O-リッチ AGBs の星周外層中ダストの成分を決めるために、ダスト成分、 マスロス率、シェル内径、星パラメターのグリッド上で MODUST 輻射輸達モデ ルを作った。モデルのカラーを SAGEーSpec LMC サンプルと比較して、良い一 致を得た。5 - 37 &mu:m Spitzer IRS スペクトルと 可視 - MIR の測光が与 えられた 37 O-リッチ AGB 星をフィットした。 | モデルフィットから得たマスロス率は 8 10-8 - 5 10-6 Mo/yr である。観測スペクトルに合うダスト組成は 非晶質シリケイトが主成分 で、それに非晶質アルミナ、金属鉄が加わる。AKARI の[11-15]-[3.2-7] 二色図 からアルミナの割合を決めることも出来る。 |
![]() 図2.アルミナ比率の変化によるスペクトル変化。マスロスは 7.5 10-7 Mo/yr 固定。 星 Teff = 3715 K (M1), 3396 K (M5), 2667 K (M9) とした。L = 7000 Lo. Rin を様々にグリッド ダスト温度 Td は次の式で決める。 ![]() s = 1 (Olofsson04), Tcond = 1000 K (Gail, Sedlmayr 1999) とした。 しかし、アルミナの Tcond = 1400 K である。しかし我々は各成分毎に 異なる内径を設けることはせず、Rin = 2.5, 3, 5, 7, 15 Rs のグリッドを計 算した。中心星のスペクトルは Flux et al. (1994) を使用した。 Vexp = 10 km/s Vexp = 10 km/s, ダスト/ガス1=0.005 とした。 星周ダスト 10-7 Mo/yr 以下では単純な金属酸化物が主成分 Cami02, Posch02 である。それより上ではシリケイトが主役になる。金属鉄 Kemper02、McDonald10 も寄与してくる。図1では Ossenkopf92 の O-rich (Orich) 、O-poor(Opoor) シリケイト, Suh99 の "warm", "cool" シリケイト、Draine, Lee 1994 の "astronomical" シリケイトの五種に Jager03 と Dorschner95 の非晶質 オリビンの二つでモデルを作り観測と比べた。その結果、Dorschner95 の非晶質 オリビンが最も良く再現することが分かった。近赤外でのオパシティを上昇さ せるために金属鉄 Ordal88 が必要である。Kemper02, de Vries10 に倣いその 質量比を 4 % とする。球形のダストは非現実的な共鳴効果(Min03)を持つので、 細長い楕円体形状で continuous distribution of ellipsoids (CDE) モデル を用いる。 |
![]() 表1.モデルパラメター 星周ダスト 10-7 Mo/yr 以下では単純な金属酸化物が主成分 Cami02, Posch02 である。それより上ではシリケイトが主役になる。金属鉄 Kemper02、McDonald10 も寄与してくる。図1では Ossenkopf92 の O-rich (Orich) 、O-poor(Opoor) シリケイト, Suh99 の "warm", "cool" シリケイト、Draine, Lee 1994 の "astronomical" シリケイトの五種に Jager03 と Dorschner95 の非晶質 オリビンの二つでモデルを作り観測と比べた。その結果、Dorschner95 の非晶質 オリビンが最も良く再現することが分かった。近赤外でのオパシティを上昇さ せるために金属鉄 Ordal88 が必要である。Kemper02, de Vries10 に倣いその 質量比を 4 % とする。球形のダストは非現実的な共鳴効果(Min03)を持つので、 細長い楕円体形状で continuous distribution of ellipsoids (CDE) モデル を用いる。 |
図3左=IRAC 二色図 図3左=IRAC 二色図はまずモデル大気点が 3396 K (M5) と 2667 K (M9) の 間で [3.6-4.5] が飛び過ぎる。このため、中間域がカバーされない事となった。 サンプルは [3.6-4.5] < 0.7 で C/M 分離が悪い。 図3右=IRAC/MIPS 二色図 5.8-8-24 の二色図は C/M 分離が良く、 Kastner08, Boyer12 などによって、 O-リッチと C-リッチ AGBs の識別に使用されている。 図4左 = 2MASS/WISE ダストが薄い [4.6-12] < 1.6 までは主に Teff の違いにより、 M-星と C-星 の (J-Ks) は分離している。RSGs は M1 モデルで良く再現されている。 J-Ks が青い方にはみ出る星がある。 Whitelock03 は非対称性構造による散乱光 の効果か、脈動によるカラー変化とした。 |
