The Old Open Cluster, Berkley 66


Phelps, Janes
1996 AJ 111, 1604 - 1608




 アブストラクト 

 これまで未観測の Berkley 66 (Be 66) の V, I 撮像を KPNO 2.1 m 望遠鏡 で行った。Be 66 が年齢 3 - 4 Gyr であることを CMD フィットと Janes, Phelps 1994 の「形態学的年齢指数」とから見出した。銀河中心から 12.9 kpc 離れて、最も遠い高齢散開星団の一つである。  太陽からの距離 5.2 kpc で、星団は銀河面の 21 pc 上方にあり、半径 1.8 - 3.5 pc のかなり大きな星団と分かった。星団の最小質量は 750 Mo である。 ブルーストラグラーもあるのかも知れない。


 1.イントロダクション 

 PJM94 リスト 

  Phelps, Janes, Montgomery (1994) は 72 高齢散開星団のリスト (PJM94) を作った。その際、多くの星団がデータ 不足のためリストから漏れた。幾つかはその後観測された、それらは Hafner 6 = 1 Gyr, NGC 7762 = 1.8 Gyr, NGC 6603(3603?) = 200 Myr, Pismis 3 = 2 Gyr であった。
 Berkley 66 

 ここで扱う Berkley 66 も漏れた星団の一つである。その位置は (α, δ) = (03:00:24, 58:34)1950, (l, b) =(139°.42, °.23) である。この星団は Setteducati, Weaver 1962 により、パロマー 写真の体系的探索で発見された 100 星団の一つである。


 2.観測 

 観測 

 観測はキットピーク 2.1 m 望遠鏡 + TEK 1024 CCD を付け、 1994 Jan に行われた。0.30"/pix で 5.1' 角の V, I 像を得た。
 標準星 

 標準星は Landolt を用い、IRAF で解析した。


 3.結果 


図1.Berkley 66 の V, V-I CMD.

 3.1.CMD 

 CMD 形態 

 図1=星団 CMD 形態から高齢であることが判る。はっきりした He 燃焼星 の塊りが V = 18.25 に見える。一方、巨星枝と準巨星枝も見える。塊のカラー V-I = 2.63 は星団が強い減光を受けていることを示す。ターンオフの上方 にはフィールド星の系列が伸びている。

図2.星位置の分布。

 3.2.星団半径と質量 

 星団中心 

 図2の星団星の X, Y 分布は星団中心を決めるために作った。

 限界等級 

 限界等級は V = 23 で、最小質量は 0.9 Mo (mv = 5.5) である。 そこから、星団質量は 750 Mo 以上と分かる。ただし、観測の不完全性や連星 限界等級より下の星などは考慮されていない。


 3.3.MAI 

 MAI とは 

 Jane, Phelps 1994 は MAI = morphological age index を導入し、 CMD の 形から年齢を推定した。これは二つのパラメタ δV = RC と MSTO との V 等級差と、 δI = MSTO とMSTO 等級より1等上での赤色巨星枝との カラー差、を持つ。この種の年齢指数は Anthony-Twarog, Twarog 1985 が最初 に導入したもので、星間赤化の影響を受けず、メタル量の効果も小さい。 我々は減光強度もメタル量も知らないので、 MAI はBe 66 の年齢を他の星団と 較べるのに有用である。

 年齢 

 δV =2.1, δI = 0.46 であったので、 Phelps, Janes, Montgomery (1994) の関係を用いて、4.2 KGyr を得た。

 減光と距離 

 δV > 1 に対する RC の絶対等級 Mv = 0.95 と M67 の RC カラー V - I = 1.0 を用いて、 E(V-I) = 1.63 または E(B-V) = 1.5 を得た。また、 (m-M)o = 13.43, D = 4.9 kpc を得る。

 3.4.等時線年齢 

 図3=フィットの結果 

 図3は VandenBerg 1985 の 3.0, 4.0 等時線を用いたフィットを示す。主系 列の下縁がはっきりしないことが問題である。準巨星枝と巨星枝の底ははっきり しているので、それらをフィッティングに用いた。

  [Fe/H] = -0.23, 0.0 はフィットが良い 

 年齢 3, 4 Gyr で [Fe/H] = -0.23, 0.0 はフィットが良い。[Fe/H] = -0.46 は準巨星枝を合わせるとターンオフ領域のフィットが悪くなるので、良いフィッ トが見つからなかった。[Fe/H] = 0.0 は準巨星枝とターンオフ領域へのフィッ トが [Fe/H] = -0.23 より良いようだ。[Fe/H] = 0.0 はまた、主系列に見える 折れ曲がりも良く表している。

図3.VandenBerg 1985 の 3.0, 4.0 等時線フィット。[Fe/H] は 上=0.0, 中 =-0.23, 下=-0.46 である。



図4.[Fe/H] = 0-.0, 年齢 左= 2 Gyr、 右= 5 Gyr でのフィット。

 図4= 2, 5 Gyr はダメ 

 図4には 2, 5 Gyr のフィット例を示す。5 Gyr は準巨星枝とターンオフ 領域の形を再現しない。同様に 2 Gyr も全然ダメ。

 図5= 1.2 arcmin 以内 

 図5には中心から 1.2 arcmin 以内の星を使ったフィットを示す。フィールド星の 混入が減り、主系列がはっきり見えるようになった。マッチは同様に良い。

 VandenBerg 等時線は問題あり 

 VandenBerg 等時線は太陽への規格化が、ヘリウム量や混合距離の点で、 完全でない。従って大気の境界条件等で調整の必要がある。しかし、我々は 補正を行えなかった。というのは VandenBerg の方法は B, V バンド用なのに 我々の観測は V, I だからである。

 図5=小さい球団半径 

 図5には小さい球団半径を使用した場合のフィットを示す。この図にもブルー ストラグラーの存在が示唆されている。しかし、フィールド星の混入は依然と してかなりある。

図5.図3と同じだが、中心領域 1.2 arcmin 以内を使用。  


 4.議論と結論 

 距離 

 図 3 - 5 の等時線フィットから、年齢 3.5 Gyr, [Fe/H] = [-0.23, 0.0], E(V-I) = 1.60, (m-M)v = 17.40 R=3.1 を仮定すると D = 5.2 kpc となる。 銀河系中心距離を 8.5 kpc と仮定すると R = 12.9 kpc で、銀河面から 21 pc 上方となる。

 星団半径 

 星団半径を 1.2 - 3.5 arcmin として R = 1.8 - 5.3 pc で、古い星団の 半径として妥当である。
 星団質量 

 星団質量は 750 Mo 以上と見積もられた。M ≤ 0.9 Mo の星は含まれていない。