Uncovering the Beast: Discovery of Embedded Massive Stellar Clusters in W49A


Alves, Homeier
2003 ApJ 589, L45 - L49




 アブストラクト 

 W49 GMC の最深部 5'x5'= 16x16 pc を FWHM = 0.5" JHKs 撮像した。4つの 大質量星団が見つかった。最大の星は 120 Mo である。その中で最大の 星団1 は UCHIIR から成る有名な Welch ring の 3 pc 東にある。星団1の特徴は、 (1)Av>20 mag の前景減光を受けている。 (2)非一様な内部減光は 30 mag 以上である。 (3)直径 6 pc の HIIR を形成している。  幾つかの UCHIIRs の励起星を同定した。W49A の大質量星探しは、 電波から期待される Ly 連続光と一致かやや多めである。Welch リングの 形成は星団1により誘発されたのかも知れないが、W49A 星形成域全体では 同時期に形成の種が撒かれたのであって、端から順に起きたのではない。


 1.イントロダクション 

 W49A 概説 

 W49A Mezger,Henderson (1967a), Mezger, Schraml, Terzian (1967b), は巨大 HIIR である。光度 107 Lo は O7 星 100 個分に 相当する。100 pc 以上に広がる 106 Mo 分子雲に埋もれている。 星形成爆発の研究に最適なサイトである。 W49 星形成域は (l, b) = 843.17, 0.00) にあり、距離 11.4±1.2 kpc である。そこには約 40 の UCHIIRs があり、詳しく研究されている。それらには B3 より早期の星が伴っている。 それらの 12 個はリング状に並んでいて "Welch" ring と呼ばれる。
 NIR 観測 

 ESO NTT 3.5 m 鏡 + SofI NIR カメラにより JHK 5'x5' = 16x16 pc 撮像を W49 GMC 中心部に対し行った。ここでは、 Welch リングの 3 pc 東に大質量星 の星団を発見した報告をする。


 2.観測 

シーイングは 0.5" であった。60 s 露出で 30 ディザリング行った。



図1.ラベル=既知電波源(De Pree et al 1997). F, J2 = Welch リング の UCHIIRs. 星団 I = 主星団は O3 の NE に見える。 CHIIRs の励起星らしき 天体がいくつか見える。それらは、 CC, O3, W4South の中心にある星である。 電波源 Q、W49A south の傍には暗黒分子雲の柱がそびえる。W49a の星は 可視では一つも見えない。画像中心は 19h10m16.724s, +09°06'16"




図2.サーベイの中心領域の、赤=電波連続波、緑=Ks, 青= J の3色合成図。 電波データは De Pree et al. 1997 の分解能 0.8" 。 赤はウェルチリングの CHIIRs を現わす。緑=減光のため J では見えない Ks 天体=W49A 若い星団。青=前景星。

 3.結果 

 図1=JHK合成図 

 図1にJHK合成図を示す。フィールド星の大部分は近赤外では "colorless" なので、図の星の色は基本的には減光を現わし、青い星は前景星と考える。

 図2=電波(電離ガス)との合成図 

 図2には、赤=電波連続波、緑=Ks, 青= J の3色合成図はサーベイの中心 領域に対し示した。電波データは De Pree et al. 1997 の分解能 0.8" である。 赤だけの部分は電離ガスで分子雲減光が強すぎて Ks では検出できないのである。 ウェルチリングの UCHIIRs では天体 F と J2 のみが例外的に検出されている。 電波で見つかった HIIRs やUCHIIRs の幾つかは Ks バンドできれいに見えている。 これは Ks 拡散ガスは H ラインであることを示唆する。Ks で見えている天体は Av > 24 mg の減光を受けている。

 星団1 

 図1、2で最も目立つのは中央, リングの東、にある 6 pc = 55' の恒星 集団で、今後はそれ星団1と呼ぶ。JHK で見えるのはこの星団の北側のみで ある。南側はさらに深いのであろう。

 励起星 

 Conti, Blum 2002 はウェルチリングの周り 1.5 arcmin2 の H, K 撮像を行い、UCHIIRs の励起星として星 F と J2 を同定した。彼らは他に 幾つかの O-型星候補を見つけ、 UKHIIRs 集団の周りに星形成が起きているの ではないかと考察している。 ここに我々ははっきりと、それらの天体が星団1に付随していることを見る。
(全然はっきり見えない。何を指して いるつもりなのか?次の論文 Homeier, Alves 2005 の結論を先取りしようと 焦っているのか?感じの悪い書き方だ。 )

 分布図 

 図3にはカラー別の分布図、図4にはCMD を示す。

図4.(H-Ks)-Ks CMD.実線= 1 Myr 等時線。点斜線=Av48 mag 赤化ベクトル。 黒丸=W49A 星団星候補。灰色線=90 %検出線。





図3.カラー別分布図

 4.議論 


表1.星団の位置

 4.1.空間分布 

 図3で 左端は南半分に約 2/3 の星が分布する。この図の星は主に前景星で Av < 14 mag の減光を受けている。非一様分布は D = 3 kpc に位置する GRSMC43.30-0.33 (Simin et al 2001) による。図3中は Av = [14, 24] mag に対応する。上側に星が増えているのは GRSMC43.30-0.33 の赤化のせいであろう。 右側2つの図は大きく赤化を受けた4つの星集団が見える。最右端の星は Av 32 mag の赤化を被っている。それらの位置は表1に示す。

 4.2.星形成 

 O-型星 

 (H-KS)-Ks 図上の位置から、約100個の O-型星を探した。 そのうち 30 星は直径 6 pc の星団1の中にある。残りの星団 2, 3, 4 には 各10個が属している。この数は、全領域からの 1051 ライマン 連続光子の数/秒という数字に良く合う。

 ウェルチリング  

 ウェルチリングは星団1によって励起される巨大HIIR の端に位置する。 この配置は巨大 HIIRs からのショックと UV 光により周辺ガスが圧縮された 結果ロング状の UCHIIRs 集団が生まれたと解釈される。しかし、他の離れた 位置の HIIRs は同時発生の星形成を予想させる。

 進行中? 

Wilner et al 2001 はウェルチリングの近くに6個のホット分子雲コアを 発見した。従って W49 では現在も星形成が進行中である


 5.まとめ 

 星団の発見 

 W49 星形成域の 5'x5' NIR 撮像により、ウェルチリングの 1'=3 pc 東に 巨大星団を発見した。主星団の 2'=6 pc SE にはより小さい星団が W49A に付随していた。主星団の 2'=6pc SW には二つの小さな星団が連続波源 S と Q に付随して存在する。

  

 O-型星 

 100 以上の O-型星を (H-Ks)-Ks CMD 上で見出した。それらは HIIRs の励起 星である。

 星形成 

 ウェルチリング UCHIIRs は主星団からの作用による星形成の結果であろう。 しかし、W49A の星形成はあちこちにまかれた種が発芽した結果である。