スペクトル型 C, S, gM の星の空間分布と運動を調べた。変光星かどうかは 区別していない。変光星のみについては Plaut 1965 参照。C, S 型星の光度と 固有カラーの情報が不足しているため、またそれらの空間密度が低いため、 その空間分布については、天空上の見かけ分布と特異運動に頼らざるを得なか った。 gM 型星では状況はずっとましで、空間分布に関していくらかのことが 言える。 太陽近傍での gM 星空間密度は 9,000 kpc-3である。銀河面垂直 方向高度 250 pc でこの密度は半減する。 | 銀河面上では銀河中心方向に増加し、 反中心方向で減少するがその率は不明である。M5 より早期型の gM 星の約半数 かそれ以上が渦状腕に集中している。 N 型星は他の種族 I 星と共に腕に集中 して見える。 R 型星にはその集中が見られない。それらはバルジに見つかって いない。 S 型星の分布は二つに分かれる。一つは古典的な種族 I と同じ、 もう一つは長周期変光星と同じ分布である。 gM 星の速度楕円体は主系列 F 型星と似る。R 型星の速度楕円体は G - K 矮星のそれと似る。 |
![]() 表1.M 巨星の可視絶対等級 |
![]() 表2.銀河星団中の M 巨星 |
![]() 図1.M 巨星の可視変光巾。 Stebbins, Huffer による。 |
![]() 表3.M 巨星の固有カラー |
![]() 図2.M 型星の固有 V-I カラー |
![]() 図3.M 型星の固有 R-I カラー |
![]() 表4.太陽近傍の 106 pc3 当たり gM 星空間密度 |
![]() 図4. M2 又はより晩期の星の銀極方向の密度変化 |
![]() 図5.M5 またはより晩期の gM 星の銀経分布。 Lund Galactic Equator 2度以内。 M5 かより晩期の星 測定は赤外等級 10.2 等まで、 Nassau, Blanco 1954 の 6637 M5 またはより晩期星と 422 炭素星の銀河面 2 度 以内のサーベイ lII = [5, 235] と Blanco, Munch 1955 lII = [232, 302]、 Smith, Smith 1956 の同様の南天サーベイに 基づいている。 ≥ M5 星 M5 かより晩期の星の分布を図5に示す。太陽からの長さは 16 平方度当たり の数である。不規則性は星間吸収雲と相関している。 Sanduleak (1957) は銀河面 lII = [24, 228] に沿って、透明度の高い 1 平方度の 区間 25 領域を選んだ。≥ M5 星は反中心方向で 1 平方度当たり 14 個 から (lII, bII) = (25.1, -3.4) で 72 個まで変化 する。 この透明領域では 4 kpc まで検出していると考えられる。 |
![]() 図6.炭素星の銀経分布。 Lund Galactic Equator 2度以内。 早期 M 型星 Sanduleak (1957)、 Blanco, Munch 1955 は早期 M 型星の銀経分布を調べた。 M2 - M4 星は銀河 中心方向に向かって数が上昇する。しかし晩期 M 型星ほどでない。これは、 早期 M 型星の赤外絶対等級が晩期 M 型星ほど明るくないことから予測され ていた。Neckel 1958 は lII = 60 方向に星の集中を見出したが、 腕かも知れない。 炭素星 図6に炭素星の銀経分布を示す。M 型星と逆で、銀河中心方向に数が少ない。 |
![]() 図7.丸= M 型星、十字=炭素星 の銀緯分布。 |
![]() 図9.銀河中心に近い透明領域での黒丸= M 型星、白丸= RR Lyr 星の等級分布。 |
図8の説明 図8の十字は透明領域の中心を示す。括弧内の数字は1平方度当たりの ≥M2 星の数である。各領域に添えられたヒストグラムは 左から右へ、M2-M4, M5-M6, ≥M7 星の割合(パーセント)を示す。 透明領域の研究 (0.5, -3.0) は NGC6522 が中心にある。 Nassau, Blanco 1958 が研究した。 lII = 0 付近の他の 3 領域は Blanco, Marvridis (unpublished) が研究した。彼らは lII = 81 付近の領域も調べた。 (25, 3.5) 領域は Scutum 雲にあり、Albers (unpublished) が調べた。 lII = 43.5 付近の 3 領域は Westerlund 1959a により調べられた。 彼 1959b は lII = 64 領域も調べた。 分布の傾向 図8は図5,6,7の傾向を確認している。銀河中心方向に多数の M 型星が 発見された。図8のヒストグラムは銀経が増すと早期 M の晩期 M に対する割 合が増加することを示す。スペクトル型と共に限界等級が増すこと、晩期ほど 固有光度が上がることがこの効果に寄与する。しかし、単位体積内の比が銀河 面上の位置で変わるのかも知れない。この効果を分離するのは難しい。 |
早期 M は腕種族か? Westerlund 1959a,b, Neckel 1958 は早期 M 型星は渦状腕に集中している のではないかと述べている。これは、銀経分布からの観察である。しかし、 早期 M 型星の集中と H I ガス分布のピークとは一致しない。 NGC6522 領域 図9の NGC6522 領域における Nassau, Blanco 1958 の M3 - M6 130 星と、 Baade 1951 の 85 RR Lyr 星の等級分布を比較した。RR Lyr の mpg = 17.5 極大はバルジに対応すると解釈された。同様の解釈が M 型星に対しても Nassau, Blanco 1958 によりなされた。この場合、サーベイは 18.5 等まで 完全と考えられる。 |
1.分光分類 非常に晩期型の星の分類基準と検出上の選択効果を記述した。M2 より晩期 と N 型星では赤外研究が最も有効である。同一乾板上では非常に晩期の M 型 星と N 型星は早期 M 型星より暗く見える。 2.絶対等級 N 型星と S 型星に較べ、M 型星と R 型星の絶対等級と固有カラーはよく 決まっている。 3.空間密度 太陽近傍での gM 星空間密度は 9,000 kpc-3である。銀河面垂直 方向高度 250 pc でこの密度は半減する。銀河面上では銀河中心方向に増加し、 反中心方向で減少するがその率は不明である。M5 より早期型の gM 星の約半数 かそれ以上が渦状腕に集中している。 |
4.炭素星 N 型星は他の種族 I 星と共に腕に集中して見える。 R 型星にはその集中が見 られない。それらはバルジに見つかっていない。 5.S型星 S 型星の分布は二つに分かれる。一つは古典的な種族 I と同じ、もう一つは 長周期変光星と同じ分布である。 6.速度分布 gM 星の速度楕円体は主系列 F 型星と似る。R 型星の速度楕円体は G - K 矮星のそれと似る。 |