PNe を探す方法= IRAS カラー+電波連続波 を述べる。この方法を |l| < 15 領域に適用した。新発見 36 PNe を含む結果の第一報告=天体の特性である。 | 新発見 PNe は一般的には既知星雲と同じであるが、発見方法により若い天体 にバイアスが掛かっている。新天体のかなりが OH/IRs と PNe の中間段階に ある。 |
PNe 距離不定性の問題 既知 PNe 数は 1000 を超える。それらは銀河系中心方向に集中する。距離 不定性のため、銀河系内の全 PNe 数はよく分からない。文献上で推定されて いる総数は既知数の 10 倍から 100 倍に渡っている。恒星進化を考える上で この数が不定なことは残念である。 GC 方向のサンプル 銀河系中心付近の PNe は距離不定性の点で有用である。ただ残念なことに 強く変動の大きな星間減光のため、可視観測は難しい。PNe がいくつ見逃さ れているか推定しにくい。GC 付近で完全なサンプルを得るためには長波長 での観測が必要である。 |
電波 PNe の検出 GC 領域の PNe 探査の最初は Westerbork WRT による観測 Wouterloot, Deckker 1979, Isaacman 1980, 1981a,b である。GC の周り 3 平方度が 21 cm で 1 $σ = 1 - 8 mJy 感度で観測され、119 天体が見つかった。 85 の弱い電波源中 69 個は銀河、25 は PNe であった。彼らはそこから GC の 300 pc 内に 300 PNe があると見積もった。そして、そこからさらに 銀河系全体では 21,000 PNe が存在すると推定した。ただ、問題は、 (i) HIIR との分別が困難。 (ii) 形状決定には分解能不足 (iii) 検出限界が変動し、検出完全度が決めにくい。 IRAS による検出法 IRAS には減光の問題は存在しない。この論文はどうやって PNe 判定を 下すかを研究する。判定には IRAS カラーと並んで、電波観測が役に立つ。 |
2.1. PNe 選択基準発見Gillett et al 1967 は PNe が強い FIR 源であることを発見した。 図1には文献から既知の IRAS 源のカラーをプロットした。 重複 PNe は図上でまとまった集団を作っている。HIIRs との重複は 僅かであり、銀河は幾つかのセイファート銀河以外は重ならない。 星は別の集団を成し離れている。OH/IR 星は重なる。OH/IR 星の約 20 % は若い PNe と似た IRAS カラーを示す。 |
カラー基準 図1から PNe 領域として、 F12/F25 ≤ 0.35 F25/F60 ≥ 0.3 この領域に入る天体は OH/IR 星以外に Parthasarathy, Pottasch (1986) が発見した K - B 型超巨星がある。彼らはそれらを PPNe と解釈した。 もう一つ YSO の約 15 % がこの領域に入る。post-AGBs と YSOs を 落とすには電波連続波の観測が有用である。 |
![]() 図3.PN カラーを持つ天体の分布等高線、単位は 数/平方度 2.2.将来の研究のために選んだ IRAS 源緩い基準 3バンドで測光精度良好の天体は数が少ない。天体数を増やすために、 測光精度基準を緩めた。それは、 (i) F25 か F60 のどちらかが "positive measurement" (ii) 上限値が PNe 領域に入る値。 (iii) F100 "positive detection" が F100 ≥ F60 なら、落とす。ただし、 "positive" F25 があり、それから銀河、 HIIR が否定される場合は別。 この緩い基準で候補天体数は相当増加した。同時に偽同定の混入もかなり 生じたであろう。 2.2.1.空間分布GC から 15° 以内にある IRAS PSC 天体の数は約 2000 である。図2に それらの空間分布を示す。銀河面への集中は明らかである。中心自体への集中 はそれほど強くはないが認められる。図3にはそれを、F25 が確実な約 1300 天体の等密度線で示した。 |
