The Reddening of K-Giant Stars from DDO Photometry


Janes
1977 PASP 89, 576 - 581




 アブストラクト 

 単一 K 型巨星の DDO 測光から、星間減光と固有 (B-V)o を導く 方法を述べる。  種族 I の星に対してはこの方法はうまく働き、かつ元素組成に依らない。 しかし、種族 II の星にはうまく行かない。


 1.イントロダクション 

 DDOシステムが役に立つのは、そこから星の色々な物理パラメタ―が出る よう較正 Janes (1975) が行われているためである。それらには CN 強度 δCN (実際にはメタル 量パラメタ―)、絶対光度 Janes (1975) 、赤化(McClure, Racine 1969)などがある。  McClure, Racine 1969 の赤化法は光度クラス III の星にのみ適用可能と言う 制約があった。しかし、DDO 指数に (B-V) 指数を加えることで赤化の信頼できる 値を得ることが可能である。


 2.方法 


Janes75 図1.各光度クラス毎の C(42-45) - C(45-48) 関係。

 再解析 

  Janes (1975) で行った方法を再解析した。それは本質的には、 C(45-48) と C(42-45) の 関数として (B-V) を導くことである。この較正に用いられる星は   Janes (1975) と同じで、 Blanco et al 1968 の観測データである。

 第1ステップ 

 まず、光度クラス III, II, I 毎に C(42-45) と (B-V) の関係を導く。 赤化の影響を最小限に抑えるため、クラス III の星は mv = 4 より明るいものを用いた。クラス II, I の星は幾分かの赤化の影響を含む ので、個々に赤化補正を施す。赤化の評価にはスペクトル型から予想される (B-V)o (FitzGerald 170) を用いた。

 第2ステップ 

 各光度クラスごとに C(42-45) - (B-V) 関係が得られた。次に上の   Janes (1975) 図1から得られる光度クラス毎の C(42-45) - C(45-48) 関係を用いて、 光度クラス - C(45-48) - (B-V) 関係が得られる。その結果を図1に示す。 数値データは表1に示す。


( この較正の結果、DDO から光度 クラスが分かるのは大きい。M 型星には使えないのか。)

図1.C(45-48) - (B-V) 面上での C(42-45) 一定線。線毎に付いた数字は C(42-45) の値。この図は表1の (B-V)o を出すのに用いられる。

 赤化の決定 

 赤化の影響は次のように現れる。
   E[C(45-48)] = 0.354 E(B-V)
   E[C(42-45)] = 0.234 E(B-V)
   E[C(41-42)] = 0.066 E(B-V)    81)

係数が小さいので、DDO カラーから決めた (B-V) は観測 (B-V) よりも (B-V)o に近いであろう。そこで、E(B-V)1 = (B-V)Obs - (B-V)DDO を赤化の第1近似とする。この E(B-V)1 を上式(1) に代入して、DDO カラー指数の赤化補正を行う。新しいDDO カラー 指数から、第2近似の (B-V) が得られ、続いて E(B-V)2 が決まる。 こうして、逐次近似により赤化が決定される。 b>


 例題 

 観測値が C(45-48) = 1.235, C(42-45) = 1.023, (B-V) = 1.23 であった とする。表1から第1近似として、(B-V)o = 1.18、E(B-V) = 0.05 が 得られる。 式(1) を使うと赤化補正した C(45-48) = 1.217, C(42-45) = 1.011 となる。表1を参照して、第2近似 (B-V)o = 1.15, E(B-V) = 0.08, 赤化第2補正 C(45-48) = 1.207, C(42-45) = 1.004 を得る。 第3近似 (B-V)o = 1.14, E(B-V) = 0.09, 赤化第4補正 C(45-48) = 1.200, C(42-45) = 1.00, (B-V)o = 1.13, E(B-V) = 0.10 を得る。 大体この辺りで収束と判定する



表1.C(42-45) - C(45-48) 面上の (B-V) 分布



 3.フィールド星と星団星との比較 


図2.E(B-V)DDO の分布。サンプルは太陽から 100 Pc 以内。

図3.図2の星に対する E(B-V) と δCN の関係。相関がないのは この方法が種族 I の星の元素組成に依らないことを示す。

 図2=近傍星の E(B-V)DDO = 0 を示す 

 図2は近傍星の E(B-V)DDO 分布を示す。分布の標準偏差は 0.03 で、 この方法が赤化を定める信頼度が高いことを示す。

 図3= δCN が E(B-V) に無関係 

 図3のサンプル星は図2と同じ近傍星である。したがって、この図に相関が ないことは、 E(B-V)DDO の決定にメタル量変化は影響しないこと を意味する。


  


図4.散開星団の E(B-V)Std と E(B-V)DDO の比較

 図4= EB-V) の比較 

 図4は星団の E(B-V)DDO を文献から取った、主に UBV 測光から 決めた E(B-V)Std と比較したものである。この図は DDO 法が 信頼できることを示している。

図5.球状星団の赤化文献値 E(B-V)DDO との差 Δ[E(B-V)] を (B-V)o に対して比較。

 図5= DDO は球状星団には無理。 

 残念なことに DDO 法は種族 II の星には適用できない。図5には球状星団 の赤化を DDO と UBV とで比較したものである。フィット直線の周りの 散らばりが大きすぎて実用にならない。


 4.まとめ 

 今回の赤化決定手順に、あと幾つかの作業を加えると、種族 I の K 型巨星 にたいしては、DDO の3つのカラーと (B-V) の観測値があれば、個々 に有効温度、絶対等級、メタル量、赤化を決定することが可能となった。  DDO 赤化の精度は較正エラーで決まる。上に述べた比較から考えると、 方法に 0.01 mag 以上のエラーはない。測光エラーが 0.01 mag なら、 種族 I K巨星の赤化を 0.01 mag 精度で決められる。