A Flux-Limited Sample of Galactic Carbon Stars


Claussen, Kleinmann, Joyce, Jura
1987 ApJS 65, 385 - 404




 アブストラクト

 2ミクロンサーベイ(TMSS)から銀河系炭素星のフラックス限界サンプルを作り、 その赤外データをまとめて、空間分布と質量放出率分布を調べた。サンプルの 88 % は 可視変光星だったが、 2.2 μm 振幅が 0.5 等を越す星は数個であった。この等級 安定性と、銀河系炭素星もマゼラン雲炭素星の狭い 2.2 μm 等級幅に収まるという仮定 の二つから、TMSS 炭素星が半径 1.5 kpc 内に分布することを導いた。赤外カラーを用い て、以前用いられた多波長でも絶対等級が一定と言う仮定を調べた。炭素星の局所密度は log ρ(kpc-3) = 2.0 ±0.4 である。スケール高は log z(pc) = 2.3±0.1である。従って表面密度は log N(kpc-2) = 1.6±0.2 である。  IRAS F60 を用いて決めた質量放出率は 2.7 10-7 Mo yr-1 に ピークを持つ。銀河全体では 0.013 Mo yr-1 となる。その大部分は 非常に赤いダストの厚い星から来ている。もしもっと赤い星が存在するなら、 それらの星からの寄与はここで調べたサンプルを上回るだろう。ここで調べた スケール高と平均マスロス率から炭素星の寿命は 105 - 106 yr である。主系列母星質量は 1.2 - 1.6 Mo で F-型星である。主系列 F型星の 少なくとも 10 % が炭素星を経る。


 1.イントロダクション 

 炭素星の分布 

(1)Blanco 1965, Westerlund 1971
炭素星はカリーナ腕方向に強い集中を見せる

(2) Nassau, Blanco (1958), Blanco 1965
銀河中心方向の炭素星は欠乏している

(3) Fluenmayor 1981
反中心方向で炭素星密度の増加。R = 5 kpc から 15 kpc の間に3倍に増加。

 IRAS 炭素星の分布 

  Thronson, Latter, Black, Bally, Hacking 1987 は IRAS カラーから炭素星候補 619 個を選び、そこから違うと分かったものを 除いてサンプルを浄化した。さらに、12 μm 絶対等級 M12 = -12.3 (L12 = 1000 Lo) と一定値を仮定する。そしてサンプルの大部分が m12 < 1.5 であることから彼らはサンプルが 6 kpc にまで達 していると結論した。炭素星の上記可視光サーベイと較べ、彼らは渦状腕に何の 集中も見出さなかった。また、銀河中心距離による密度勾配も検出されなかった。
 ダスト質量放出率 

ガス 質量放出率=CO 観測から導出。
ダスト質量放出率=遠赤外観測から導出
同一天体に対する両者を比較して、Jura 1986, Knapp 1985, Sopka et al 1985 はガス/ダスト比が一定範囲に収まり、従って遠赤外観測を質量放出率の決定に 用いても CO 観測と整合的である。

2 μm が炭素星観測に有利な点 

(1)星間減光が弱い。
  (2)フラックスピークなので有効温度の影響を受けにくい。
  (3)星周減光の影響が小さい。
 

 K バンド絶対等級一定 

 Frogel, Persson, Cohen 1980 はマゼラン雲炭素星が MK ∼ -8.1 の周りに集中し、分散が小さいことを示した。Schechter et al 1987 は 銀河系炭素星の視線速度観測から、 MK ∼ の分散が小さい ことを示した。



表1.TMSS炭素星リスト







 2.サンプル 

 分類の相克 

 表1には 215 星が炭素星として載せられている。しかし、いくつかの星に 関しては、対立する分類が報告されている。 Wing, York 1977
IRC-10104 : S 型星。
IRC 00103, 00123, 00404, +10154 : SC 星

Bidelman 1980
IRC-10433 : K5 Ib
IRC-30106, -30114, 00402, 00418, +10119, +20435, +30074, +50389,
+60375, +60409, +60411 : M-星
IRC +60393 : M4 + C 型星

