Sharpening the Tip of the Red Giant Branch


Madore, Mager, Freedman
2009 ApJ 690, 389 - 393




 アブストラクト 

 TRGB 光度を測るため、合成等級 T = I - β[(V-I)o - 1.50] を導入した。 それを NGC 4258 (maser galaxy)で試した。  赤化ベクトルの方向が TRGB の勾配とほぼい位置するため、この方法は偶然にも赤化の影響を軽減する。


 1.イントロ 

 Sobel フィルター 

  Lee, Freedman, Madore (1993)  は TRGB 等級の決定に Sobel フィルターを用いた。
 合成等級 

 今回はメタル量の影響を考慮した合成等級を紹介する。


 2.T 等級 

 定義 

 図1を見ると分かるように、T 等級は次式で定義される。

  TRGB = Io - β[(V-I)o - γ]

暫定的に (V-I)o = [1.5, 3.0] で β = 0.2 とする。TRGB が見られる 一番右側は [Fe/H] = -1.7 dex の時で、(V-I)o = 1.5 である。 それで、 γ = 1.5 とした。 種族 II で最も高メタルのとき (V-I)o =3.0 である。

 T と 距離指標 μ 

 基準カラー (V-I)o = 1.5 で MTRGB = -4.05 である。 従って、

  μTRGB = TTRGB - MTRGB = TTRGB + 4.05
     = I(RGB)o - 0.20[(V-i)o-1.50] + 4.05
     = I(RGB)o - 0.20(V-i)o + 4.35

図1.RGB のメタル量依存性。


 3.新しい方法 

 4. データによるテスト: NGC 4258 (Maser galaxy) 


図2.NGC 4258 の I-(V-I) CMD. TRGB が I = 25.39±0.11 に見える。 TRGB下一等巾内に 10,200 星がある。 C はセファイド距離からの予想 TRGB 等級。M はメーザー距離からの予想。

図3.左:メタル量補正等級 TRGB - (V-I) 図。 右:規格化 Sobel フィルター応答曲線。ピークは I = 25.21 significance 4.8 σ である。



図4.図3と同じだが、1 mag 巾内の星数を 1/14 = 500 に下げた。 応答曲線ピークは I = 25.18 significance= 1.9 σ である。しかも

図5.図3と同じだが、1 mag 巾内の星数を 1/50 = 192 に下げた。 応答曲線ピークは I = 25.74 significance= 1.2 σ である。しかも 同じくらいのピークが多数発生。



図6.1mag巾内の星数 N を変えた時の TRGB 等級の変化。破線=最大星数 で決めた TRGB 等級。 N = 500 くらいまでは、ポアソンノイズが 0.1 mag まで 上がること以外はバイアスなしに決まる。N = 200-300 以下になると0.5 mag 落ちる。
 ボーナス 

 I-(V-I) 図では赤化ベクトルの方向が TRGB の傾きとほぼ等しい。 従って減光があっても T 等級は変化しない。