文献から集めた 215 セファイドの色超過を同じ測光系での値に直した。 これらを UBV 測光値と組み合わせて、固有 (B-V) 値を出した。Kraft の初期 の結果との違いは、本論文はスペクトル型が違うと同じ減光量でも色超過が異 なることを許容している点である。 | 周期 - カラー関係が導かれ、マゼラン雲のセファイドに対する同様の関係 と較べられた。差は残るが以前より小さくなった。周期 - カラー関係は 銀河中心距離には依存しないようである。 |
Kraft (1961) は銀河星団内のセファイドを用いて固有カラーの研究を行った。各セファイドの 色超過は星団内の B 型星から導かれた。セファイドはその変光の間にスペク トル型と固有カラーを大きく変える。このため、星団内のセファイドサンプルは 数個であったに拘わらず、Kraft はスペクトル型と固有カラーの関係を 広い範囲に亘って確立することが出来た。 |
Schmidt-Kaler 1961 は、しかし、広帯域測光では同じ分量の星間ダストによる
減光を受けた場合、晩期型の星は早期型星に比べると低い減光しか受けないことを
指摘した。
( 晩期型星の光は、フィルター帯域内で 低減光の長波長側にフラックス比率が高いので、総減光が少なくて済む、 という意味か?) Kraft (1961) による B-型星色超過を同じ星団内セファイドに適用する方法で は、セファイドに大きすぎる赤化を与えてしまい、結果としてセファイドの固有 カラーが青くなり過ぎる。 |
二色図法で赤化を求める困難さ B-型星の二色図上の位置から赤化を求める技術は一般的だが、セファイドの ようにスペクトが中間型の場合、赤化直線の傾きが固有カラー曲線の傾きと 近いために固有カラーの決定が困難である。このために、バンド数を4、6等に 増やしたシステムでの観測が利用されてきた。 分光的方法 セファイドスペクトルの特徴を使って赤化を求める方法もある。 Kraft 1960 は 詳細な分光観測からスペクトル型を決める、G-バンドの光電測光を用いる方法で セファイドの固有カラーを求めた。 極大時のカラーが一定法 第3の方法はセファイドの極大時のカラー (B-V)o は周期に依らずほぼ一定 と仮定することである。これは、Code 1947, Kraft 1960 が示した、大部分の セファイドでは極大時のスペクトル型が類似しているという結果に基づいている。 しかし、この仮定は分光観測の結果と矛盾するので怪しい。 第3法も含める 第3の方法は信頼性が低いのであるが、実際には観測天体数は最大であり、 その上、図1に示すように他の方法と較べて精度に遜色はない。そこでこの 論文にも第3法のデータを混ぜることにした。 |
![]() 図1.色超過を標準システムに変換する。 |
基礎データ=星団セファイドの色超過 データの中では Kraft のものが最も信頼できる。彼は星団セファイドの 固有カラーを基準にしているが、その色超過には同じ星団に属する B-型星の 色超過を使った。スペクトル型の違いを考慮すると、星団セファイドの 色超過は Kraft が与えた値の約 10 % 減となった。こうして修正した 星団セファイドの色超過を基礎データとする。 |
他のデータを基礎データに変換 他の研究のサンプルは星団セファイドを含んでいる。そのデータの色超過を 較べたのが図1である。そこで、純経験的に共通天体から作った変換式を用いて データを基礎データと同じ標準システムに変換した。 |
![]() 図2.表1の星の周期・カラー関係 周期カラー関係 図2には表1のサンプルを使った、周期・カラー関係を示す。元来、周期・ 光度・カラー関係であったものを周期・カラー面に投影したものなので、 点の散らばりはリアルであろう。中心線は 〈B-V〉mag = 0.24 + 0.49 log P カラーが違う? Gascoigne, Kron 1965, Dickens 1966 らは SMC, LMC セファイドのカラー が銀河系セファイドと異なるのではないか、と述べている。彼らは Kraft (1961) の銀河系セファイドカラーを用いた。 図3には SMC/LMC セファイドの点と銀河系セファイドの帯を比べた。補正した 銀河系セファイドカラーを用いると、差はずっと小さくなった。 ( 補正した表1の結果は Kraft より 赤くなるのでは?そうすると図3のずれは拡大する方向に思えるが?) 図3で SMC/LMC サンプルが銀河系帯の上辺に集中している。しかし、周期光度カラー 関係を見ると、同じ周期で較べた時、光度の大きい星は青い。それで、同じ周期の セファイドからカラーを測る際に明るい星を選ぶと青い星が選ばれがちとなる。 図3のズレの少なくとも一部はこの選択効果で説明される。完全な解明には南半球 にもっと大きな望遠鏡が出来るのを待つべきである。 周期分布 銀河の観測では中心付近のセファイドの周期分布は周辺部より長い方に ピークを持つ。また、SMC セファイドの周期ピークは 2 -3 日であるが、銀河系 では 8 日と異なる。図4には銀河系中心方向と他方向とで、周期・カラー関係 を比べた。大きな差は見られないが、いずれにせよサンプルが太陽近傍なので 決定的なテストではない。 |
![]() 図3.銀河系とマゼラン雲のセファイドカラーの比較。黒丸= SMC。白丸=LMC。 バツ=LMC. 銀河系セファイドは二本の線の間。 ![]() 図4.銀河中心方向とそこから外れた方向のセファイド周期カラー関係の比較。 黒丸:l = [315, 45] セファイド。白丸:l = [120, 230] セファイド |