LMC バーとその周辺の内側円盤数領域における深い CMDs からの SFHs を較 べて、 LMC バーの起源を探った。VIMOS/VLT により、この様な深い領域におい て古い星種族の MSTO に達する深い CMDs を得た。 | 全ての領域での SFHs は同じパターンを共有する。したがって LMC バー形成 に関わる星形成の特別な事件は起きていなかった。バー形成は円盤が力学 不安定になり物質の再分布を起こした結果である。 |
バーと円盤の位置 バーと円盤の位置関係については Subramanian 2003, Nikolaev et al 2004, Lah, Kiss, Bedding 2005, Koerwer 2009, Subramanian, Subraamanian 2009 が研究した。 |
SFH バーは混み合いがひどいので、MSTO までたどり着くため、HST 観測が要求 された。Elson, Gilmore, Santiago 1997, Holtzman et al 1999, Olsen 1999, Smecker-Hane et al 2002, Weisz et al. 2013 などである。内側円盤の 観測は密度低下を補うためモザイク観測が行われた。 Smecker-Hane et al. (2002) 地上観測 ここでは非常に条件の良い晩の VLT 地上観測により MSTO まで行った。 |
![]() 図1.Gaia DR1 に基づく LMC 中心領域の恒星密度分布。今回の VIMOS 観測領域と HST の位置を重ねた。 VLT 観測 シーイング 0.6" - 0.8" を必要とするためサービスモードで観測を行った。 図1には観測位置を示す。図2に HST 隣接領域での VIMOS CMDs と HST CMDs の例を示す。 |
![]() 図2.左:HST 観測の近くに隣り合う VIMOS CMDs. 左上枠の青線= BaSTI Z = 0.001 t = 13 Gyr 等時線。この様な混んだ場所でも MSTO まで達していることが判る。 右:WFPC2?HST の CMDs. 赤枠=SFH 計算に使用した星の区域。 |
3.1.星形成史の導出人工 CMD の計算に IAC-star コードを用いた。 t = 13.5 - 0.03 Gyr の間 一定の SFR(t) を仮定して、5 107 星が全時間帯に Z = 0.0001 - 0.02 ([Fe/H] = [-2.3, 0.04] Zo = 0.0198 仮定、でばら撒かれた。(Z 分布は? ) BaSTI 恒星進化ライブラリーを使った。Meschim et al 2004 にならい、 連星率 f = 0.4 を使用した。 IMF は Kroupa02 を採用した。SFH の導出には Bernard et al 2015 が PYTHON で開発したアルゴリズムを用いた。 3.2.VIMOS と HST の星形成史の比較図3に HST と VMOS からの SFHs を比較した。隣接する HST と VMOS の SFHs は誤差の範囲内で一致する。一方、領域間の差はそれより大きいことがわかる。 |
![]() 図3.VIMOS と WFPC2 の累積 SFHs. 横線=50 % と 95 % を示す。 縦線=本文に述べる大きな星形成期の区分線。 |
3.3.LMC バーと内側円盤の星形成史![]() 図4.上:バー領域 no.1 と no.2 の累積星形成史。横線= 95, 50 %. 中:類似領域を合体させて作った中=累積、下=微分星っ形成史。 |
![]() 表1.SFHs から導いた値。 領域合体 円盤領域 nos. 3, 4, 5, 6, 7, 8, 10 領域の SFHs は互いによく似ており、 滑らかである。 バーの星種族は全体としては円盤より若い。 一方円盤 nos. 9, 11 は他の円盤とバーの中間型である。これら二つは円盤北側腕の 中に位置するので以後の解析からは外す。 似た SFH を示す領域を以下の様にまとめた:E=nos. 4 + & + 10. SSW = nos. 3 + 7. N = nos. 5 + 8. バーの2領域 SGH は別々に示すが、殆ど同じで、バー 全体が共通の SFH を持つ事を示唆する。 全体的な特性 図4下枠を見ると、バーも円盤も共通の特徴を持つことが判る。全てに3つの 活発な星形成期がある。その間は短期間星形成が低下する。古期は 3.5 Gyr 続いた。中期は 4 - 10 Gyr 昔である。新期は 4 Gyr 昔に開始された。 新期の同期活動 興味深いのは、新期の活動が全領域で足並みを揃えていることである。ピークが t = 2.5, 1.0, 0.5 Gyr にある。現在 t = 0 の星形成は非常に落ちている。 (現在最高という論文もある! ) バーと円盤の違い バーと円盤の違いは活動期に作られる星数の割合である。表1に各活動期に 形成された星の数の比率を示す。古期には円盤で作られる星の比率がバーよりも高い。 中期には同じくらい。新規になるとバーで作られる星の割合が高くなる。 |
3.4.議論:LMC バーの起源Smecker-Hane et al. (2002) は、主系列光度関数に基づき、4 - 6 Gyr 星形成活動期を LMC バーの形成に 結び付けた。しかし、我々はより広く深い測光と、より洗練された解析法を用い、 LMC バーの形成につながるような星形成活動はなかったと結論する。 バーは円盤の不安定性で生じ、その際特別な星形成活動は伴わなかったのであろう。 |