Trigonometric Parallaxes of Massive Star Forming Regions: G0123.88+0.48 and W33


Immer, Reid, Menten, Brunthaler, Dame
2013 AA 553, 117 - 123




 アブストラクト 

 BeSSel プロジェクトの一つとして、  G012.88+0.48 と大質量星複合形成域 W33 (G012.68-0.18, G012.81-0.19, G012.90-0.24, G012.90-0.26 を含む)内の水メーザーの三角視差を測った。  全てのメーザーは距離 2.60+0.17-0.15 kpc で W33 と G012.68+0.48 の両方 がスキュータム腕にあることが分かった。W33 の運動距離 3.7 kpc は大き過ぎた。 W33 Main 内の星団星のスペクトル型は 1.5 ポイント晩期へずらす必要がある。





図1.ATLASGAL による W33 像。十字=水メーザー。矢印は W33 Main を基準に した時の W33A と W33B の運動。左上隅の矢印は 1 mas/yr を表す。G012.88+0.48 は W33 から 0.7° 北、画面外である。

 1.イントロ 

 W33 分子雲 

 W33 は非常に明るい星形成複合体で、静かな赤外暗黒雲から活発な星形成 のさ中にある赤外分子雲まで、様々な種類の星形成域を含んでいる。 ATLASGAL = APEX Telescope Large Area Survey of the GALaxy  による 870 μm ダスト放射光の観測は、図1に示すように 3 つの大きな分子雲と 幾つかのより小さな塊を見せた。

 運動距離 

 W33 は運動学的にも複雑な構成を有し、36 km/s と 58 km/s の速度成分が 広がっている。解釈1では 36 km/s = W33 A に対する運動距離 3.7 kpc の 位置に、全成分が位置し、大きな内部運動を持つ。第2解釈では別の運動距離 を持つ雲が視線方向に重なっている。
 W33 の星 

 W33 の運動距離として 3.7 kpc を仮定すると大きさ 15' は 16 pc となる。 L(FIR) = 105 Lo  M = 0.2 - 2 106 Mo となる。 Haschick, Ho 1983 は  4kpc を仮定して、W33 Main に O6 - B0 の OB 星 星団を推定した。

 W33 A 

 W33 A はよく調べられた SFR である。CO から円盤が示唆される。 Brγ 放射は双極流を示す。

 G012.88+0.48  

 G012.88+0.48 は高質量の原始星である。OH, H2O, CH3OH メーザーが検出さ れている。その視線速度は 33.8 km/s である。この天体は W33 の主要星形成 域から 0.7° 離れている。L = 3 105 Lo, M = 3 103 Mo と推定される。





表1.背景クエーサーと6メーザー源の情報




表2.三角視差と固有運動

 3.結果 


図2.左上:G012.68-0.18 の 59.3 km/s マップ。他は参照クエーサー。  

図3.左:G012.68-0.18 の位置変化。中:実線=E-オフセット。点線=N-オフセット  右:視差フィット。  


 3.1.W33 

 W33 分子雲複合 

 図1には ATLASGAL による 879 μm マップを示す。主要構造の W33 A, W33 Main, W33 B が分かる。

 W33 B の水メーザー視差 

 図2には W33 B = G012.68-0.18 の水メーザーの放射と参照クエーサーを 示す。その視差は π = 0.416&pludmn;0.028 mas である。距離にすると 2.4+0.17-0.15 kpc となる。

 W33 B の水メーザー固有運動 

 図3には W33 B = G012.68-0.18 の水メーザーの参照クエーサーに準拠した 運動を示す。中心星固有運動として μx = -1.00 mas yr-1, μ = -2.85mas yr-1 を得る。
 図4= W33 B のメーザースポットの運動 

 図4には W33 B のメーザースポットの運動を図示する。

 図5= G012.81-0.19, G012.68-0.18, G012.90-0.26 

図5には G012.81-0.19, G012.68-0.18, G012.90-0.26 の視差運動を示す。

図4.G012.68-0.18 内の全てのメーザーの位置変化。  

図5.RA の年周変化。左=G012.81-0.19. 中=G012.90-0.24. 右=G012.90-0.26.  


 図6= G012.81-0.19 の二つのメーザー群 

 図6には G012.81-0.19 の二つのメーザー群の位置と運動を示す。 それらは視線速度で 33 - 35 km/s と -5 - 0 km/s の二つに分かれ、空間的に 21" 離れている。
 図7= G012.90-0.24 

 図7には G012.90-0.24 のメーザー点の位置と運動を示す。それらはよく 揃った動きを示す。

 G012.90-0.26 

 G012.90-0.26 には3つのメーザー点しか見えない。



図6.G012.81-0.19 内にある二つのメーザー点群の位置。 内枠はその拡大図。  

図7.G012.90-0.24 内の全メーザー点の位置。矢印=固有運動。  



図8.G012.90-0.26 内のメーザー源の運動。  

図9.左:G012.88+0.48 の位置変化。中:実線=E-オフセット。点線=N-オフセット  右:視差フィット。  


 G012.88+0.48 

 図9= G012.88+0.48 のメーザー位置 

 G012.88+0.48 のメーザーは 27 - 33 km/s にある。図9にその固有運動と 歳差運動を示す。π = 0.340 mas を得る。
 図10=G012.88+0.48 の二つの群 

 図10には G012.88+0.48 の二つの群を示す。



図10.G012.88+0.48 の全メーザー位置。  

図11.白丸= CO b-v 図上の 水メーザー。W33 メーザーは 34.6 km/s 付近、 G012.88+0.48 メーザーは 30.9 km/s 付近に固まる。  


 4.議論 

 メーザー源距離 

 G012.81-0.19, G012.88+0.48, G012.90-0.24, G012.90-0.26 の視差は 0.416 mas = 2.404 kpc である。G012.68-0.18 のそれは 2.40 kpc で一致する。

 スキュータム腕 

 W33 分子雲複合を Dame et al. (2001) の CO b-v 図上(l-v でないので注意!)にプロットすると、W33 複合体は Vr = 34.6 km/s にある明るい分子雲に一致し、それは l-v 図上スキュータム 腕であることがわかる。

 同じ複合体 

 W33 のメーザー源距離が全て同じなので、W33 A, W33 Main, W33 B 分子雲 はつながっており、同一の星形成複合体に属すと考えられる。これまで得られ ていた運動距離 3.7 kpc と比べると 2.4 kpc は 65 % である。この結果、 複合体光度と質量は L = 8 105 Lo, M = (0.8 - 8) 105 Mo となる。
 スペクトル型 

 スペクトル型の推定は来マン連続フォトンの数に基づいている。距離が小さ くなった結果、その数は半分以下となった。それはスペクトル型で 1.5 ポイ ント、つまり以前 O6 型だった星が O7.5 になる。こうして、 W33 Main に ある星団の星は O7.5 - B1.5 となった。

 G012.88+0.48 

 大質量星形成域 G012.88+0.48 は図11の Vr = 30.9 km/s 成分につなが っているように見える。雲の速度と視差とから、この星形成域はスキュータム 腕に属するようだ。 L = 1.3 105 Lo, M = 1.3 105 Mo となる。


 5.結論