CO J = 1 - 0, b = 0, l = [352, 10], Δl = 0.2°, φ = 65 ″, Δv = 2.6 km/s の観測を行った。 以下 Ro = 10 kpc を仮定。 CO の積分強度 と運動は、銀河系の内側 2 kpc、 300 pc より外では N(CO) ≥ 2 × 1016 cm-2 (観測感度限界)の分子雲は数個しかない ことを示唆する。中心 3 - 4 kpc 以内の CO は R < 300 pc の中心核 領域、 M(H2 ≤ 7 × 108 Mo, に含まれている。 | 3 kpc リングは、もし銀河面に大きく傾いているなら別だが、完結した 円環を成していない。腕の断片に関して言えば、H2 質量は HI 質量 より小さい。CO データには 3 kpc 腕の共鳴リングモデルを支持する証拠はない。 |l| < 3° の CO (l, v) 図は Ω = 40 km/s/kpc の剛体回転する 傾いた円盤を示す。これは HI の中心核円盤と同じである。その内部には二つの 付加的構造があり、それぞれが -135 km/s と +165 km/s で l = 0° を 横切っている。この二つは l = 359° で v = [-140, +140] km/s にかけての 尾根でつながっている。この特徴は回転膨張円環のモデルに合致するが、模様が l = 0° で不完全である。と言うのは、 l = 1° にある特徴の対応物が l = 359° にはないからである。その上、単純な回転円環も、共鳴軌道も、 銀河中心爆発も b = 0° の (l, v) 図を説明できない。 |
主尾根 全 l 領域に渡って巾 50 km/s で伸びている。中心は v = 0 km/s 付近。 これは円運動する CO なら軸が何処にあろうと生じるので距離は決まらない。 ![]() 図2.(l、v)(図1)の解説。 ![]() 図1.12C16O (l, v) 図。 b = 0° T* = 1.4. 3.0. 5.0. 10, 15 K. 分解能は Δv = 2.6 km/s, Δl = 0.2°. ただし、l = [1,2], [358, 359] では Δl = 0.1° である。 |
3 kpc 腕 3 kpc 腕は (l, v) = (352, -90) から (10, -10) へ伸びる。これは Woerden, Rougoor, Oort 1957 により HI で見つけられた。CO では HI よりl 大領域遠くへ伸びている。 中心核円盤 図1に v = ± 230 km/s まで達する強い尾根が見える。これは Rougoor, Oort 1960 が発見した HI の中心核円盤と一致する。 雲塊 1 図1 の (l, v) = (355, +100) に独立した塊りが見える。この銀経では この速度は銀河回転と相いれない。距離 Ro = 10 kpc を仮定すると、雲塊 1 は 直径 175 pc, 質量 9 × 106 Mo となる。これは HI の 雲塊 1 の対応物で、HI 質量は 2 × 105 Mo なので、 分子質量の 2 % である。 雲塊 2 図1 の (l, v) = (3, 50 - 150) 中心速度 110 km/s の塊りの線幅は中心核 円盤を除き、 他の CO 天体の線幅を大きく上回る。3 成分ガウシャンフィット は v = 66, 100, 140 km/s の成分に分かれた。各成分の FWHM > 20 km/s である。OH l = 3° (Kaifu 1975) には 100 km/s 雲しか見えない。水素 再結合線 Reifenstein et al. 1970 の観測は 4 km/s H109α ライン G(3.3-0.1) のみである。 HI との比較 図3には HI (l, v) 図を載せた。CO との類似は驚くべきである。 ![]() 図3.HI 21 cm (l, v)図。図1との比較用。速度分解能 = 1.37 km/s. 銀経分解能 = 0.2°. HI ビーム巾 = 20′ で CO の 1′ より大きい。 |
モデルとの比較 図7に、モデル銀河の CO 放射を観測と比較した。v = 0 km/s 付近の強い 尾根は内側銀河の外の低視線速度部からの寄与であろう。 ![]() 図7.CO l-v 図(図1)上にモデル銀河の放射強度等高線を重ねた。モデルは R < 12 kpc まで一様密度の円盤である。 回転曲線は、R < 0.3 kpc は Sanders, Lowinger 1972, 0.3 < R < 5.5 kpc は Simonson, Mader 1973, 5.5 kpc < 5.5 kpc は Burton 1971 を使用した。モデル 等高線レベルは最強レベルを 1 とした相対比である。 |
