W49 GMC の最深部 5'x5'= 16x16 pc を FWHM = 0.5" JHKs 撮像した。4つの 大質量星団が見つかった。最大の星は 120 Mo である。その中で最大の 星団1 は UCHIIR から成る有名な Welch ring の 3 pc 東にある。星団1の特徴は、 (1)Av>20 mag の前景減光を受けている。 (2)非一様な内部減光は 30 mag 以上である。 (3)直径 6 pc の HIIR を形成している。 | 幾つかの UCHIIRs の励起星を同定した。W49A の大質量星探しは、 電波から期待される Ly 連続光と一致かやや多めである。Welch リングの 形成は星団1により誘発されたのかも知れないが、W49A 星形成域全体では 同時期に形成の種が撒かれたのであって、端から順に起きたのではない。 |
W49A 概説 W49A Mezger,Henderson (1967a), Mezger, Schraml, Terzian (1967b), は巨大 HIIR である。光度 107 Lo は O7 星 100 個分に 相当する。100 pc 以上に広がる 106 Mo 分子雲に埋もれている。 星形成爆発の研究に最適なサイトである。 W49 星形成域は (l, b) = 843.17, 0.00) にあり、距離 11.4±1.2 kpc である。そこには約 40 の UCHIIRs があり、詳しく研究されている。それらには B3 より早期の星が伴っている。 それらの 12 個はリング状に並んでいて "Welch" ring と呼ばれる。 |
NIR 観測 ESO NTT 3.5 m 鏡 + SofI NIR カメラにより JHK 5'x5' = 16x16 pc 撮像を W49 GMC 中心部に対し行った。ここでは、 Welch リングの 3 pc 東に大質量星 の星団を発見した報告をする。 |
シーイングは 0.5" であった。60 s 露出で 30 ディザリング行った。 |
図1=JHK合成図 図1にJHK合成図を示す。フィールド星の大部分は近赤外では "colorless" なので、図の星の色は基本的には減光を現わし、青い星は前景星と考える。 図2=電波(電離ガス)との合成図 図2には、赤=電波連続波、緑=Ks, 青= J の3色合成図はサーベイの中心 領域に対し示した。電波データは De Pree et al. 1997 の分解能 0.8" である。 赤だけの部分は電離ガスで分子雲減光が強すぎて Ks では検出できないのである。 ウェルチリングの UCHIIRs では天体 F と J2 のみが例外的に検出されている。 電波で見つかった HIIRs やUCHIIRs の幾つかは Ks バンドできれいに見えている。 これは Ks 拡散ガスは H ラインであることを示唆する。Ks で見えている天体は Av > 24 mg の減光を受けている。 星団1 図1、2で最も目立つのは中央, リングの東、にある 6 pc = 55' の恒星 集団で、今後はそれ星団1と呼ぶ。JHK で見えるのはこの星団の北側のみで ある。南側はさらに深いのであろう。 励起星 Conti, Blum 2002 はウェルチリングの周り 1.5 arcmin2 の H, K 撮像を行い、UCHIIRs の励起星として星 F と J2 を同定した。彼らは他に 幾つかの O-型星候補を見つけ、 UKHIIRs 集団の周りに星形成が起きているの ではないかと考察している。 ここに我々ははっきりと、それらの天体が星団1に付随していることを見る。 (全然はっきり見えない。何を指して いるつもりなのか?次の論文 Homeier, Alves 2005 の結論を先取りしようと 焦っているのか?感じの悪い書き方だ。 ) 分布図 図3にはカラー別の分布図、図4にはCMD を示す。 |
![]() 図4.(H-Ks)-Ks CMD.実線= 1 Myr 等時線。点斜線=Av48 mag 赤化ベクトル。 黒丸=W49A 星団星候補。灰色線=90 %検出線。 |
![]() 表1.星団の位置 4.1.空間分布図3で 左端は南半分に約 2/3 の星が分布する。この図の星は主に前景星で Av < 14 mag の減光を受けている。非一様分布は D = 3 kpc に位置する GRSMC43.30-0.33 (Simin et al 2001) による。図3中は Av = [14, 24] mag に対応する。上側に星が増えているのは GRSMC43.30-0.33 の赤化のせいであろう。 右側2つの図は大きく赤化を受けた4つの星集団が見える。最右端の星は Av 32 mag の赤化を被っている。それらの位置は表1に示す。 |
4.2.星形成O-型星(H-KS)-Ks 図上の位置から、約100個の O-型星を探した。 そのうち 30 星は直径 6 pc の星団1の中にある。残りの星団 2, 3, 4 には 各10個が属している。この数は、全領域からの 1051 ライマン 連続光子の数/秒という数字に良く合う。 ウェルチリング ウェルチリングは星団1によって励起される巨大HIIR の端に位置する。 この配置は巨大 HIIRs からのショックと UV 光により周辺ガスが圧縮された 結果ロング状の UCHIIRs 集団が生まれたと解釈される。しかし、他の離れた 位置の HIIRs は同時発生の星形成を予想させる。 進行中? Wilner et al 2001 はウェルチリングの近くに6個のホット分子雲コアを 発見した。従って W49 では現在も星形成が進行中である |
星団の発見 W49 星形成域の 5'x5' NIR 撮像により、ウェルチリングの 1'=3 pc 東に 巨大星団を発見した。主星団の 2'=6 pc SE にはより小さい星団が W49A に付随していた。主星団の 2'=6pc SW には二つの小さな星団が連続波源 S と Q に付随して存在する。 |
O-型星 100 以上の O-型星を (H-Ks)-Ks CMD 上で見出した。それらは HIIRs の励起 星である。 星形成 ウェルチリング UCHIIRs は主星団からの作用による星形成の結果であろう。 しかし、W49A の星形成はあちこちにまかれた種が発芽した結果である。 |