Exploring Halo Substructure with Giant Stars IV.
   The Extended Structure of the Ursa Minor Dwarf Spheroidal Galaxy


Palma, Majewski, Siegel, Patterson, Ostheimer, Link
2003 AJ 125, 1352 - 1372




 アブストラクト

ワシントンシステムでの観測 

 UMi 矮小楕円銀河とその周辺の測光探査を報告する。銀河の潮汐半径の 外側での恒星分布を調べた。観測にはワシントンシステムの M, T2, DDO51 フィルターが用いられた。この組み合わせは K-型星の分類に有用である。 UMi と同じ距離とメタル量を持つ赤色巨星を銀河の中心から 3° まで同定 した。

 数密度分布 

 UMi 巨星と水平枝星の候補の空間分布は良く似ており、潮汐半径の外側にも 多くの星が見出された。潮汐半径内側での表面数密度の等高線には幾つかの 特徴がある:
(1)銀河の星の最高数密度は外側等高線の中心から南西にずれている。
(2)外側等高線は楕円形でなく S 字型である。
 密度プロファイル 

 表面密度プロファイルは以前の研究で報告されたキングプロファイルとは 合わない。以前のプロファイルでは潮汐半径= 50' であったが、今回の銀河星候補 はそれより遠くまで広がっている。潮汐半径を大きくしたキングプロファイルでは 一致が良くあるが、それよりは指数 -3 のべき乗則の方が 20' より遠くでよく合う。

 結果 

 (1)UMi 星が遠方まで分布する、(2)潮汐半径内側での特異な形態、(3) 密度プロファイルの形、は全てこの銀河が MW の潮汐力を受けて力学的に進化して いる最中であることを示す。しかし、測光データのみでは潮汐半径外の星が本当に 非拘束なのか、ダークマターハローに拘束されているのか不確かである。



図1.モザイク観測のグリッド。楕円は潮汐半径。



図3.今回の領域内の天体全てに対する、赤化補正した (M-T2, M)o 色等級図。像形が星で、等級エラーが 0.1 等以下を選んだ。



図5.(上)(M-T2, M-DDO51)o 二色図。星は図3と同じ。図上矮星 (点)は肘状の分布を示す。巨星(黒三角)は実線で囲まれた領域にいる。
(下) Paltoglou, Bell 1994 から取った 等時線。矮星=破線、巨星=実線。線に付けた数字は [Fe/H]

図2.検出星の分布。楕円は Kleyna et al 1998 の浅い観測から決めた UMi。 半長軸= 51' を潮汐半径とした。十字=明るい星。一番大きい十字= RR Umi は V = 4.7 で全チップでサチっていた。



図4.測光エラー。(a)=コアフィールド, (b)=周辺フィールド。



図6.固有運動からメンバーシップ確率 75 % とされた星の (M-T2, M)o 色等級図。採用した UMi RGB は 固有運動メンバーの大部分を含み、かつ フィールド巨星の混入を最低にするように設定した。青い水平枝を囲む枠は サーベイ領域全体でこの星を選ぶのに便利である。




図7.UMi 巨星候補の選択。(左)我々のカタログで巨星とされた星の 色等級図。三角=図5の二色図で巨星領域として切り取られた所から選択された星。 星=かつ、色等級図で UMi 赤色巨星領域に属する星。
(右)UMi 巨星候補の空間分布。図2と同様、楕円は以前の研究で決められた潮汐半径。 相対的に南側が空いているのは限界等級の変動を表わす。



図8.限界等級を3通りに設定した時の分布。(a) Mo ≤ 19.3, (b) Mo ≤ 19.65, (c) Mo ≤ 20.0。 斜線=フレームがその等級に達していない。

図9.Hargreaves et al 1994 カタログから同定された分光的な UMi 星 と分光的な混入星がどこに分布するか?
(上)二色図。三角、星=巨星と、菱形=矮星が明瞭に分かれる。ハロー フィールド巨星が枠内に紛れ込む。カタログにあった炭素星は巨星枠の 縁に見出された。
(下)色等級図。分光的に同定された UMi 巨星は一つを除いて全て RGB 上 に乗った。乗らない星 EDO26 は AGB 星か postAGB 星ではないか?フィ ールド K-型巨星は色等級図上 UMi RGB 枠の上方にずれている。

図10.Armandroff et al 1995 カタログからの分光的 UMi 巨星と混入星。 図9と同様に(上)二色図上では混入星は分離する。
丸=視線速度から UMi とされたが、測光からはメンバーと認められない。 四角=視線速度メンバーだが、二色図と色等級図の位置からはメンバー でない。三つとも炭素星である。我々の巨星条件から外れる視線速度メンバー は AGB 星かも知れない。
( AGB 星が RGB 星と区別できるのか?)



図11.我々の UMi カタログ中の青色水平枝星。
(左)(M-T2, M)o 色等級図。図6で決めた BHB 星枠を示す。(右)UMi 青色水平枝星の分布。分布が 欠けている所は限界等級の変動が原因。



図12.UMi RGB, BHB 1001 星から作った等密度線。斜線=限界等級の問題 で省いた。十字= Kleyna et al 1998 による中心。
矢印= Cudworth et al 2002 による UMi 固有運動の方向。
中心からずれて二つのピークが見える。その結果、中心領域の形は釣り針状を 呈している。



図14.UMi の表面密度プロファイル。比較のため縦にずらして点をプロットした。
(上)背景を差し引いた密度。黒丸= Mo≤19.3 巨星。三角= Mo≤19.65 巨星。 菱形= Mo≤20.0 。


図13.スムーズにした密度分布図。Battinelli, Demers 1999 が HST で 見つけた星のリングの中心を四角で示した。



図15.東(黒)と西(白)半分の表面密度分布。
(上)