The Origin of the LMC Stellar Bar: Clues from the SFH of the Bar and Inner Disc


Monteagudo, Gallart, Monelli, Bernard, Stetson
2018 MN 473, L16 - L20




 アブストラクト 

 LMC バーとその周辺の内側円盤数領域における深い CMDs からの SFHs を較 べて、 LMC バーの起源を探った。VIMOS/VLT により、この様な深い領域におい て古い星種族の MSTO に達する深い CMDs を得た。  全ての領域での SFHs は同じパターンを共有する。したがって LMC バー形成 に関わる星形成の特別な事件は起きていなかった。バー形成は円盤が力学 不安定になり物質の再分布を起こした結果である。


 1.イントロダクション 

 バーと円盤の位置 

 バーと円盤の位置関係については Subramanian 2003, Nikolaev et al 2004, Lah, Kiss, Bedding 2005, Koerwer 2009, Subramanian, Subraamanian 2009 が研究した。
 SFH 

 バーは混み合いがひどいので、MSTO までたどり着くため、HST 観測が要求 された。Elson, Gilmore, Santiago 1997, Holtzman et al 1999, Olsen 1999, Smecker-Hane et al 2002, Weisz et al. 2013 などである。内側円盤の 観測は密度低下を補うためモザイク観測が行われた。 Smecker-Hane et al. (2002)

 地上観測 

 ここでは非常に条件の良い晩の VLT 地上観測により MSTO まで行った。  

 2.観測とデータ整約 


図1.Gaia DR1 に基づく LMC 中心領域の恒星密度分布。今回の VIMOS 観測領域と HST の位置を重ねた。

 VLT 観測 

 シーイング 0.6" - 0.8" を必要とするためサービスモードで観測を行った。 図1には観測位置を示す。図2に HST 隣接領域での VIMOS CMDs と HST CMDs の例を示す。

図2.左:HST 観測の近くに隣り合う VIMOS CMDs. 左上枠の青線= BaSTI Z = 0.001 t = 13 Gyr 等時線。この様な混んだ場所でも MSTO まで達していることが判る。
右:WFPC2?HST の CMDs. 赤枠=SFH 計算に使用した星の区域。


 3.星形成史 

 3.1.星形成史の導出 

 人工 CMD の計算に IAC-star コードを用いた。 t = 13.5 - 0.03 Gyr の間 一定の SFR(t) を仮定して、5 107 星が全時間帯に Z = 0.0001 - 0.02 ([Fe/H] = [-2.3, 0.04] Zo = 0.0198 仮定、でばら撒かれた。
(Z 分布は? )
BaSTI 恒星進化ライブラリーを使った。Meschim et al 2004 にならい、 連星率 f = 0.4 を使用した。 IMF は Kroupa02 を採用した。SFH の導出には Bernard et al 2015 が PYTHON で開発したアルゴリズムを用いた。

 3.2.VIMOS と HST の星形成史の比較 

 図3に HST と VMOS からの SFHs を比較した。隣接する HST と VMOS の SFHs は誤差の範囲内で一致する。一方、領域間の差はそれより大きいことがわかる。

図3.VIMOS と WFPC2 の累積 SFHs. 横線=50 % と 95 % を示す。 縦線=本文に述べる大きな星形成期の区分線。


 3.3.LMC バーと内側円盤の星形成史 


図4.上:バー領域 no.1 と no.2 の累積星形成史。横線= 95, 50 %. 中:類似領域を合体させて作った中=累積、下=微分星っ形成史。

表1.SFHs から導いた値。

 領域合体 

 円盤領域 nos. 3, 4, 5, 6, 7, 8, 10 領域の SFHs は互いによく似ており、 滑らかである。 バーの星種族は全体としては円盤より若い。 一方円盤 nos. 9, 11 は他の円盤とバーの中間型である。これら二つは円盤北側腕の 中に位置するので以後の解析からは外す。
 似た SFH を示す領域を以下の様にまとめた:E=nos. 4 + & + 10. SSW = nos. 3 + 7. N = nos. 5 + 8. バーの2領域 SGH は別々に示すが、殆ど同じで、バー 全体が共通の SFH を持つ事を示唆する。

 全体的な特性 

 図4下枠を見ると、バーも円盤も共通の特徴を持つことが判る。全てに3つの 活発な星形成期がある。その間は短期間星形成が低下する。古期は 3.5 Gyr 続いた。中期は 4 - 10 Gyr 昔である。新期は 4 Gyr 昔に開始された。

 新期の同期活動 

 興味深いのは、新期の活動が全領域で足並みを揃えていることである。ピークが t = 2.5, 1.0, 0.5 Gyr にある。現在 t = 0 の星形成は非常に落ちている。
(現在最高という論文もある! )

 バーと円盤の違い 

 バーと円盤の違いは活動期に作られる星数の割合である。表1に各活動期に 形成された星の数の比率を示す。古期には円盤で作られる星の比率がバーよりも高い。 中期には同じくらい。新規になるとバーで作られる星の割合が高くなる。


 3.4.議論:LMC バーの起源 

  Smecker-Hane et al. (2002) は、主系列光度関数に基づき、4 - 6 Gyr 星形成活動期を LMC バーの形成に 結び付けた。しかし、我々はより広く深い測光と、より洗練された解析法を用い、 LMC バーの形成につながるような星形成活動はなかったと結論する。 バーは円盤の不安定性で生じ、その際特別な星形成活動は伴わなかったのであろう。