Zuckerman, Dyck 1986
IRC +60144 は炭素星だろう。しかし、Lee et al 1947 では M6 なので表1にない

 細分類 

 139 星には Draper サブクラスが与えられている。 22 星が R, 117 が N である。 ただし、晩期 R と早期 N は重なるので、上は不定性がある。

 他カタログとの対照 

 表1の第3列には変光星名、第4列は RAFGL 名、第5列は Case サーベイ名 を載せた。位置精度は ±3 である。
R-型と N-型の数 

 TMSS の空間は Case サーベイより小さいので数も少ない。b > 30 での 星の数を調べると、Case 炭素星で TMSS でも検出された星の割合は、N-型星 の方が R-型星より高い。その理由は第6章で調べる。

 Case に載ってない TMSS 炭素星 

 TMSS には Case サーベイに載っていない炭素星が 24 個ある。内 15 個は どちらのサーベイも捜索した領域内にあった。Case で非検出の理由は
1.IRC+10216 のように極度に赤い星。
2.既知の赤外変光星
3.可視で明るい星の傍にあり、Case サーベイで見逃された。

 AFGL サーベイ 

 表1にある星の内 159 星が AFGL カタログにあった。しかし、AFGL カタロ グにある 37 個の炭素星が TMSS には載っていない。これらの星は TMSS で 観測された星よりさらに赤く、近赤外サーベイで抜けた星のグループである。 これらの星が抜ける影響は第6章で議論する。



表2.TMSS炭素星の赤外測光





 3.測光のまとめ 

 I 等級 

 表2に測光結果をまとめた。TMSS I 等級は次の式で 標準 I 等級に変換した。
     I - K = 0.745 (I - K) - 0.13

 J, H, K 等級 

 野口その他 1981 は 123 星の近赤外測光値を与えた。それらは Bergeat, Lunel 1980 の変換式で標準等級に直した。
減光補正 

 減光補正には、 Lucke 1978 の 3D 減光マップを用いた。減光則は Cohen et al 1981 を用いた。距離の 決定に用いる絶対等級は前に述べた通り MK = -8.1 を仮定した。 表2には各星の減光量も載せてある。

 4.2 μm

 150 星には RAFGL 測光値がある。また、210星は IRAS で観測されている。 IRC -20199, -10236, -10441, +50346, +20523 は IRAS 観測の抜け領域に当 たっていた。また 89 天体は F60 < 2.5 Jy で S/N が低い。これらの星は co-addition を行い測光精度を上げた。


 4.時間変動 

 変光タイプ 

 サンプル中の 194/215 星は既知の変光星または suspected 変光星である。 一つを除いて残り (= 193?) が GCVS カタログにある。うち 96/193 星が SR/Mira である。その周期は 60 - 640 days に亙る。TMSS, IRAS で変光が 検出されたものは表2に記した。IRC -10122 だけは TMSS, IRAS で変光が 認められたのに GCVS には載っていない。

 変光巾 

 変光振幅は二つの方法で評価した。一つは TMSS での測光値の差、もう一つは TMSS と野口その他 1981 との差を用いる。図1にその分布を示す。両者の位相 差はランダムであり、振幅の下限を与えるが、0.3 等を越す星は数個しかない。

図1.実線 = 野口その他 1981 の K 等級と TMSS K 等級との差の分布。



表4.観測から導かれた TMSS 炭素星の性質



 5.スペクトルエネルギー分布 

 マゼラン雲と同じ 

 TMSS とマゼラン雲の炭素星カラーを図2で比較した。両者の分布は良く重 なっている。図3には (I-K)o と (K-12) を比較した。(K-12) の巾が広いのは 星周ダスト雲の質量の巾が三桁に及ぶことを反映している。

 R-型と N-型 

図4には R-星と N-星に分けてカラー分布を調べた。両グループにカラーの 相違はない。これは MK 分類が R-型と N-型の境界で重複するためかも知れない。






表3.平均カラー





図3. TMSS 炭素星のカラー分布。(a) (I-K)o (b) (K-12)o

図2.(J-H) - (H-K) 二色図。白四角=サンプル星 125 星。黒三角=マゼラン雲。 黒四角=LMC Bar West の赤い炭素星(Frogel, Richer 1983)


