Effelsberg 100-m 鏡により 5 GHz 帯で H110α 輝線と H2CO 吸収線を 262 個の電波源で観測した。観測天体は、l = [0,60], b = [-1,1] に ある Fpeak > 1 Jy の天体全てである。H110α 再結合線は 171 電波源で 検出された。 H2CO は合計で 388 本検出された。 | 以前の研究と同じく、Te が銀河中心距離 RG と共に上がる現象が RG = [4, 9] kpc で観測された。銀河中心付近では Te は非常に 高い。Ro = 10 kpc 採用。 |
図1左:H110α 線 l-v 図 図1左の HIIRs l-v 図は右に比べ良く締まっているように見える。この種の 図でいつもされるように、(l,v)=(5,0)-(30,100) のスキュータム腕と (10,0)-(50,60) のサジタリウス腕をなぞりたくなる。 この構造は初めは巨大 HIIRs の分布を調べた Mezger (1970), Geogelin,Geogelin (1976) の分布図に現れた。それが、今回のより深く数多い弱い HIIRs の 分布にも依然として現れているのは興味深い。 |
図1右:フォルムアルデヒド l-v 図 図1は HIIRs と MC の l-v 図である。フォルムアルデヒドは吸収で見え、 従って連続光源の分布に影響されるのだが、 l-v 図は 12CO と 著しく似ている。 CO と同様 H2CO も速度の散らばりは大きい。 そして、はっきり定義される構造が見当たらない。 |
![]() 図2.Te の Rg による変化。 表2に HIIRs の電子温度 Te を示す。25 個の強い HIIRs が Churchwell et al. 1978 により H109α で同じ望遠鏡だがより長時間観測されてい る。これ等の天体の再結合線データは良い一致を示している。 |
![]() 表3.Te と H2CO の Rg による変化。 表3には Te と H2CO の Rg による変化を示す。この変化は近似 的に、 Te = 4600 + 340 Rg(kpc) (Rg = [4, 9] kpc) で表される。これは以前の研究とほぼ合う結果である。GC の Te は この式の外挿値よりもさらにいっそう高い。 H2CO 光学的深さの中間値は 0.055 であある。これは Whiteoak, Gardner 1974 の結果と一致する。表3には Rg と共に ほぼ一定である。光学深さの平均値は R = 0 から R = 10 kpc に掛けて 半減する。 |
電波光度と励起パラメタ― 表4には、運動距離の遠近不定性が解消する天体を載せた。 太陽からの距離が近い HIIRs までの距離は Geogelin,Geogelin (1976) がしたように、可視の測光距離の方が確実である。他の HIIRs に対する 我々の基準は、V(H2CO)-V(H109α) gt; 10 km/s なら 遠距離というものである。 この時, H2CO は 3K背景放射を吸収しているのではないかという 疑いが起きるが、以下に述べる(略) 理由でそうではない。 表4には HIIR 光度 SD2 も載せた。ここに S = 5 GHz フラッ クス、 D = 距離 (kpc) である。この光度は励起パラメタ― u = Ne2/3Rs と u3 = 2500 SD2 という関係で 結ばれている。ここに Rs = ストレームグレン半径、 Ne = 電子密度である。 渦状パターン 図3には遠近不定性が解消した HIIRs の位置をプロットした。丸の濃さと 大きさは HIIR の明るさを示す。その配置は図4に見るように、 Geogelin,Geogelin (1976) の渦状腕に良く沿っている。しかし、電波データのみから渦状パターンを 導くのは難しい。 W31 と 3 kpc 腕 表2にはシュミット回転モデルから決めた距離を乗せている。 しかし、 W31 の再結合線はシュミットモデルに比べ大きな固有運動を 持つように思える。(Wilson 1974, Caswell et al 1975 の議論を参照。) W31 は 7 - 8 個の成分に分かれるようで、これらのシュミット距離は 棄て、表4にある値を採用すべきである。 |
![]() 図3.遠近不定性が解消した HIIRs の位置。 |
遠近分離に拘わらず、電波源の Rg は決まる。図5にはその ヒストグラムを示す。H2CO は連続電波源を背景にした時にのみ 観測されるのであるが、それらの分布は CO 強度と良く合って いて、 4 kpc 付近に極大を持つ。 HIIR の面密度(kpc-2)も Rg = 5 kpc 付近に極大を 持つ。しかし今度は 7 kpc に第2のピークが現れる。この二つの ピークは H2O メーザーの数にも同じく存在する。 Mezger (1970) との最大の差は我々が多数の新しい弱い HIIR を加えたことである。 特に例えば W51 のように、彼が一つの巨大な HIIR と考えていたものが 多数の弱い HIIR の複合と分解されると、 7 kpc での HIIR 数の増加に 大きく寄与することとなる。このいみで、今回の新しいヒストグラムが 励起星の数を表すのに対し、以前のヒストグラムは総 Ly 光子数と看做す べきかも知れない。 |
![]() 図5.HIIRsと分子雲の Rg 分布。上=積分 CO 強度.( Scoville, Solomon 1975, Burton, Gordon 1978). 中 HIIR ヒストグラム。下=ホルムアルデヒド 成分数。 |