域の比較から RGB 先端の MKsTip と MKs = -5.5 レベルでの巨星枝カラー (J-Ks)o がメタル量に鋭敏 であることが判った。
(年齢効果はどう働く? )

(2) AGB 先端付近では明るく赤い星の比率が低メタル領域ほど高い。
(炭素星の光度増加速度が遅い?)

(3) 低メタルになると変光星の割合が低下する。K - log P 面上の分布も異なる。
(4) 中間赤外の結果は ISO の感度により制限を受け、また低メタルほど 明るい変光星の割合が高いという事実の影響を受ける。CMD,CCDは酸素 過多と炭素過多の星を区別する。

(5)マスロス率はメタル量の影響を受けていないように見える。




(メタル量と年齢の影響の分離が ないので正しさの判定が困難 )