AO 支援インテグラルフィールド分光器 SINFONI/VLT により GC 30 光日で
空間分解能 75 mas の近赤外画像分光を行った。限界等級 16 mag で中心ブラ
ックホールから 0.4″ 内の 9/10 星、 0.7″
内の 13/17 星は B0 - B9 主系列星のスペクトルを示した。He I 2.1127 μm
吸収線の線巾から決めた回転速度は太陽近傍のそれと同じであった。新しく得た
視線速度を SHARP/NACO 位置測定と合わせて、中心 0.5″ 内の
S-星 6 個の3次元軌道精度を改善した。軌道面の方向はでたらめに見える。
Sgr A* から 1″ - 10″ にある若い大質量の
二つの円盤と S-星軌道面の向きは揃っていない。
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なので、S-星が全体として円盤の内側部を形成するという仮説は排除される。
また、それらが円盤内で形成されて内側へ移ってきたという可能性もない。
自転速度が通常で、軌道の傾きがでたらめであることから、 S-星は個別に
強い散乱事象を経て内側の数光月領域に飛ばされてきたと考えられる。
新しい S2 軌道軌道から決めた銀河中心距離は Ro = 7.62±0.32 kpc,
中心質量 (3.61±0.32) 106 Mo である。
スペクトル観測中に Sgr A* での小さなフレアを2回観測した。これら
フレアの 1.7 - 2.45 μm スペクトルは Sν ≈
ν-4±1 で吸収線はなく、シンクロトロン放射
モデルに良く合う。このモデルでは、赤外放射は中心 10 Rs 領域の非効率
降着流中の非熱的高エネルギー電子からやって来る。
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