図4.実線= 117 TMSS N-星。破線= 22 TMSS R-星。 (a) (I-K) (b) (K-12)


 炭素星ダストの放射率

 図5は IRAS F60 の等級がある 193 星についての IRAS 二色図である。黒体 輻射からの逸脱は光学的に薄いダスト雲の放射係数が波長によって変化する効果 を表している。炭素星の 12 - 100 μm カラーを解析した結果、それらが να であるなら、 α ≈ 1.1 であるという 結果が得られた。

 光度  

 表4には各星の光度を示す。結果は L = 6 103 - 4 104 Lo に広がった。


図5.TMSS サンプルの IRAS 2色図。
平均 SED  

 図6には TMSS 炭素星の平均 SED を示す。そのために各星の総フラックス を 1 に規格化し、平均をとった。平均フラックスは 0.9 - 5 μm 領域に 集中していることがわかる。それは最も赤い星 IRC +10126 にあっても同様 である。





図6.TMSS サンプルの平均 SED.


 周期 - カラー関係 

 図7は、周期の分かっている 96 星に対して、周期と (I-K)o, (Ko-12) カラーの関係を示す。ベストフィットは

     P(days) = (61±4)(I-K)o + 102±1.3

     P(days) = (219±2)(Ko-12) - 64±0.8

である。両方の式の規格化相関係数 r = 0.6 なので、ぎりぎり相関ありという 結果である。 (折れ線にすべき? )
 周期 400 日を越すとカラーが急に赤くなる。この結果は Jura 1986 が GCVS の 炭素星から得た結果と一致する。また、 DeGioia-Eastwood et al 1981 が O-リッチ星で得た結果とも合う。


図7.(a) 周期 P と カラー (I-K)o の関係。 (b) 周期 P と カラー (K - 12)の関係。
周期等級関係はない。 

 周期と輻射等級との間には図8に見るように何の関係もない。
(すごい発言! )
これは MK を一定とし、輻射補正の値が狭い幅に収まっているので 自然な結果である。Glass 1987 は LMC に周期 - K-等級関係を認めた。DM = 18.5 を仮定すると、彼の関係は以下のように表される。

     MK = 1.0 - 3.0 log P

しかし、銀河系でこの関係が成立している証拠はない。





図8.光度 L と周期 P の関係


 6.空間分布 


図9a.天空の不完全分を補正した TMSS サンプルの |b| 分布。 指数関数型 z 分布を仮定しての最少二乗フィットを示した。スケール高は、 実線(ベストフィット)= 200 pc. 点線= 150 pc. 破線=250 pc.

 サーベイの限界 

 MK = -8.1 という仮定と、限界等級 K = +3.0 という制限 下で、TMSS は 1.5 kpc 以内の炭素星を全て検出しているはずである。

 R-型星 

 b > 30 領域で、Case サーベイは 44 個の R-型星と 14 個の N-型星を 検出している。それに対し、TMSS では 1 個の R-型星と 8 個の N-型星を見つ けた。もしも Case サーベイがこの銀緯帯での R-型星と N-型星を全て見つけ るほどに感度が高いと仮定すると、R-型星の K バンド光度は N-型星より一桁 暗いと考えられる。
( [N(R)/N(N)]TMSS = [n(R)/n(N)]Case [V(R)/V(N)]TMSS.
[V(R)/V(N)]TMSS = (1/8)/(44/14)= 0.04. 0.04^(2/3)=0.116)

それら R-型星に関しては MK = -8.1 の仮定から導いた距離は過大評価になる。 現在のデータから見るところ、 TMSS 内の R-型星の割合は 15 % 以下であろう。
( それって、単に 1/8 = 12.5 % のこと?)


