Simultaneous Observations od SiO and H2O Masers toward Known Stellar SiO and H2O Sources


Cho, Kim
2012 AJ 144, 129 -147




 アブストラクト 

 SiO メーザーは検出されているが水メーザーの検出報告のない 83 天体で、 SiO v = 1, 2 J = 1-0, 29SiO v = 9 J = 1-0, H2O 616-523 の4本のメーザーライン同時観測を行った。 SiO と H2O の双方が検出されたのは 14/83 = 16.9 % 天体である。 1 天体で SiO メーザーは検出失敗だったが H2O が検出された。 55/83 では SiO のみが検出された。合計すると 69/83 = 83.1 % で SiO が 検出された。  SiO v = 2 メーザーが検出され、v = 1 では検出できなかったのは 9 天体で ある。これらの天体はダストシェルの発達との関係でさらに詳しく調べる必要 がある。SiO, H2O 双方検出 14 天体で二つの比を較べた。 ピーク温度は H2O/SiO = 0.44, フラックスは H2O/SiO = 0.28 であった。


 1.イントロダクション 

 メーザーの検出率 

 SiO と H2O メーザーの検出は、どちらも見える天体もあり、 片方しか見えない天体もある。その原因は不明であるが、ダストシェルの発達 と関係する可能性がある。Gomez et al 1990 は OH/IR 星においては [25-12] カラーが赤くなるにつれ SiO メーザーの検出率が低下すると述べた。 彼らはまた H2O メーザーの検出率は質量放出が呈する前に 著しく低下することに注意した。

 IRAS カラーとレーザープロファイル 

 Takaba et al 1994 は Kashima 34 m 鏡で SiO v=1 J=1-0 と H2O を 10 - 15 日のずれを伴いながら平行してモニターした。彼らはメーザー プロファイルが IRAS カラーと相関することを示した。 
これまでの研究 

 しかし、 SiO と H2O メーザーの関係を調べるには同時観測 が必要である。まず、 Kim, Cho, Oh, Byum (2010) では、SiO, H2O メーザーがどちらも検出されている 166 星 を同時観測した。次の段階として この論文では、SiO v=1,2, J=1-0, SiO v=0 J=1-0 と H2 616-523 の同時観測を SiO はあるが H2O がない 83 天体で行う。



表2.観測星リスト

 2.天体選択と観測 

 2.1.天体選択 

  

 水メーザーが非検出であったとの基準は上限値 0.3 - 2.0 Jy とした。 この基準で 83 SiO 天体が選ばれた。内訳は 58 ミラ, 11 OH/IR, 7 SR, 3 IR, 2 OH, 2 Irr. タイプは Simbad から得た。

 2.2.観測 

 望遠鏡 

 観測は KVB Yonsei 21 m, KVN Tamna 21 m 望遠鏡で、2009 年 6 月から 2011 年 3 月に掛けて行われた。


 4.観測結果 


表3.SiO と H2O 検出天体のアンテナ温度




表4.SiO と H2O 検出天体の積分フラックス




表5.SiO しか受からなかった天体のアンテナ温度





表6.SiO しか受からなかった天体の積分フラックス





表7.水しか受からなかった星




表8.SiO も水も非検出の天体




表9.平均アンテナ温度の比



 4.メーザー線間の強度比の位相依存性 










表10.水メーザー線プロファイルのタイプ


 5.IRAS 二色図 




図2.LI = post-AGB の blue group. RI = post-AGB の red group. 黒丸=SiO と水の両方検出。赤色三角=SiO だけ。黄色三角=水だけ。 緑逆三角=どちらもなし。

 図1:スペクトル