図4右 = WISE 二色図 図3左と似た配置となる。[3.6-4.5] は暖かいダスト、[12-22] は冷たいダスト の指標と考えると図を理解しやすい。[3.6-4.5] > 0.5, [12-22] > 1.5 の 星は、金属鉄が多い星かも知れない。 図5=AKARI 二色図 [7-11] カラーは縮退しているが、[11-15] カラーはアルミナの量により 分離することが分かる。したがってこのカラーはアルミナ量の推定に 使える。 GRAMS Sargent10 と Srinivasan11 は GRAMS モデルグリッドを開発した。 O-リッチモデル(Sargent10)は Ossenkopf et al. (1992) の O-欠乏型シリケイトグレインを使用している。一方 C-リッチモデル (Srinivasan11) は炭素と 10 % 炭化ケイ素の混合ダストを使用している。 彼らは Ueta, Meixner 2003 の 2DUST コードを使用して輻射輸達を解いた。 大気モデルには Kucinskas05, 06 のPhoenix モデル 14 個を使っているので Teff が細かい利点がある。 |
![]() 図7.点線= Sloan,Price95 のシリケイトダスト系列。 F10/F12 = 1.32(F10/F11) 1.77 赤、青点=今回のモデル。黒菱= LMC O-AGBs. SE 指数 SE = silicateemission 指数は Sloan, Price (1995), Sloan,Price 1996 が提案したスペクトル分類法である。 定義は、 SE = 10*(F11/F12) - 7.5 10 μm 放射が殆どないときは SE = 1 - 3, 細くて強い 9.7 μm 帯は SE = 7 - 8 である。 光学的に薄い O-リッチ AGB シェルにおける 8 - 12 μm 放射の変化を表す。 図7と図8 図7は F10/F12 対 F10/F11 を示す。図8には SE の分布。 |
![]() 図8.モデルグリッドの SE 指数分布。色分けは M9 大気の各モデルで使用さ れた Rin/Rs の値を示す。色分布が均一なことは、 SE 指数がダスト温度に 依存しないことを意味する。 ![]() 図10.LMC AGBs の SE 分布 |
![]() 図13.SSID 182 へのフィット。青=金属鉄を含むモデル。 赤=金属鉄を含まないモデル。これは鉄を入れるとフィットが悪くなる 唯一の例である。 サンプル星 LMC AGBs のアルミナ量を調べるために、Kemper10 のSAGE-Spec サンプル から選んだ 54 O-リッチ AGBs にモデルフィットを行った。光学的に厚い星 ではアルミナは観測されていないので、自己吸収のある星は除外した。また、 大気がそのまま見えている星も除いた。残ったのは 37 星である。 フィットの結果を図11と表2に示す。 また、その中の 8 星は AKARI 測光値があったので、図12に示すフィットを 行い、結果を表3に示す。 10 ミクロン帯 モデルフィットは 10 ミクロン帯の再現には成功してる。AKARI データを 組み合わせるとアルミナ量の推定に役立つことも分かった。 λ > 16 μm フィット 長波長 λ > 16 μm でのフィットはそれほど良くない。18 μm 放射帯ではシリケイト光学定数が強すぎる放射帯を生み出す。また実験室データの ピークは短波長過ぎる。 鉄なし星 実験シリケイトは NIR のオパシティが小さいため鉄グレインの追加が必要で ある。しかし、SSID 4329 では図13に示すように鉄が不要である。 |
![]() 図14.二つのサンプル星におけるスペクトル変化。 スペクトル変化 IRAS 04544-6849 (SSID 4076-4081) と HV 2446 (SSID 4324-4329) は複数 回の IRS 観測が行われた。図14に示すように、どちらも 10μm/20μm 比が変光位相と共に変化する。これはダスト温度の変化によるもので、 Monnier98 が示すように光度変化に関係する。ただ、10 μm 帯のピーク波長 が変光と共に変化することは、ダストオパシティの光学的性質が温度と共に 変化することを示唆する。 明るい星 サンプル中最も明るい星 RS Men (SSID 4287) は距離 4.75 kpc の前景星 とされている。この星はアルミナ比率 60 % と最も高い。 |
![]() 図15.我々のモデルと, Groenewegen 09, Riebel12 とのマスロス率の比較。 他研究との比較 図15には Riebel12 による GRAMS グリッドを使用した結果、Groenewegen09 のマスロス率を我々のマスロスと比べた。我々の値は GRAMS より少し低目 である。 |
![]() 図16.アルミナ量とマスロスの関係。黒四角=今回。青三角= バルジ星 (Blommaert06) アルミナ量 図16にはアルミナ量とマスロスの関係を調べた。両者の間には逆相関が 見られる。 |
ダストシェル輻射輸達モデルのグリッドを作成した。アルミナとシリケイト の組成を変化させて最適組成を求めた。 LMC 37 O-リッチ AGBs のフィット を行った。 | マスロス率は 8 10-8 - 5 10-6 Mo/yr であった。 AKARI [11-15] - [3.2-7] 二色図がアルミナ比率の決定に有効である。 |