 RAFGL と TMSS の比較 

 TMSS と RAFGL サーベイが重なった天域内で、TMSS からは (K-12) > 4 の赤い天体 が落ちていた。それらの内 20 天体の CO 運動距離が求められた。内 |b| < 10 の 15/20 天体中 6/15/20 = 40 % の天体の距離は 1.5 kpc 以下であった。そこで、37 x 0.4 = 15 天体が 1.5 kpc いないにあるが、赤すぎて TMSS では検出されなかったと考える。 この数は全体の 15/215 = 7 % にあたる。これらの赤い星もまた、 MK = -8.1 の仮定から導いた距離は過大評価になる。こうして求めた距離を表4に載せた。 (K-12) > 3.4 の星に対しては距離を過大に評価しているであろうから コロン印を付けた。

他の研究による距離との比較 

Knapp, Morris 1985
今回の距離は彼らの 20 % 大きい。

Fuenmayor 1981
MI = -5 を仮定。TMSS 炭素星は平均 (I-K)o = 2.7 なので、 彼の仮定では TMSS より 0.4 等暗い。なので我々の距離は 20 % 大きい はずである。

図9b.銀河面上に投影した TMSS 炭素星の分布。欠損部は b < -33. 分布はかなり一様に見える。

Bergeat, Lunel, Sibille 1978
星周モデルと運動データとから距離。我々の距離は 2.2 倍大きい。

Thronson et al 1987
M12 = -12.3 を仮定。これは K 等級では 15 倍明るいことに相当する。 したがって、我々の距離は彼らの距離の 1/4 となる。

 スケール高 200 pc  

 表4で与えられれた距離を使い、未観測領域の補正を加えて z 分布を指数関数 でフィットした。
N(z) = No exp ( - z )
zo10-0.4[MK+8.1]


ここに、No = 2.3±0.1 dex stars kpc-3, zo = 2.0±0.4 dex pc である。エラーは主に MK の 0.6 mag と マゼラン雲距離 0.2 mag が原因である。図9a には b 分布と zo = 150, 200, 250 pc に対するモデル結果を示す。得られたスケール高は Knapp 1983 が CO から得た 2.4 dex pc や、太陽近傍 OH 星のメーザー観測から得た 2.45 dex pc より僅かに小さい。それよりは Herman, Habing 1981 が Vesc = 20 - 30 km/s と大きな OH メーザー源で得た 2.3 dex pc に近い。最近の銀河 モデルではスケール高 200 pc は中間-高齢円盤種族に対応する。

 主系列母星種族は2分? 

 Miller, Scalo 1979 によると、スケール高 200 pc の主系列星は M = 1.2 - 1.4 Mo に対応する。この値は Dean 1976, Dominy 1984 による炭素星前駆天体 質量と合致する。マゼラン雲のメタル量は低いので直接の比較は無理であるが、 Aaronson, Mould 1985 が炭素星を見出した星団の年齢は 0.8 Gyr を越えて いない。これは主系列星質量で ≤ 2.5 Mo である。Zuckerman, Dyck, Claussen 1986 は CO ライン巾が大きい炭素星は小さい炭素星に較べ平均銀緯が 小さいことを見出した。これは両者が異なる種族に分かれることを意味するのかも 知れない。

 銀河面上の分布 

 図9b には銀河面上に投影した分布を示す。 Blanco 1965 と同様、炭素星の 銀河中心方向の集中は認められない。また、 Fuenmayor 1981 が述べたような 銀経に関する非対称性も認められない。実際彼が調べた2領域、一つは銀河 中心方向、もう一つは反中心方向で TMSS 炭素星の表面密度は 0.037±0.011 stars deg-2 で同一である。炭素星の銀河 面表面密度は 1.6±0.2 dex stars kpc-2 である。非常に 赤いために TMSS を逃れた少数の星を補正して、炭素星密度を 43 stars kpc-2 と考える。この密度が一様なら、銀河面全体では R = 15 kpc として、3 104 炭素星が存在する。


 7.質量放出率と星間空間への質量還元 


図10.TMSS 炭素星で F60 がある星からの質量放出率の分布。ピーク位置は 2 10-7 Mo/yr.

