MSX6C カタログから選んだ天体の VLA 5, 1.4 GHz, l = [350, 42], b = [-0.4, 0.4] コンパクト HIIRカタログを示す。Becker et al 1994 は以前この 領域のサーベイをしているが、今回の結果は 5 GHz 電波源の数を3倍に増やした。 | 新しい 5 GHz 天体と MSX5C 銀河面カタログ(8 μm)との比較では 687 マッチがあった。 偶然一致の予想数は 15 である。一致天体は赤い MSX カラーと熱電波源スペク トルを示した。それらの銀河内分布のスケール高は 16' = 40 pc と小さい。 これ等の性質はサンプルが、これまで未発見であった若い UCHIIR で占められて いることを示す。 |
5 GHz 観測の改良 初めの 5 GHz 観測は Becker et al 1994 に詳説されているが、l = [350, 42], b = [-0.4, 0.4] を分解能 4", 感度 2.5 mJy で観測した。大部分は C 配列だが、 CnD 配列部分もあった。最近 C 配列で再観測し、また解析法も 改良した結果、 1272 検出から 3283 検出へと3倍に増えた。新しい 5 GHz カタログは Becker et al 2005 に示される。この |
検出限界 F5GHz ≥ 3 mJy で 90 % 完全性を示す。Sternberg et al 2003 の恒星フラックスを適用すると、銀河系向こう側の縁 20 kpc で光学的に薄い フリーフリー放射星雲を持つ B0 星 (F5GHz = 30 mJy) から 光学的に厚い O9 星 (F5GHz = 3 mJy) を検出できる。 表1に予想される電波、赤外フラックスを高温主系列星に対して示す。 赤外フラックスは総光度の 1 % が MSX 8 μm バンドで再放出されると仮定 して計算した。 |
α = 保守的なマッチング 赤外源と電波源の位置の違いが 12 arcsec 以内。 β = 少し緩いマッチング 赤外源と電波源の位置の違いが 25 arcsec 以内。 |
β = 少し緩いマッチング 赤外源と電波源の位置の違いが 25 arcsec 以内。 |
MSX の二つの種族 Lumsden et al. (2002) は古い MCS5C カタログの解析から赤外光分布が2つの集団に分かれることを 指摘した。「赤」集団は星雲で HIIR, PNe, メーザー源、 YSO である。 それらは雲中に埋もれていて、励起星でなくダスト放射のカラーを見ている。 もう一つの「青」集団は進化した星である。 |
マッチングは「赤」種族 図1の左を見ると、5 GHz 源のとマッチングで「青」種族がふるい落され、 「赤」種族が残されたことが判る。われわれのサンプルの内、29/687 = PNe, と同定されているが、我々は75/687 PNe が含まれると考える。大部分は HIIR であろう。 |
図2に 687 マッチ天体の分布を示す。その銀緯分布は一般の電波カタログ よりも狭く、 FWHM = 16' である。距離 8.5 kpc を仮定すると 40 pc と なる。これは天体が第1種族に属することを意味する。銀緯依存性の低い 分布も重なっており全体の 20 % を占める。恐らく PNe か銀河であろう。 | 銀緯平均は 0.00 (l=[350, 0]), -0.01 (l=[0, 10]), -0.05 (l = [10,42]) で、 Hammersley et al 1995 の主張する円盤の傾きに合致する。 |
4.3.電波スペクトル指数![]() 図3.1.4 - 5 GHz 間のスペクトル指数。白棒=全体サンプル。黒棒= MSX マッチのあるサンプル。 我々は Zoonematkermani et al 1990 の 1.4 GHz カタログの観測データを 再解析した。その結果、562 天体が 5 GHz と 1.4 GHz の双方で検出されて いることが判った。228/562 天体が MSC6C 天体とマッチされていた。 図3にそれらの 1.4 - 5.6 GHz スペクトル勾配 α (Fν ∝ να) の分布を示す。 フリーフリー放射の場合 α ≥ -0.1 である。実際、図3の 黒棒サンプルはその領域を占めている。それ以外の電波源は非熱的な 放射である可能性が高い。 1.4, 5 GHz 双方で受かり、α > -0.1 であるが。 MSX6C カタログに載っていない天体が 52 個ある。それらの 5 GHz フラックスは 一般に弱い。恐らくそれらは単に弱すぎるために MSX カタログに載らなか ったのであろう。それらの b 分布から多くは銀河ではないか? |
4.4.形態![]() 図4.5 GHz サイズヒストグラム。白棒=全体。黒棒=マッチサンプル。 |
(1)MSX-5GHz マッチ天体は銀河面にへばりついている。これは種族I
の特徴である。ただし、MSX-Radio データでは HIIRs と PNe の区別は
できない。 (2)「青」MSX 天体は 5GHz 源とマッチしない。マッチ天体は「赤」MSX である。 (3)5GHz - 1.4 GHz マッチ天体のスペクトル指数分布が双峰性だったのは 非熱的電波源と熱的電波源の重なりのためだった。 |
(4)MSX6C は銀河面内の熱電波源全てを検出したわけではない。比較的弱い
5 GHz 源で勾配が平坦なものの中には MSX で検出されなかったものがある。
銀緯分布からそれらは銀河起源の割合が高い。熱源の 80 % は MSX で検出
されていると考えられる。 以上の性質から、マッチ天体は主に若い CHIIRs である。 その大部分はこれまでそう分類されて来なかった。電波線の観測が 重要であろう。 |