LMC における TRGB JHK 絶対較正を行った。Near Infrared Synoptic Survey には 3500 万星のデータが含まれ、その中の 65,000 は TRGB から 1 mag 内に 入る。 | IC1613 の TRGB 勾配を適用し、 LMC DM = 18.49 を用い、TRGB JHK 絶対等級を 求めた。TRGB は LMC の立体構造を露わにした。 |
I より NIR TRGB の I 等級は銀河距離の決定に広く使われている。これを NIR に拡張する ことは, (a) NIR では I より 2 mag 明るい、(b) 減光が小さい、ので望ましい。 これまで NIR TRGB の研究はあまりない。 Dalcanton12 は HST Wide Field Camera3 を用い、近傍銀河 23 個の NIR CMDs を作った。Wu14 はその拡張観測 を行った。 |
絶対較正 このシリーズの第1論文 Madore et al. (2018) において、IC 1613 でメタル量非依存の修正 NIR 等級を用いた。本論文では LMC において、NIR-TRGB の絶対較正を行う。 |
NISS は CTIO 1.5 m + CPAPIR カメラによる LMC 18 deg2 3.5 M 星の JHK 測光である。限界等級は Ks = 16.5 mag である。図1には そこから 1/10 = 30 万個を選んで CMD とした。 |
![]() 図1.LMC 350 M/10 星の K-(J-K) CMD. TRGB が傾いている。 |
![]() 表1.K-バンド TRGB 較正の比較 3.1.IC 1613 における勾配の決定3.2.LMC NIR-TRGB ゼロ点TRGB の決め方TRGB の決め方は Madore et al. (2018) に述べられている。簡単に云えば、カラーにより、等級を修正して TRGB が平らになるようにし、光度関数をビンに分けて、平滑化してソーベル フィルターで境界を検出する。 DEV DM = 18.49 使用 図3には、CMD の拡大図を示す。図4に平滑化された光度関数を示す。 この時点では、 DEB = detatched eclipsing binary 8組からの距離の 平均値 DM = 18.49±0.01 と HST の視差に基づくセファイド距離 18.48±0.04 を採用する。 ゼロ点 その結果得られたゼロ点は、 MJ = -5.14 - 0.85[(J-K) - 1.00] MH = -5.94 - 1.62[(J-K) - 1.00] MK = -6.14 - 1.85[(J-K) - 1.00] |
![]() 図4.NISS 3.5 M 星の GLOESS-平滑化したK-等級光度関数. 光度関数は marginalized over color されている。下は Sobel フィルター境界検出の応答関数である。ピークは K = 12.39±0.01 mag. 点はビン内の星数。太実線は平滑化した光度関数。細実線は 1σ ポアソン 境界。 J-H で表せば、 MJ = -5.13 - 1.11[(J-H) - 0.80] MH = -5.93 - 2.11[(J-H) - 0.80] MK = -6.13 - 2.41[(J-H) - 0.80] |
モザイク分割法 各モザイクは同じ数の星を含む。その形成は Diehl, Statler 2004 の voronoi binning 法で行われた。結果を図5に示す。青=表6に採用。 |
![]() 図8.距離指標のヒストグラム。 |