A Carbon Star in NGC 7789


Gaustad, Conti
1971 PASP 83, 351




 アブストラクト 

 NGC 7789 (l, b)= (116, -5), D = 1.9 kpc 近くの炭素星 MSB 75 の吸収 線視線速度 -46 km/s は星団視線速度 -45 km/s と近い。固有運動はまだ得ら れていないが、メンバーシップは確実であろう。  炭素星距離が星団距離と同じなら、 Mv = -2.1 である。 Burbidge, Sandage (1958) の星団 CMD と考え合わせると、炭素星は M-型星のさらに進んだ進化段階に あるのでないか。


 Mavridis 1960 の示唆 

 Mavridis 1960 は NGC 7789 近くに存在する炭素星は星団メンバーではないか と述べた。彼はその星を BD+56°3126 としたが、この星は F8 星である。 炭素星はこの星から 20" PA240° 離れており、ウィルソン山乾板ファイル では "Wildt's red star" または、MSB 75 (Merrill, Sandford, Burwell 1942) と呼ばれている。Sandford 1944 はこの星の視線速度を、吸収線で -46 km/s, 輝線で -78 km/s とした。

 絶対等級 

  Burbidge, Sandage (1958) はこの星団を研究し、M 67 と似た古い散開星団であるとした。距離 1.9 kpc l = 116° b = -5° である。赤色巨星先端等級は Mv = -1.9 である。 炭素星が星団と同じ距離にあるなら Mv = -2.1 となる。Burbidge, Sandage によると、巨星枝で最も晩期型の星は K4 である。しかし、Spinrad, Taylor 1969 による星団星 Kustner No.751 の TiO 指数はこの星が少なくとも M0 で あることを示唆する。

 視線速度の一致 

 MSB 75 は  Burbidge, Sandage (1958) が調べた星団星と比べると、星団中心距離が二倍以上離れている。最近まで 星団星の視線速度の測定はなかったが、Strom,Strom 1970 は K-巨星7個を 測り、星団速度 -45±7 km/s を得た。この方向の銀河回転速度は -25 km/s なので、固有運動データはないが、星団速度と MSB 75 吸収線速度 の良い一致はメンバーシップを確かにする証拠と考えてよい。
 ガス放出 

 視線速度がより負であることは、それらが表面から放出される外層からの 光であることを示す。

 進化段階 

 MSB 75 が非常に古い星団に属し、その星団が通常の M-巨星を含むことから、 炭素星が進化の進んだ段階にある星という考えを支持する。恐らく、コアからの 物質が表面に混入したのであろう。

 RCB 星 

 これに反し、RCB星が OB アソシエイション Sco OB1 に存在する (Bessell et al 1970) ことは、この 水素欠乏炭素星が非常に若い高質量星から進化した星であることを示す。