Preliminary Analysis of the AKARI FIS BSC


Marton, Toth, Ueno, Zahorecz, Kawamura, Tamura
2010 JPCS 218,




 アブストラクト

 AKARI FIS BSC の予備解析の結果を報告する。サンプル数は 63370 個。 異なるフラックス・クオリティ Q での銀河系分布を調べた。表面密度は 既知の赤外で明るい銀河系内領域との相関が高い。Qの違いによる分布の 差は認められなかった。

 1.イントロ 

 AKARI FIS は IRAS の一桁高い感度と数倍の空間分解能の全天サーベイを 目標にしている。全天サーベイは無バイアスで赤外天体の寄与を調べるのに 最適な方法である。我々の目的は異なるタイプの天体を、特に YSO に重点を 置いて、分類することである。AKARI 点源の分布を CO マップと比較した。



 2.観測  

 N60 と WIDE-S は G:Ga 検出器、 WIDE-L と N160 は Stressed Ge:Ga 検出器である。その性能は表1に載せた。

 3.AKARI FIS BSC   

 AKARI FIS BSC は現在のところ AKARI FIS サーベイの基本カタログである。 これは "AKARI point source catalog" とも呼ばれる。その β-1 版は 63370 天体を含む。位置誤差の平均は 8" で、フラックス誤差は 20 - 25 % である。quality class は Q = 1 から 3 に分かれる。研究には 3 を使うべきで ある。全てのカタログ天体はどれか一つのバンドで Q = 3 である。11905 天体 は二つが Q = 3, 3758 天体は少なくとも 3 つで Q = 3, 3401 天体が全4バンド で Q = 3 であった。

表1.AKARI/FIS 検出器



  


図1a.WIDE-S と WIDE-L の精度 Q = 3 天体の分布。

図1b.全バンドで Q = 3 天体の分布。



 4.AKARI 点光源の銀河系分布 

 4.1.銀緯分布 

 銀緯分布は銀河面に強いピークを持つ。FWHM = 4° であった。 図3a, 3b のどちらにも -30° < |b| < -40° で 局所極大が見られる。これは LMC の影響である。


図2a.*33* 天体の銀緯分布。b = -30 付近のコブは LMC


 WIDE-S と WIDE-L の Q = 3 である天体を *33* 天体と呼ぶ事にするが、 *33* 天体は銀河面方向に強い極大を示した。


図2b.Q = (3333) 天体の銀緯分布


 4.2.銀経分布 

 図3は銀経分布を示す。*33* 天体は二つの極小を有する。 第1の極小は 120° < l < 200° である。そこには Tau-Aur-Per 複合雲が存在するのだが。それでも総数は低い。




図3a.*33* 天体の銀経分布。


 もう一つは 220° < l < 260° である。そこもやはり 星間物質の量が少なく、 YSO が形成されにくい。この傾向は *33* 天体でも、3333 天体でも現れている。




図3b.Q = (3333) 天体の銀経分布



 5.議論 

 赤外天体の多くは若い星か銀河である。YSO の赤外超過は前主系列星 の周囲のガスやダストが原因であるが、系外銀河も多くのダストとガス を持ち似たような散乱効果を表わす。星はガスの多い銀河面付近で生まれる。 FIS 天体の 81.04 % は -5° < b < 5° 区間にある。  12.34 % は中銀緯の 5° < |b| < 30° にある。僅かに 6.62 % が高銀緯天体である。 AKARI FIS BSC の分布は CO 分布 Dame et al. 2001 と強い相関を示す。特に、-60° < l < 60° の高原状 分布と、220° < l < 260° の極小部の類似が注意される。