Cyanogen Strengths, Luminosities, and Kinematics of K Giant Stars


Janes
1975 ApJS 29, 161 - 183




 アブストラクト 

 DDO 中間帯域測光を G, K 型の 1200 星に行い、CN 強度異常と絶対可視 等級を導いた。予想された通り、CN 強度指数 δCN は [Fe/H] と相関 していた。一方、絶対等級の方は興味深い以下の結果を得た。
(i) K 線 絶対等級のウィルソン・バップ較正には修正が必要である。
(ii) δCN と Mv(K線) の間に相関はない。つまり、Mv(K線) にメタル依存性はない。
(iii) 新しい較正から出したヒアデス距離指数は (m-M) = 3.22 である。
 DDO 絶対等級に文献からの視線速度、固有運動を加えて 799 巨星の空間 速度を計算した。Z 方向速度は予想通り、δCN と相関がある。δCN が非常に弱い星は円盤上を高速で動いている。さらに、運動学から δCN には銀河系動径方向の勾配があるらしい。この勾配は銀河面上の 窒素の勾配を反映しているのであろう。


 1.イントロダクション 

 SMR 星 

 Spinrad, Taylor 1969 による SMR 星の発見以降、詳細な分光観測から、 このクラスの星は [Fe/H] が異常に高いというよりは、CN 吸収が異常に 強いと看做すべきと考えられるようになった。運動学的には SMR 星が 比較的古い種族に属している証拠がある。
 G, K 型星の CN 強度と運動学特性 

 ここでは G, K 型星の CN 強度と運動学特性の関係を調べる。 これは銀河形成のモデルと 矛盾する結果である。主なデータは文献から得た視線速度、固有運動、 それに DDO 測光である。 DDO システムは CN 指数を含み、絶対等級も 得ることが出来るので適している。





表1.DDO測光のまとめ

 2.観測データ 

 データの出所を表1に示す。また、これまでに公表されていないデータを 表2に示す。今回新しくキットピークで観測した結果を表3に示す。


表2.これまで公表されていない観測


表4.Bethany 観測所の観測記録

表2.これまで公表されていない観測


表5.コペンハーゲン gnkmf から DDO への変換係数





表3.キットピークでの観測。

 3.DDO測光の較正 

 表6には DDO 測光と MK スペクトル分類を持つ較正用の星を示す。 これらは Ib 星意外 200 pc より近い。

 C(41-42) と δCN 

 C(45-48) と C(42-45) は有効温度と表面重力のよい指標である。そこで、 [C(45-48), C(42-45)] のペアに対して、標準的な C(41-42) を定めることが 出来る。対象星の C(41-42) とこの標準 C(41-42) との差が CN 強度異常で、 それはメタル量の指標となる。

標準 C(41-42) マップの作成第1段 

(1)MK スペクトル型のある星を、スペクトル型・光度クラスの区画に分けて、 各区画毎に3つの DDO カラーの平均値を計算する。この平均値から二つの グラフを作る。図1は [C(45-48), C(42-45)] 面上に光度クラスをプロットしたもの、 図2は [C(41-42), C(42-45)] 面上に光度クラスをプロットしたものである。 図1にはスペクトル型情報も加えた。







図1.[C(45-48), C(42-45)] 面上での平均光度クラスとスペクトル型。 矢印= E(b-V) = 0.1 に対応する赤化線。

表6.δCN 較正に用いた星  


図2.[C(41-42), C(42-45)] 面上の平均光度クラス。矢印=赤化線。



図3.[C(45-48), C(42-45)] 面上での標準 C(41-42) ライン。矢印は赤化。 C(41-42) = 0.40 ラインはデータ星の赤化のためやや不確か。

 第2段 

 図2を用いて、C(41-42) と 光度クラスのペアに対して C(42-45) を探す。 次に [光度クラス、C(42-45)] ペアが図1を用いて対応する C(45-48) を定める。こうして選んだ C(41-42) に対して [C45-48), C(42-45)] 面 上に C(41-42)av 一定の線が引ける。

 δCN 

 図3は C(41-42)av 一定線を示す。表7にはそれを数値で示してある。 ある星の C(41-42) が与えられた時、

   δCN = C(41-42) - C(41-42)av

δCN は McClure 1970 の δCm 指数と関係が深い。二つの指数は クラス III 星に関しては同一である。しかし、他の光度クラスでは異なる 定義を持つ。どちらも与えられた [C(45-48), C(42-45)]ペアに対する「標準」 C(41-42) からの差で定義される。したがって、両者の差は「標準」値の 定義の問題である。

図4.Osborn 1971 リストにある 44 星の δCN と [Fe/H] の関係。 破線は平均線。

 メタル量 

 図4の破線を式で表すと、

   [Fe/H]DDO = 4.5 δCN - 0.2   (2)

となる。個々星の [Fe/H] 精度は 0.10 - 0.15 であり、δCN から発生 する [Fe/H]DDO 精度は 0.07 あるので、式 (2) の信頼度には やや問題がある。  δCN は元来 C と N の存在量に関係する。子午線還流による C, N の増加の可能性も指摘されている。


 表7.C(41-42) の平均値 







 3(c) G, K 星の絶対等級 

 ウィルソン・バップ効果 

 ウィルソン・バップ効果は G, K 型星に対し最も大きく、無矛盾な データセットを用意している。K 線の emission reversal log Wo 可視絶対 等級は次の式で与えられる。

   Mv(K) = -14.94 log Wo + 27.59    (3)

現在 北天の 250 星の Mv(K) が測られている。内 179 星は DDO システムの データがある。これらから Mv(K) と Mv(DDO) の関係が調べられる。


図5.log Wo と DDO 測光から逆算した [log Wo]DDO との 関係。直線は勾配1に設定。  
 log Wo と 三角視差から導いた Mv との関係 


図6.log Wo と 三角視差から導いた Mv との関係= ウィルソン・バップ効果の新しい較正。  


表8.低 Wo グループの視差と絶対等級


  




表9.log Wo と Mv の較正  



図7.(a): ΔMv = 分光絶対等級と三角視差絶対等級の差と δCN の関係。(b): 測光で決めた Wo からの絶対等級と三角視差絶対等級と δCN の関係。  


 4.G, K 巨星の運動 

 図10.DDO 測光の絶対等級較正 


図8.δCN の分布ヒストグラム。比較のため、M 67 と ヒアデスの 位置を示した。

図9.B-V が公開されている星の CMD. 絶対等級は DDO 測光から計算。 破線=ヒアデス、実線 = M67, 一点破線= NGC 188 系列.



図10a.弱い CN 星の CMD. 実線= M 67, 一点破線= NGC 188. 二つの線の間に弱い CN 星がないことに注意。  

図10b.強い CN 星の CMD.  





図11.δCN 強度でグループ分けした星の速度分布。CN が強い星から 弱い星にかけて、速度分散が大きくなり、平均 θ 速度が大きくなる。 δCN のグループ分けは、(a): >0.06. (b) [0.06, 0.04]. (c) [0.04, 0.02]. (d) [0.02, 0.00]. (e) [0.00, -0.02]. (f) [-0.02, -0.04]. (g) <: -0.06