Galactic Structure and Galactic Rotation from Cepheids


Kraft, Schmidt
1963 ApJ 137, 249 - 267




 アブストラクト 

  Kraft (1961) によるセファイド周期光度関係と周期カラー関係を用いて、光電測光等級と カラーの分かっている全セファイドの距離を求めた。1500 pc 以内のセファイ ドの大部分は太陽から見て銀河中心側にある。長周期セファイドのみに、OB アソシエイションと似た渦状腕の兆候が見える。  セファイドの視線速度の解析から、回転定数 A と太陽運動を求めた。 視線速度には系統的に -3 km/s のズレがあった。(意味不明)。銀河面上の 太陽運動成分は Uo = -8 km/s, Vo = 13 km/s で、A = 15 km/s/kpc であった。 現在の距離スケールとここで導いた太陽運動を用いた永年視差に基づく距離 スケールとの差について議論する。


 1、イントロダクション、観測データ 

 カラー 

 セファイドは変光の間光度クラス II, Ib, Iab でスペクトル型は F, G 型 である。そこでは G-バンド強度がスペクトル型に鋭敏であることが知られて いる。銀河星団内セファイドの研究から、固有カラー(B-V)o と G-バンド強度 との相関が明らかとなった。そこで、フィールドセファイド星に対しては、 G-バンド強度の観測から固有カラーと色超過を出す。それらの観測から

  ⟨(B-V)o⟩=-0.101(logP)2+0.5385(logP)+0.2644

が導かれた。 Kraft (1961)
 絶対等級 

 星団セファイド5個から周期光度関係は導けない。そこで、SMC セファイド の勾配 (Arp et al. 1960) を使い、ゼロ点だけ星団セファイドから決めるという 手法で以下の周期光度関係を導いた。

   ⟨(Mv)o⟩ = -1.67 - 2.54 logP

ここでの平均等級は可視光強度の時間平均に対応する等級である。

 表1.セファイドデータ 












図1.全セファイドの銀河面上分布。白丸は重みが低い。

 2.セファイドの空間分布 

 不完全方向 

 図1に 5 kpc 以内のセファイド全ての位置をプロットした。タイプII と 分かっている、または疑われる星は省いた。1.5 kpc 以内ではサンプルは完全 と思われるが、その先では不完全な方向がある。

(i) l = 0付近
減光が強いため。

(ii) l = [150, 230]
北半球から冬で観測条件が悪い(米国?)

(iii) l = 270 付近
減光が強い。

 カリーナ腕への注意 

 方向による不完全性には注意が必要である。例えば、図1を見ると、太陽から l = 290 方向に渦状腕が伸びていると結論したくなる。星間減光を調べると、 我々はほぼ確実に腕の内側縁を見透かしていることが判る。しかし、腕の中央部 は大きな減光のために失われている。それは l = 275 付近であろう。遠距離に おける腕位置に関しては、非常に赤くて暗い、赤化大のセファイドの距離が 確定するまで結論を待つべきである。

 太陽近傍 

 1.5 kpc 以内の配置に関しては二つ確かなことがある。

(i) セファイドは太陽内側に
セファイドの大部分は太陽から見て銀河中心側にある。

(ii) l = [90, 150]
距離 1.5 kpc までセファイドがない。

これ以外は散らばりが大きくて、確かな結論が導けない。定性的には 全セファイドから渦状腕をなぞれない。
 長周期セファイド 

 長周期のセファイドはより若い B-型星から進化したはずなので、 ⟨(Mv)o⟩ ≤ -4.3 の配置を図2に示す。今回は渦状構造、少なく とも北銀河では、が明らかである。以下の二つの腕が確認される。
(i) Per-Cas 腕
(l, r) = (170°, 2 kpc) から (110° 3.5 kpc) 反時計方向に追跡すると l = 170 付近で不可解にも消滅する。腕が実際にない のか、明るい星の形成率が低い腕になるのか分からない。

(ii) Cyg 腕
太陽から l = 75° 方向へ。太陽付近でどこを通るか、サンプル不足で はっきりしない。それがオリオンに伸びて Puppis (l = 240) 方向に続くのか、 カリーナ方向に伸びるのか、はっきりしない。太陽付近に分岐があるのだろうか?

 なぜ、長周期セファイドのみ? 

 ⟨(Mv)o⟩ = -5.0 セファイドは O9V 星、生まれてからヘルツシュ プラングギャップまでの期間 7 Myr。散らばり速度 10 km/s を仮定すると、この 期間に 70 pc 広がる。いっぽう、 ⟨(Mv)o⟩ = -3.0 セファイドは 期間 30 Myr, 300 pc まで広がってしまう。このために腕構造はぼやけて消える のである。
(消えないと思う。 )


 他のトレーサーとの比較 

 図3に Schmidt 1958 による OB アソシエイションの配置を長周期セファイドと 重ねた。「北辺」の一致は良い。どちらも "Per-Cas", "Cyg" 腕を良く表している。 注目したいのは太陽付近で短周期セファイドが、太陽から見て銀河中心側に集まって いることである。それに反し、OB アソシエイションは太陽の周り両側に存在する。 この差は明らかであるが、長周期セファイドではどうか、サンプル数が不足して はっきり言えない。





図2.⟨(Mv)o⟩ ≤ -4.3 の長周期セファイドの配置。




図3.黒丸=⟨(Mv)o⟩ ≤ -4.3 の長周期セファイド、 バツ印= OB アソシエイションの配置。

 3.回転定数 A 

 A の決定、更に高次定数の話が続くが略。