Red Supergiants in the Andromeda Galaxy

  Massey, Silva, Levesque, Plez, Olsen, Clayton, Meynet, Maeder 2009 ApJ 703, 420 - 440

 赤色超巨星は比較的大質量 (10 - 25 Mo) の星の短期の進化ステージである。 大質量星の進化はマスロスにより大きく影響され、マスロスはメタル量に依存する。 したがって、様々なメタル量の銀河で大質量星の性質を調べることが望ましい。 ここでは、局所群で最も高メタルの M31 における赤色超巨星のサンプルを提示する。

 中分散分光と V - K 測光により星の性質を調べた。V では約 0.5 等の変光が 観測された。これはマゼラン雲での 0.9 等より小さいが同程度である。そのような 変光は K では観測されなかった。これも銀河系やマゼラン雲での結果と一致する。




図1.赤=赤色超巨星。黒=前景星。同じ V-R で比べると、低重力の星は大きい B-V を示す。M31 に典型的な E(B-V) = 0.13 の赤化ベクトルを図に示す。


図3.図1と同じ。緑=以前 Massey 1998 分光で確認された赤色超巨星。 幾つかは B-V が小さいのでこの論文の区分では含まれない。その理由は 本文参照。


図5.Teff = 3700 K, log g = 0.0 の3モデル。3つのバンドは TiO λ 6159, 6651, 7054 A。上の二つの差は下の二つより小さい。

 メタル量が太陽より大きいと TiO バンド強度は飽和することが判った。 大気モデルによって調べた赤色超巨星の性質は現在の進化モデルと合致する。これは 両者に含まれる複雑な物理過程を考えると驚きである。赤色超巨星の光度上限が メタル量によるという予想の確認は出来なかった。最も明るい光度は、 log (L/Lo) = 5.2 - 5.6 で、最近 Smartt et al が観測した Type II - P 超新星の光度上限よりやや大きいがほぼ合う。赤色超巨星は O, B 型 星より減光が 0.5 mag ほど大きい。これは星周ダストの影響であろう。これは 銀河系やマゼラン雲での結果と一致する。最後に、特異な星を注意したい。 このスペクトルは多分ダストシェルのために、強くもやっている。




図2.X = 長軸沿いの距離。R=円盤状の距離。回転速度=一定 Vo の円盤では Vrad = Vrad,o + Vo sinξcosθ , ここに Vrad,o = 中心視線速度、 ξ = 傾斜角, θ = 円盤内の経度。X/R = cosθ である。
(左)電離領域の視線速度 (Rubin, Ford 1970) (右)赤色超巨星候補。


図4.黒=観測スペクトル。赤=MARCS モデル。



図8.進化モデルとの比較。実線=古いジュネーブモデル。破線=回転の入った 新しいジュネーブモデル。丸=スペクトルから温度を決めた。バツ= V, K のみ使用。