![]() 図4.赤外光度の分布。(a) 「近傍」PNe. 距離は Gathier et al 1986a,b と Mendez et al 1987 から。(b) GC 周囲の既知 PNe. (c) PN カラーの IRAS 源 2.2.2.光度既知 PNe と GC PNe の光度図4 (c) は "selected" 1000 PNe の赤外光度分布である。(b) は l = [350, 10], b = [-5, 5] PNeを、距離 8 kpc と仮定して計算した赤外光度 の分布である。銀河系中心周りでは電波観測のあるものだけを含めた。明らかに前景星 と分かる星は抜いたが、まだ幾つかの混入は予想される。二つの光度分布はよく 似ているが、図4(c) の方は低光度 PNe に富んでいる。高光度側への広がりは 前景星の混入が残っているせいかも知れない。 光度関数 低光度側の低下は多分検出感度の効果である。L = 100 Lo は 25 μm で 0.3 - 0.5 Jy に対応するが、これは大体 IRAS PSC の感度限界である。 b = [-2, 2] の銀河面近くでは S/N カットは 25 μm で 0.8 Jy であり、 これは 200 Lo に対応する。不完全性が始まるのは 300 Lo 辺りであろう から、(b) = GC 周辺の PNe の実際の数密度は 300 Lo 以下でも上昇しているのかも 知れない。(c) = 既知 PNe の低光度成分はもっと面倒で測光感度以外に発見自体が 困難になる。それを示すために、(a) には "nearby" PNe の光度関数を示した。 (a) と (c) を比べれば、銀河系中心付近の IRAS PNe から低光度成分が落ち ているのは明らかである。これは別の方向からも例証できる。 Kiman et al 1988 は GC 方向に 15 個の PNe を発見したが、それらの内 IRAS PSC にあったのは僅 かに 3 個であった。 |
3.1. VLA 電波観測電波による確認赤外カラーで選ばれた PNe の確認には可視撮像が最も有用であるが、減光が 強くて不可能である。そこで、電波観測が浮上する。VLA による最初の 6 cm 観測は 1984 配置 A で行われた。位置精度は 1"、分解能は 3" である。 約 200 領域を感度 0.3 mJy で観測した。各方向の視野直径は 13' である。 2 mJy 以上の強度を持つ 250 天体が検出された。 さらに約同数の 1 - 2 mJy 天体が検出された。 PNe の電波観測 これらのフィールドで既知 PNe が26個観測され、表A に示される。IRAS カラーで PNe 領域にある天体が 20 個電波で検出された。それら表1に示す。 最初の 16 個は IRAS 位置から 1' 以内 = IRAS 位置エラー にある。最後の 4 天体の位置は 1 ' 以上離れている。しかし、それが IRAS 天体である可能性 は高い。表の FFIRTOT は 10 - 100 μm の積分 光度である。IRE = FFIRTOT/F(Ly α) は Pottasch 1984 の p203 による。 |
3.1. Westerbork 電波観測これまでの観測Wouterloot, Decker 1979 は 21 cm で 6 領域を感度 5 mLy で観測した。 その領域の一部は Isaacman 1981a により 6 cm 観測が行われた。我々は 彼らのリストからは IRAS 天体に対応するものとしては 1 天体 19W しか 見つけられなかった。 Westerbork 観測 1986年に 86 天体の観測が行われた。位置精度は数秒角である。表2に その結果を示す。検出位置を ESO-SRCとPalomar 乾板で調べたが殆どの箇所に 可視天体は見当たらなかった。唯一の例外は No.4 で、直径 30" のほぼ円形の 淡い星雲が見える。 近赤外観測 Whitelock は表1の近傍を 2.2 μm で観測し、多分対応天体と思われる 星を検出した。Menzies はそれらのスペクトルを撮り、Nos. 1, 4, 6 , 11 が 確かに PNe であることを確認した。 |