 質量放出率の式 

 Jura 1987 は質量放出率を以下の式で表した。
dM = 1.7 10-7 v15 rkpc2 Fν, 60 ( λ10 ) 1/2
dt L4

ここに λ10 = λeff/10μm.
( λmean は ダスト放射の平均波長だが、ここにダストシェルの温度構造等の諸々 を押し込んでいる。)
ここでは、v15 = 1 とし、(K-12) < 3.5 の星では λ 10 = 0.22, それより赤い星では λ10 = 1.0 とする。F60 が上限だけの星は F25 から質量放出率を見積もった。 その時には係数を 4.0 10-8 に換える。というのは、質量放出星 では F25/F60 の典型値が 4.5 だからである。

 質量放出率の分布 

 計算結果は表4と図10に示す。質量放出率は 3.2 10-8 Mo/yr から 4.3 10-5 Mo/yr に渡っている。 ピークは 2.0 10-7 Mo/yr で、 ピーク半値は 7.9 10-8 Mo/yr と 3.2 10-7 Mo/yr である。カラーが異常な IRC -30015 を除いて、質量放出率は Knapp, Morris 1985, Olofsson, Ericksson, Gustafsson 1987 の値とファクター2以内で一致している。

 周期と質量放出率 

 図11は周期と質量放出率との関係を示す。あまり相関は強くないが、 非常に強い質量放出は周期 300 日以上に限られる。またそれらの振幅は大きい。 従って、強い質量放出が起きるのはミラ型変光の時期であろう。 Knapp. Morris 1085 の質量放出率の分布は平坦であったのに比較すると、 TMSS サンプルでは 彼らの評価値域の最低端値付近でピークを示す。これは CO サンプルと TMSS サンプルのバイアスの差である。Knapp, Wilcots 1987 では b > 60 の CO 観測から多数の低質量放出率を測定している。

図11.周期と質量放出率の関係。白四角= K振幅(TMSS または TMSS と野口その他 1981 から)が 0.5 mag 以上の炭素星。黒四角= 0.5 等以下。

銀河系全体での炭素星からの質量放出 

 銀河系全体での炭素星からの質量放出は、面分布を一様と見なし、 TMSS 質量放出の総量を面全体に広げて (dM/dt)tot = 0.013 (R/15) 2 Mo/yr と求まる。ただし、これらの内 IRC +10216 の寄与が 1/3 を占めている。

 大放出星の寄与  

 ここで求めた総質量放出は Knapp, Morris 1985 が M-, C-型星からの寄与 が等しいと仮定して得た総量が 0.3 Mo/yr であるのに対し一桁小さい。しかし、 第6章で検討したように TMSS サンプルは IRC +10216 のように非常に赤い星 の割合が過小である。最近のモニタリング観測によると TMSS に含まれない RAFGL 天体の K-振幅は IRC +10216 と同じか大きいくらいである。以前 1.5 kpc 内に そのような星が 15 あると予想したが、それらの星が IRC +10216 と同じくらいの 質量放出を行っているなら、 15 x (1/3) = 5 倍になる。そうなれば Knapp. Morris 1985 の評価と大体合う。


 8.恒星進化における炭素星期 

 炭素星の誕生率 

 炭素星の大部分は 2 10-7 Mo/yr 以上の割合で質量放出をしている。 従ってその寿命は 1 Myr 程度であろう。そしてその面密度 43 stars kpc-2 と組み合わせると、炭素星の誕生率は ≥ 4.3 10-11 pc-2 yr-1 である。
 炭素星寿命と主系列母星質量 

 Miller, Scalo 1979 は大量の観測データを集め、星種族のモデルを作った。 彼らの表1、2から M = 1.2 - 2 Mo の星の誕生率は、太陽近傍で 4 10-10 pc-2 yr-1 である。 したがって、1.2 - 2 Mo の星の少なくとも 10 % が炭素星を経ると考えねば ならない。この数字は炭素星の寿命により変わり、もし 105 yr ならば、全ての F 型星が炭素星となる。仮に、炭素星質量の上限を 6 Mo まで 上げても、1.2 - 6 Mo 主系列星の誕生率は 8 10-8 pc-2 yr-1 にしかならないので、炭素星寿命は 5 104 yr より 短くはならない。


 9.結論 

省略