中央尾根の速度変化 図8には中央尾根の速度変化を観測平均値と二つのモデルに対して比べた。 破線モデルは半径 12 kpc の等密度円盤。点線は密度変化をガウシャンにした。 関数形は n(R) ∝ exp[-(R - 6)2/2.8] である。この形は分子雲 の分布 (Gordon,Burton 1976) を表している。点線は観測と良く合い、ずれが 生じるのは 雲塊1(l = 355), 雲塊2(l = 3), SgrA-SgrB 複合(l = 0) の部分である。 雲塊の影響は局所的で、尾根全体の形を乱さないことが分かる。 ![]() 図8.CO 中央尾根の速度変化。実線=観測。破線=もでる。点線 =モデル。 |
HI HI では 3 kpc 腕が最初に現れるのは l = 338°, v = -150 km/s である。 ここが端点とすると、腕は R = 3 - 4 kpc に位置すると考えられる。実際、 現在この腕の位置についてはそれ以上の情報はない。l = 0° では 3 kpc 腕 は Sgr A 連続波に対して v = -55 km/s の吸収を示す。腕は l = 6° まで しか追跡できない。その先では v = 0 km/s 付近の強い主尾根と紛れてしまう。 回転リングモデル Cohen, Davis 1976 は半径 4 kpc, 回転速度 210 km/s, 膨張速度 53 km/s の 円環を仮定した。しかし、この円環が生み出すはずの正の視線速度は HI では 観測されていない。勿論、銀河回転主尾根と重なり合い分離は難しくなるが、 負速度で観測された強度なら容易に識別可能である。銀緯の高いところまで探し たが見つからなかった。 従って、リングは不完全である。 CO CO 観測はそれに新たな情報は提供していない。図9は CO 観測と回転リングモデル を比べた。モデルは HI と合うところでは非常によい一致を示す。その上、 l > 10 の v < 75 km/s 部分では CO の広い尾根に従い、l = 23.5° v = 100 km/s で止まっている。ここは R = 4 kpc の円環の端点なので非常に 面白い。さらに、ここでは放射が接線効果で強まるはずで、観測にそれが現れて いる。しかし、もっと大きな正速度がリングモデルでは予言されていてそれは 観測されていない。雲塊2はそれの一部かも知れないが、円環全体ではない。 共鳴軌道モデル 内側リンドブラッド共鳴付近にガスが捕まるというモデルが Lin,Shu 1967, Roberts 1969 により提案された。 |
![]() 図9.CO b = 0° 観測と Cohen, Davis 1976 回転リングモデルの比較。 |
![]() 図10.CO l = [357, 3], b = 0 の (l, v) 図。 Sgr A (l, v) = (0.25, 0) を通り、 dv/dl = 125 km/s/deg のラインが 銀河中心核円盤を定義している。 Sgr A は v = 20 - 40 km/s でこの ラインに乗っていない。Sgr A が銀河系中心核であるから、この (l, v) 位置のずれは、重要ではない(?) (l, v) 図 図10は l = [357, 3] の (l, v) 図である。(l, v) > (0, 0) 部では 回転円盤の特徴があまりよく現れていない。Sgr A, Sgr B の影響もある。 図11の HI 図も (l, v) > (0, 0) 部ではやはりはっきりしない。 銀緯効果 Cohen, Davies 1976 は l > 0 の HI 放射は l = -0.2° で強いことを見出した。さらに、Kaifu et al 1975 は NH3 の観測から回転円盤を見出した。 |
![]() 図11.HI l = [357, 3], b = 0 の (l, v) 図。 ![]() 図12.CO l = [357, 3], b = 0 の (l, v) 図(図10)に回転リングを重ねた。 リングの半径は 190 pc で 65 km/s で回転し、 150 km/s の膨張速度を持つ。 |
図15.爆発モデル(t = 4.4 × 105 yr, E = 1054erg)を 重ねた。低い回転速度と大きな膨張速度は爆発の衝撃波によってリングが出来たと考える と説明可能である。 |
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