NIR Observations of NGC 6822: AGB Stars, Distance, Metallicity and Structure


Cioni, Habing
2005 AA 429, 837 - 850




 アブストラクト 

 NGC 6822 の 20'x20"' をWHT で I, J, Ks 撮像した。NIR により銀河全体 に渡り特徴を調べた。C/M 比からメタル量の銀河内変化を導いた。  それは 1.56 dex に達する。この値はマゼラン雲で得られた値の倍である。 測光結果は DENIS (I) と 2MASS (J, Ks) で較正した。その結果、距離指標 (m-M)o = 23.34±0.12 を TRGB から得た。


 1.イントロダクション 

 NGC 6822 はマゼラン雲とサジタリウス矮小銀河の次に近い不規則銀河である。 星種族の分布は 14'x18' に広がり、中央に 6'x11' のバーを含む。HI の広がり はもっと大きく 42'x19' である。銀緯 b = -18.39° と低いため、 Schlegel et al. (1998) による平均赤化は E(B-V) = 0.25 と大きく、前景星の混入も多い。 Van den Berg 2000 による距離は (m-M)o = 23.48±0.08, D = 497 kpc である。  [O/H] の勾配は報告されているが平均 [O/H] は SMC と LMC の中間である。 Tolstoy01 は RGBs の CaII 三重線から平均 [Fe/H] = -0.9 dex を導いたが、 ここの測定値は -2.0 から -0.5 の間に散らばる。
 NGC 6822 の古い星種族は 12 - 15 Gyr と見積もられる。3 Gyr 昔に SFR が 上昇し始めた。





表1.カタログ例


図1.今回観測等級と I等級(DENIS), J, Ks 等級 (2MASS) との差の分布。

 2.観測 

 WHT 4.2m La Palma により 2002 に観測が行われた。IR 4'x4', Opt 16'x16' で 20'x20' をカバーした。

図2.測光エラーと等級の関係。

 3.データ整約 

 対象星は変光しているので等級較正には青い前景星を用いた。その結果 I = Idenis - 0.1, J = J2mass + 05, Ks Ks2mass + 0.9 を得た。図1。  表1はカタログの例である。
(3バンド全てで受かった星のみ。非常に 赤くて Ks だけの検出は載っていない。ちょっと問題。 )


 4.結果 


図3.NGC 6822 中心 22' 四方の j, Ks 合成画像。中心位置: α = 19 44 56.6, δ = -14 47 21. 幾つかは Ks でのみ 検出されている。  

図4.I, J, Ks 全てで検出された星の等級分布。縦線= TRGB 等級。 I = 16 付近のコブはサチュレイション天体によるものでカタログからは 省いた。  


  


図5.測光エラー 0.22 mag 以下で3バンド全てで検出された星の二色図。 前景の銀河系巨星も含め、各タイプが主に分布する領域を示した。

 図5で、I-J<1.0 かつ J-Ks<0.8 は大部分が前景星である。 中央破線は実際にはほぼ全て RGBs である。

図6.3バンド全てで検出された星の I-(I-J) CMD. 斜め赤線 (I = 24.15 -4.74 (I-J)) は若い種族+前景星と AGBs + RGBs を分けている。

 図6の斜線勾配は LMC と同じで1Cioni00b から採った。線のゼロ点は AGB の 縁に合うよう視察で決めた。


  


図7.3バンド全てで検出された星の Ks-(J-Ks) CMD. 垂直線は M-型と C-型を分ける。赤枠は Ks < 16.5 におけるカラー分布。 J-Ks=1.5 付近の平坦部は炭素星からの寄与を示す。

 図7は一本の折れ曲がった系列に見えるが、LMC の解析から、実は J- Ks = 1.0 付近の垂直系列=M-型星とKs = 16-17 でO=リッチ星系列から離れる C-リッチ星系列の二本から成る。J-Ks=1.36 で分離すると、500 C-リッチ星 と 2161 O−リッチ星になる。 C/M = 0.23 である。
 図7には TRGB より暗い O-リッチ AGB 星が含まれている。それらは I-J カラーから AGB 星である。もし J, Ks だけであったら、それらは AGBs とは 認められなかったであろう。TRGB の Ks 等級はカラーにより変化する。それが 水平なのは I バンドである。一方、 I-(I-J) CMD で AGBs を選択するとマス ロス AGBs を落とすことになる。それらの確定には分光観測が要る。赤い星の 50 % までが O-リッチの可能性がある。

図8.O-リッチ星と C-リッチ星の (I-J)o カラー分布、

 O-リッチ星では (I-J)o はスペクトル型と相関する。それは I バンドで 強い TiO 吸収の効果が大きい。  
(図8の C/M 分類は J-Ks カラー で決められたのか?それなら分光確認が要る。すばる? )





図9.左上:前景星と若い星。右上:RGBs. 右下:AGBs. 左下:C/M 比

 4.空間分布 

  

 

  

 

  

 

図10.黒=I のあるなしに関係なく J, Ks で検出。マゼンタ= TRGB Ks = 17.10 より上で多分 AGBs. J-Ks > 1.36 は多分炭素星。垂直線はC/M 分離線。





図11.J, Ksデータで受かった星(I は無視)の分布。左上=全て。右上=RGBs. 右下=AGBs. 左下=C/M 比。0.15 から 0.9 まで 0.15 間隔。




図12.C/M 空間分布。対数表示、 0.15-0.9 (これはリアル数?)を0.15 きざみで。 左:C/M 境界 J-Ks=1.26. 右:C/M 境界 J-Ks=1.46.

 5.議論 

 5.1.距離 

 5.2.メタル量勾配 

 5.3.NGC6822 の構造 

 5.4.他の分布との比較 


図13.三角=炭素星の数と四角=M型星の数と C/M の関係  

図14.「Fe/H] と C/M の関係。データは Groenewegen04 より。  



図15.Difference between the magnitude of (a) the J-Ks color and J mag of C-rich AGBs distributed in 8 separate sectors.  

図16.J と Ks 検出星の CMD. 小枠内は水平線 MK = -5.5 の 0.01 mag 以内の星の数。ピークカラーはメタル量を反映。  


 6.結論 

 I, J, Ks 測光から NGC 6822 の RGB, C-AGB, M-AGB を分離した。 メタル量分布が 1.56 dex におよび、 LMC の倍に達することが判った。 平均的 AGB 星 1.5 Mo, 2 Gyr の平均メタル量は -0.89 dex である。   I バンド TRGB 等級から (m-M)o = 23.34±0.12 が得られた。