The NIR TRGB 1. A Calibration in the Isolated Dwarf Galaxy IC 1613


Madore, Freedman, Hatt, Hoyt, Monson, Beaton, Rich, Jang, Lee, Scowcroft, Seibertr
2018 ApJ 858, 11 - 20




 アブストラクト 

 Las Campanas 6.5 m Baade Magellan 望遠鏡の FourStar NIR カメラを使い、 IC1613 ハローにある星を NIR で観測した。観測 CMD に見られる J-H, J-K カラーによる TRGB による右上がり勾配を補正するメタル量不変な T-バンド等級 を作った。  IC 1613 の観測から決まったカラータームとマゼラン雲の観測との比較から 得たゼロ点等級を用い, IC 1613 の距離指数=24.32±0.03(statistical) ±0.05(systimatic) を得た。


 1.イントロダクション 

 決定法 

 TRGB 点を定めるため、Solbel filter ( Lee, Freedman, Madore (1993) Rizzi07), 光度関数のフィッティング (Mendez02, Conn11) などが用いられてきた。

 メタル量効果  

 モデル(Salaris05)はソーラー以下でヘリウムフラッシュ光度に弱いメタル量 依存があることを示す。可視観測では、ラインブラッンケティング効果のため 高メタルになると暗くなる。一方可視で吸収された光は NIR に回るので、そこ では明るくなる。その結果、 I バンド等級はメタル量の影響が小さい(Lee93)。 この効果を図1に示す。

 NIR でのTRGB  

 I バンドの弱点は

(a) 減光が大きい。

(b) NIR の方が明るい。

しかし、 NIR においてメタル量に広がりがある系における TRGB 等級の分布は 調べられていない。

図1.TRGB 位置のマンガ。  





図2.左: IC 1613 10' カタログ星。半径 4' 円=内側円盤。 右:密度分布。




表1.測光カタログの一部、10星の例。

 2.観測 


図3.S/N 変化。縦線は IC1613 のTRGB 等級。混み過ぎのため解析から外す。


図4.IC 1613 10'.8x10',8 画角内の 23525 星 CMD. 破線= K21magの限界等級線。
 CMD 

 FourStar の画角は 10'.8x10'.8、0".158 でもともとセファイド検出を狙って 円盤を中心においているが、視野が大きいので円盤周辺部も十分測定可能である。 図3に S/N を示す。図4の CMD を見ると、上部 MS の存在が分かる。
(全然筋に見えない。カラー誤差大? SFH が出せると思うか? )


 ハロー 

 丸の外=ハローの星で S/N > 10 の測光精度良好星の CMD を図5に示す。








図5.IC 1613 ハローの S/N > 10 6070 星の CMD. 破線= K21magの限界等級線。


 3.TRGB の決定 


図6.ハローにある種族 II の星による H-(J-H) CMD. 実線= TRGB の位置と 勾配。両側の実線は ±0.1 mag. 丸付き点=±0.02 mag の星。.  

 基準線の自己無矛盾な決定 

 図6の基準線は以下のような自己整合的な方法で決められる。

(1)H-(J-K)図上眼視で TRGB 線の勾配とゼロ点を決める。

(2)この勾配とデータでTTRGB-(J-K) 面に移る。図7。

(3)T 等級光度関数を作る。ビン巾 0.01 mag.

(4)境界検出ソフト(ここでは GLOESS)で、TRGB 等級とピーク巾を決定。

(5)勾配を変えて(2)ー(4)を繰り返す。

(6)最小巾を与える勾配を解とする。

 最終解 

 こうして得られた最終解を図8に示す。

図7.修正 H - (J-H) CMD.  


図8.修正 H による光度関数。TRGB 不連続の図示はあくまで 理解のためで、解析には用いられていない。  





図9.修正 J, K 等級を使った CMD.

 4.相対的ゼロ点較正 

 TRGB ライン 

 修正等級法によって得た TRGB ラインは以下の通りである。

   J = 19.21 -0.85[(J-K) - 1.00]

   H = 18.40 -1.62[(J-K) - 1.00]

   K = 18.21 -1.85[(J-K) - 1.00]

二色図上では、

    (J-H) = 0.77(J-K) + 0.04