水素再結合線 H109α サーベイが NRAO 140 フィート電波望遠鏡を用いて 1967 に行われた。 120 電波源を観測し、内 82 個で検出に成功した。 | 予想外だったのは、約 1/3 で検出に失敗したことである。 |
Kardashev の示唆 最近まで HIIR の電波観測は f-f 放射のみで距離を導くことは出来なかった。しかし、 Kardashev 1959 の示唆により再結合線が観測できることが分かった。観測から距離を 出す際の問題は、 (1)太陽円内側天体の近距離と遠距離のどちら? (2)l = 0, 90, 180 270 方向で Vr = 0 となり、距離が決まらない |
サーベイ Mezger, Henderson 1967 は、再結合線とその横の連続光を測ると、天体の 密度、質量、Te 等様々な情報が引き出せることを示した。そこで、 この二つを観測するサーベイ計画が開始された。 |
第1列の名前は可視天体名を優先して割と勝手に載せた。括弧は複数の成分から なる複合天体であることを示す。Cyg X 複合体では Pike,Drake 1964 が始め、Downes, Rinehart 1966 が続いた番号がリストされている。 | 第6列 S,7列Tc は丸め誤差を減らす ため 0.1 f,u,, 0.01 K まで載せてあるが、実際の誤差はもっと大きい。 |
運動距離は Schmidt 1965 の銀河回転モデルから求めた。10 kpc より内側の 天体には近距離と遠距離の二つが可能である。表には両方を載せた。 | 第9列 - 第13列には近距離と遠距離の双方に対応した値を載せてある。 |
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![]() 図5.シュミット回転曲線を用いた HIIR 分布。黒丸=遠近不定性のない天体。 運動距離の二重性が解ける場合が幾つかある。それらは、 可視光同定 銀河面では 2 kpc 離れると可視では見えない場合が多い。従って可視光で 見えた時には運動近距離を採用する。 ( 近赤外で見える場合も赤化から、近距離と 遠距離の分離が可能か。) 銀河面からの距離 もし運動遠距離を採用して銀河面から 100 pc 以上離れたら運動近距離を取る。 接点 この場合は一意に決まる。 中性水素吸収線 接点の向こう側の天体は水素吸収線を示す。 太陽円の外側 この場合は一意に決まる。 |
![]() 図6.巨大 HIIR の分布。S(5GHz)D2 > 400 f.u.(kpc)2 の天体のみを選んだ。 非存在域 表4で遠近二重性が解けた場合には第8列にどの基準が用いられたかを 記した。図5には HIIR の位置をプロットした。 4 kpc の内側にはっきりと "zone of avoidance" が存在することに注意せよ。R > 12 kpc では HIIR がないこともはっきり見える。 巨大 HIIR 図5には NGC2024 (励起星は多分 B0型星)のような小さな HIIR と W49 の ような巨大 HIIR が混じっている。系外銀河の観測からは、渦状腕をなぞるのは これらの HIIR であることが知られている。図6にはそれらの巨大 HIIR のみを プロットした。 太陽近傍 図6からは太陽近傍の混み合った HIIR 集団が皆消え、 4 kpc < R < 11 kpc に巨大 HIIR が集中していることが分かる。 |
非検出の数 38/120 天体で再結合線が検出されなかった。非検出の理由は5つある: 非熱的電波源 励起温度が高過ぎ アンテナ温度が高過ぎ 光学的に厚い Vr が観測範囲外 |
今後 非検出の理由を含め、これらの天体の研究が重要である。 |