Red Giants in Open Clusters XIV. Mean Radial Velocities for 1309 Stars and 166 Open Clusters


Mermilliod, Mayor, Udry
2008 AA 485, 303 - 314




 アブストラクト 

 星団内に赤色巨星が 2 - 3 個しかない時、視線速度はメンバーシップ判定の 有力な手掛かりである。CORAVEL 分光器で測った視線速度長期測定の最終デー タを提示する。主目的は分光連星を検出し、その軌道パラメターを決めること である。さらに連星と星団の平均視線速度も求める。1309 星の 10,517 測定 を調べた。  1309 赤色巨星を調べ、非メンバーが 418、メンバーが 891 という結果を得た。 288 分光連星を発見した。内 57 は非メンバーである。さらに、27星は 視線速度が変化していたが全て超巨星であった。今回の結果に固有運動データ を加えると、散開星団の分布と運動の様々な解析が可能となる。しかし、距離 決定が以前として弱点である。この論文は、散開星団中の赤色巨星に関する シリーズの最後である。


 1.イントロダクション 

 視線速度 

 視線速度測定の原理は単純だが、実際のカタログを比べると差が大きく 実際面の難しさが分かる。そこで、 CORAVEL 測定器を用い、

(1)視線速度から星団メンバーシップを決める、

(2)連星を検出する、

観測を行った。 それらの結果は CMD 解析に使われた。 Mermilliod, Meyor (2007), Girardi et al. (2000) を見よ。
 この論文 

 この論文は散開星団内赤色巨星に関する一連の論文の最後である。 CORAVEL を用い 1978 - 1997 にかけて観測したデータを示す。 また、3種類のカタログ:(1)187 星団内の 1309 星に対する 10,517 測定。 (2)1309 星の平均速度。(3) 166 星団の平均速度、を提示する。


 2.観測 

 3.以前の文献 




表1.以前に発表された星団のリスト


 4.カタログ 

 4.1.個々星のカタログ 


表2.個別測定リストの例




表3、4.個々星の情報




図1.視線速度測定回数のヒストグラム

図2.露出時間のヒストグラム




図3.P(χ2)の分布。P=0 のピークは連星に対応。


 4.2. 1309 赤色巨星の平均視線速度 




表5.個々星の平均視線速度リストの例

 4.2.166 散開星団の平均視線速度 

 表6.NGC 星団の平均視線速度 









 表7.IC 及び anon 星団の平均視線速度 





 5.結果 

 5.1.メンバーシップ 


図4.星団の内部視線速度の散布度(dispersion)のヒストグラム

 多くの場合、非メンバーの視線速度は星団平均速度から大きく外れているの で楽に区別できる。散開星団の視線速度散布度は、図4から分かるように、 0.5 km/s 程度である。我々は 3σ = 1.5 km/s の違いまでを メンバーの基準とした。 違いが 2.5 km/s までの星は, CMD の位置が 妥当かどうかを調べた。  違いが 2 - 5 km/s の場合判定は困難である。

 5.2.星団の内部視線速度の散布度 


図5.星団の内部視線速度の散布度(dispersion)と赤色巨星の数の関係

 図5に示すように、赤色巨星が多い星団は散布度も大きい。





表8.セファイドの視線速度

 5.3.セファイド 

 星団フィールド内の 12 セファイドは視線速度曲線を描くために頻繁 に観測された。その数は SV Vel の 12 から U Sgr の 60 に及ぶ。 その結果は表8に示されている。  これらの新しいデータといくつかの連星セファイドの軌道は これらが星団のメンバーである新たな支持を与える。特に CS Vel と 他の3つの赤色巨星は明らかに Rup 79 に属する。


 5.4.赤色及び黄色超巨星 

 固有変動幅 

 ペルセウス腕領域の星団 NGC 457, NGC 581, NGC 663, NGC 884 の 赤色超巨星は初年度に頻繁に観測された。全ての星は固有変動を示した。 変動全幅は 5 - 10 km/s である。変化は周期的ではなく、変動幅は 時間と共に変化する。同時測光観測データはないので変光と視線速度変化の 関係は不明である。NGC 457 #25 は 2000 日の間規則的な変化を示した 後、JD 2,447,500 から変化が無くなった。

 連星 

 NGC 663 #319 は系統的なドリフト成分があり、おそらく 20 年以上の軌道 周期を持つ連星のメンバーであろう。同様の振る舞いが NGC 7235, Basel 10 内の超巨星で観察されている。南天星団 NGC 2439, NGC 3293, NGC 3766, NGC 4755, tr 15, Tr 27 でも類似の現象が観察された。しかし、その多くは 観測数が不足している。
 α Persei 

 α Persei (F5 Ib) は 160 回の観測がなされた。しかし我々の誤差 は 500 m/s で変動をはっきりさせられなかった。 Butler 1998 は 周期 77.17 日、振幅 56 m/s の変動を見出した。この振幅では確認 出来なかったのは無理もない。

 NGC 654 #554 

 NGC 654 #554 は全振幅 5km/s の明確な変動を示す。規則性は認められない。 これは主に頻度が足りないせいだろう。


 5.5.視線速度の銀河系内分布 

 図7.星団の l-v 図。 



 黒丸=太陽から 1.2 kpc 以内。白丸=以遠。銀河回転効果が明らかである。

 6.新発見の連星への個別コメント 

 7.議論 

 8.結論