星団内に赤色巨星が 2 - 3 個しかない時、視線速度はメンバーシップ判定の 有力な手掛かりである。CORAVEL 分光器で測った視線速度長期測定の最終デー タを提示する。主目的は分光連星を検出し、その軌道パラメターを決めること である。さらに連星と星団の平均視線速度も求める。1309 星の 10,517 測定 を調べた。 | 1309 赤色巨星を調べ、非メンバーが 418、メンバーが 891 という結果を得た。 288 分光連星を発見した。内 57 は非メンバーである。さらに、27星は 視線速度が変化していたが全て超巨星であった。今回の結果に固有運動データ を加えると、散開星団の分布と運動の様々な解析が可能となる。しかし、距離 決定が以前として弱点である。この論文は、散開星団中の赤色巨星に関する シリーズの最後である。 |
視線速度 視線速度測定の原理は単純だが、実際のカタログを比べると差が大きく 実際面の難しさが分かる。そこで、 CORAVEL 測定器を用い、 (1)視線速度から星団メンバーシップを決める、 (2)連星を検出する、 観測を行った。 それらの結果は CMD 解析に使われた。 Mermilliod, Meyor (2007), Girardi et al. (2000) を見よ。 |
この論文 この論文は散開星団内赤色巨星に関する一連の論文の最後である。 CORAVEL を用い 1978 - 1997 にかけて観測したデータを示す。 また、3種類のカタログ:(1)187 星団内の 1309 星に対する 10,517 測定。 (2)1309 星の平均速度。(3) 166 星団の平均速度、を提示する。 |
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![]() 図1.視線速度測定回数のヒストグラム |
![]() 図2.露出時間のヒストグラム ![]() 図3.P(χ2)の分布。P=0 のピークは連星に対応。 |
5.1.メンバーシップ![]() 図4.星団の内部視線速度の散布度(dispersion)のヒストグラム 多くの場合、非メンバーの視線速度は星団平均速度から大きく外れているの で楽に区別できる。散開星団の視線速度散布度は、図4から分かるように、 0.5 km/s 程度である。我々は 3σ = 1.5 km/s の違いまでを メンバーの基準とした。 違いが 2.5 km/s までの星は, CMD の位置が 妥当かどうかを調べた。 違いが 2 - 5 km/s の場合判定は困難である。 |
5.2.星団の内部視線速度の散布度![]() 図5.星団の内部視線速度の散布度(dispersion)と赤色巨星の数の関係 図5に示すように、赤色巨星が多い星団は散布度も大きい。 |
星団フィールド内の 12 セファイドは視線速度曲線を描くために頻繁 に観測された。その数は SV Vel の 12 から U Sgr の 60 に及ぶ。 その結果は表8に示されている。 | これらの新しいデータといくつかの連星セファイドの軌道は これらが星団のメンバーである新たな支持を与える。特に CS Vel と 他の3つの赤色巨星は明らかに Rup 79 に属する。 |
固有変動幅 ペルセウス腕領域の星団 NGC 457, NGC 581, NGC 663, NGC 884 の 赤色超巨星は初年度に頻繁に観測された。全ての星は固有変動を示した。 変動全幅は 5 - 10 km/s である。変化は周期的ではなく、変動幅は 時間と共に変化する。同時測光観測データはないので変光と視線速度変化の 関係は不明である。NGC 457 #25 は 2000 日の間規則的な変化を示した 後、JD 2,447,500 から変化が無くなった。 連星 NGC 663 #319 は系統的なドリフト成分があり、おそらく 20 年以上の軌道 周期を持つ連星のメンバーであろう。同様の振る舞いが NGC 7235, Basel 10 内の超巨星で観察されている。南天星団 NGC 2439, NGC 3293, NGC 3766, NGC 4755, tr 15, Tr 27 でも類似の現象が観察された。しかし、その多くは 観測数が不足している。 |
α Persei α Persei (F5 Ib) は 160 回の観測がなされた。しかし我々の誤差 は 500 m/s で変動をはっきりさせられなかった。 Butler 1998 は 周期 77.17 日、振幅 56 m/s の変動を見出した。この振幅では確認 出来なかったのは無理もない。 NGC 654 #554 NGC 654 #554 は全振幅 5km/s の明確な変動を示す。規則性は認められない。 これは主に頻度が足りないせいだろう。 |