The NIR Tip of the RGB. II. An Absolute Calibration in the LMC


Hoyt, Freedman, Madore, Seibert, Beaton, Hatt, Jang, Lee, Monson, Rich
2018 ApJ 858, 12 - 20




 アブストラクト 

 LMC における TRGB JHK 絶対較正を行った。Near Infrared Synoptic Survey には 3500 万星のデータが含まれ、その中の 65,000 は TRGB から 1 mag 内に 入る。  IC1613 の TRGB 勾配を適用し、 LMC DM = 18.49 を用い、TRGB JHK 絶対等級を 求めた。TRGB は LMC の立体構造を露わにした。


 1.イントロダクション 

 I より NIR  

 TRGB の I 等級は銀河距離の決定に広く使われている。これを NIR に拡張する ことは, (a) NIR では I より 2 mag 明るい、(b) 減光が小さい、ので望ましい。  これまで NIR TRGB の研究はあまりない。 Dalcanton12 は HST Wide Field Camera3 を用い、近傍銀河 23 個の NIR CMDs を作った。Wu14 はその拡張観測 を行った。
 絶対較正 

  このシリーズの第1論文 Madore et al. (2018) において、IC 1613 でメタル量非依存の修正 NIR 等級を用いた。本論文では LMC において、NIR-TRGB の絶対較正を行う。





図2.左:全カタログ星の分布。バー、円盤、腕が見える。 中間:2MASS 2M星の CMD. 右:中間赤領域星の空間分布。

 2.観測 

 2.1.The NIR Synoptic Survey (NISS) 

 NISS は CTIO 1.5 m + CPAPIR カメラによる LMC 18 deg2  3.5 M 星の JHK 測光である。限界等級は Ks = 16.5 mag である。図1には そこから 1/10 = 30 万個を選んで CMD とした。

図1.LMC 350 M/10 星の K-(J-K) CMD. TRGB が傾いている。





図3.図1の拡大。斜線は Madore et al. (2018) で決定した勾配を用いたフィット。

 3.ゼロ点 


表1.K-バンド TRGB 較正の比較

 3.1.IC 1613 における勾配の決定 



 3.2.LMC NIR-TRGB ゼロ点 

 TRGB の決め方 

 TRGB の決め方は Madore et al. (2018) に述べられている。簡単に云えば、カラーにより、等級を修正して TRGB が平らになるようにし、光度関数をビンに分けて、平滑化してソーベル フィルターで境界を検出する。

 DEV DM = 18.49 使用 

 図3には、CMD の拡大図を示す。図4に平滑化された光度関数を示す。 この時点では、 DEB = detatched eclipsing binary 8組からの距離の 平均値 DM = 18.49±0.01 と HST の視差に基づくセファイド距離 18.48±0.04 を採用する。

 ゼロ点 

 その結果得られたゼロ点は、

   MJ = -5.14 - 0.85[(J-K) - 1.00]

   MH = -5.94 - 1.62[(J-K) - 1.00]

   MK = -6.14 - 1.85[(J-K) - 1.00]

図4.NISS 3.5 M 星の GLOESS-平滑化したK-等級光度関数. 光度関数は marginalized over color されている。下は Sobel フィルター境界検出の応答関数である。ピークは K = 12.39±0.01 mag. 点はビン内の星数。太実線は平滑化した光度関数。細実線は 1σ ポアソン 境界。

 J-H で表せば、

   MJ = -5.13 - 1.11[(J-H) - 0.80]

   MH = -5.93 - 2.11[(J-H) - 0.80]

   MK = -6.13 - 2.41[(J-H) - 0.80]





表2.39 モザイクまでの距離




図5.Voronoi tessellation の結果。番号は表2と一致。赤は混み合いと 減光で除かれた。

 4.3D LMC 幾何学 

 モザイク分割法 

 各モザイクは同じ数の星を含む。その形成は Diehl, Statler 2004 の voronoi binning 法で行われた。結果を図5に示す。青=表6に採用。

図8.距離指標のヒストグラム。  





図6.4 領域の修正 K 等級- J-K 図。等高線はΔ(J-K) = 0.05, ΔTK = 0.08 mag. CMD の右側:灰色=光度関数。 赤線=平滑化光度関数。青線=境界検出応答曲線。水平線=ピーク。




図7.各モザイクのTRGB 距離。白丸点=DEB 星。明らかな傾きが見える。