NIR Variability of a Sample of Galactic Carbon Stars


Kerschbaum, Groenewegen, Lazaro
2006 AA 460, 539 - 545




 アブストラクト

 IRAS カタログの赤外炭素星およびCO膨張速度大の既知炭素星から 47 星を 選び、JHKL' 多数回測光観測を行った。その結果 31 星の周期を決定した。 これまでの炭素星周期最長記録 783 日を少し上回る 840, 870 日周期の星 が含まれる。 これは OH/IR 星に比べると大分短い。  モデル計算から、炭素星周期が 900 日を超える確率が 1 % 以下なのは 2.6 - 3.1 日である。これは HBB から予想される 4 Mo 限界とも合う。


 1.イントロダクション 

 炭素星周期の最長記録は、銀河系では 780 日前後 (AFGL 809, AFGL 2494 Jones et al 1990) LMC では 940 日(IRAS 05190-6748 Whitelock et al 2003) である。それに対し O-リッチの OH/IR 星では 2800 日  (van Langevelder et al 1990) が知られている。  しかし炭素星変光の観測はまだ少ない。そこで変光観測を行った。


 2.サンプルと観測 

 サンプル 

 LRS 4n、S25/S12 > 0.4, S12 > 50 Jy の条件で IRAS 炭素星サンプル を選んだ。さらに Loup et al 1993 の CO 観測で Vexp > 23 km/s のものを 加えた。
観測 

 観測はカナリー島 1.5 m 鏡+CVF で 1995 - 1999 年に行った。





表1.平均等級、観測回数、距離は PLR から。

 3.結果 

 3.1.周期 

 フーリエ解析 

 図1に変光の例を示す。Lebzelter 1999 が述べているように、フーリエ解析 のみから周期を決定するのはしばしば満足できる結果にならない。 形式的なフーリエ解析からの 周期不定性は Δf = 1.5/ΔT, ここに ΔT = サンプル長、 である。Loumos, Deeming 1978. これは我々の ΔT = 1000 日に対して P = 300, 500, 700 日では ΔP = 135, 375, 735 日という過大な不定性に導く。 我々は視察と最小二乗フィットを併用した。

 ナイキストサンプル 

 サンプル間隔は決定周期の下限を設定する。例えば 1000 日に 10 点の観測 ではナイキストカットは 200 日である。

 図1=変光例

 表1には得られた周期を示す。過去に変光観測があったのは数星のみであった。 13 星が Whitelock 2006 により独立に観測されていた。合わないのもある。

図1.K-測光の例。



図2.Epstein et al 1987 提案の C/M 分離二色図。

 3.2.平均カラー 

 図2は Epstein et al 1987 提案の C/M 分離二色図である。o2 と o3 は O-リッチ星がある。c は炭素星領域である。境界線の下の方の越境星は IRAS 03192+5642 で GCGCS カタログに載っている。上の方の越境星は IRAS 19548+3035 = AFGL 2477 で、Groenewegenet al. 1996 により研究され た。可視から 3 μm までは M6S 型スペクトルを示す。 その先は LRS に あるように強い SiC 放射バンドを示す。

図3.Mbol - log(F25/F12) 図。

 3.3.絶対等級と距離 

 Groenewegen, Whitelock 1996 の P-K 関係を用いて、 MK, Mbol を出した。Groenewegenet al. 2002 刃 Mbol と IRASフラックス比との関係を出した。図3にその関係を チェックした。



図4.Z = 0.016, 2.5 Mo(左上), 2.6 Mo(右上)、3.0 Mo(左下) と Z = 0.010 3.0 Mo(右下) O-リッチ星の不安定帯内部でのモデル周期分布。




図5. 2.5 Mo(左上), 3.0 Mo(右上)、3.5 Mo(左中), 4.0 Mo(右中)、 4.5 Mo(左下) と 5.0 Mo(右下) の不安定帯内部でのモデル周期分布。

 4.議論と結論 

 最長周期 

 47 赤外炭素星の NIR 観測から 31 星で信頼できる周期が得られた。 振幅から全てミラ型星であった。最長周期は 840, 870 日であり、 これまでの最長記録を超えているが、 OH/IR 星の周期に比べると かなり短い。

 モデル 

 Groenewegen, Blommaert 2005 のモデルと同じコードで AGB 進化 計算を行った。これは簡単に云うと Wagenhuber, Groenewegen 1998 の AGB コードをチューンして Vassiliadis, Wood (1993) を再現できるようにし、次にそれを様々な初期質量で計算した。 そして不安定多での基本振動周期の分布を求めた。

 不安定帯 

 O-リッチ星は Feast et al. (1989)

   Mbol = -3.00logP + 2.85

 C-リッチ星は Groenewegen, Whitelock 1996 の

   Mbol = -2.59logP + 2.02

を採用する。AGB 計算の各ステップで Vassiliadis, Wood (1993) の方法で、基本振動周期を計算する。モデル光度が上の関係の 0.20 mag 以内になったらミラ型不安定帯に入ったと考える。表2には AGB 寿命 = AGB スタートモデル(?)から外層質量が 0.04 Mo を切るまで、または Teff > 4500 K になるまで、を載せている。

表2.AGB と LPV の寿命



 周期分布 

 図4と図5には、モデル周期分布を示す。モデル計算に依れば、 2.5 Mo が C-星 PL-関係図で P > 900 日領域にある期間は 0.1 %, 2.6 Mo で 1 %, 3.0 % では 30 % となる。低メタルではこの数字が 延び、 LMC で最長周期が MW より長いことを支持する。  この限界質量はマスロスモデルに依らない。