![]() 図5.6 cm フラックス密度の分布。(a) 可視で見つかった既知 PNe. (b) こ の論文で見つかった PNe のフラックス密度。 4.1.電波フラックスの分布新発見の PNe と既知の PNe 電波観測を合わせて表 A とした。図5は 6 cm フラックス分布である。(a) は既知 PNe を示す。大きいフラックスは前景星かも 知れない。フラックス分布は 5 - 60 mJy に集中し、ピークは 17mJy である。 (b) は新発見 PNe であるが、フラックス分布は (a) と大きく異なり、 1 - 60 mJy の間にピークがない。違いの一部は星雲を探す際の選択効果であろう。4.2.IRE図6:IRE 分布図6(d) は比較用に集めた太陽近傍 PNe の IRE を示す。そこには Pottasch 1984 の表1にある PNe が全て含まれている。IRE 中間値は 2.5 で、PNe の約 90 % は IRE = 1 - 5 に分布する。一般に古い PNe の IRE は低い。図6(a) は Westerbork サンプル(表2)の IRE である。その IRE は全般に高く、 85 % が IRE > 5 で、 30 % は既知 PNe では見られないほど大きい。図6(b) は VLA サンプルであるが、 こちらの IRE も高目である。しかし Westerbroak ほどでない。捜索法の差、 Westerbroak サンプルは IRAS 点源から選ばれた、が IRE の違いを生んだのであろう。 図6(c) は既知 PNe で、 Gathier et al 1983 が測ったサンプルと表A サンプルを含む。 この二つのサンプルはほぼ同じ性格を有し、分布に差はない。(c) の中間値は 6 で明 らかに (d) = 近傍 PNe より高いが、新しい PNe より低い。 |
![]() 図6.IRE の分布。 光学的厚み 注意しておくと、 IRE の計算は 6 cm で星雲が光学的に薄いという仮定で 計算された。通常の近傍 PNe は光学的に薄いことが知られている。しかし、 若い星雲, Hb 12, Vy 2-2, SwSt 1 などは小さく、高密度で光学的に厚い。 多分、新しい PNe には光学的に厚い星雲が含まれていて、それらの IRE は過大に 見積もられているのだろう。 分布差の理由は? 仮に図6の分布差がリアルとするならば、 (i) 銀河中心付近の既知 PNe は近傍 PNe と違う性質を有する。 GC PNe は 若い。Isaacman 1981b は GC 付近の高密度ガスにより GC PNe は近傍 PNe より短時間でガスを剥ぎとられると論じた。その上、淡く広がった星雲は GC 付近では検出されにくい。 (ii) 新たに発見された PNe は既知 GC PNe よりさらに大きな IRE を示す。 それらは一層若い天体なのであろう。 |
新 PNe の発見 IRAS カラーから選択して、さらに電波連続波で確認された天体はほぼ確実に PNe である。新発見 PNe の IRE 分布は既知 GC PNe より高い値にずれている。 また、それらの 6 cm フラックスは低い。さらに低い PNe が存在する可能性が ある。これらの差が生じる原因は主にサンプルの選択法の違いであろう。 若い PNe ? 新発見 PNe の中に極めて若い天体が存在する可能性がある。パークスで新発見 高 IRE 天体の 11 個を OH 1612 MHz で観測した結果、少なくとも 4 個、多分 6 個で OH が検出された。これは濃い中性外層の存在を意味する。1987 年まで OH が検出された PN がたった一個であったことを考えると、この方法が若い PNe を効率よく探す良い手法であることが分かる。 低連続電波の Pne の可能性 これまでの結果から PN カラーを持つ IRAS 天体の 15 - 20 % で連続電波が 検出可能= PNe と考えられる。すると、ではその他の天体は何か、という疑問が 生じる。電波強度が今回の検出限界 1 mJy より低い PNe はまだ存在するだろう。 |
PNe 以外だと何? この問題を考えるため、全天から PN カラーの天体を 1000 個選んだ。それ らの種類を調べた。約 60 % は未同定である。残りの 45 % は PN である。 10 % が OH/IR 星、25 % は他の種類の星、 10 % がセイファート銀河, 10 % が暗黒雲に付随する星である。他の星に分類される中には Parthasarathy, Pottasch (1986) が研究した星が含まれる。彼らはそれらの星は PPNe であると主張した。 しかしこのグループには T Tauri も入っている。したがって、このグループの 星が全て進化最終末期にあるわけではない。 寿命 数の比が正確に決まると進化の各時期の寿命の決定ができる。しかしそのためには もっと多くの同定が必要である。 総数 40 発見 PNe から推定すると銀河中心から 10° 以内に 3000 PNe が期待される。 |