M-, S-, C-AGB 星大気の化学平衡を計算した。一般的に、化学平衡の結果は
星周外層中の組成観測結果をよく説明する。しかし、平衡予測に比べ数桁も多く
観測される分子もある。例えば、M-型星では HCN, CS, NH3,
SO2, S-型星で H2O, NH3, C-型星で
H2O, NH3, SiH4, PH3 などで
ある。 以前の研究と同じく、C-星大気で最初に現れる凝結物質は C, TiC, SiC であり、 O-リッチ流出流中では Al2O3 である。C ダストのガス 前駆分子はアセチレン C2H2 と C 原子、それに/または、 C3 である。 | SiC ダストの前駆分子は SiC2, Si2C である。TiC (タイタニウムカーバイド)ダストに関しては、大気内部で最も豊富 な原子 Ti が TiC ダストに対する主要供給源であろう。しかし、化学平衡計算は TiC 凝結が予想される領域では、原子 Ti の代わりに Ti8C12 や Ti13C22 のような タイタニウム・カーボンクラスターが Ti の貯留体となることを予想する。これは 大きな TixCy の集合が TiC ダストの最初の凝結核の 形成と関係することを示唆する。Al2O3 ダストに関し ては、原子 Al と Al-O 結合を含む AlOH, AiO, Al2O が最有望な ガス前駆体である。 |
![]() 表1.元素組成 図1.AGB 星の広がった大気の温度(上)と圧力(下)分布。黒破線=位相 0.0、 青破線=位相 0.5 の 1D モデル ( Bladh et al. 2019 の図1). 緑破線=ダスト輻射圧あり、青破線=ダスト輻射圧なしの3Dモデル。 (Freytag et al 2017) 黒点線=IRC+10216 のプロファイル (Agundez et al 2012). 下枠の細線=AGB 星の電波連続波(Reid, Menten 1997)、ミラの SiO と H2 (Wong et al 2016), CO (Kouri et al 2018), Mira, R Leo, W Hya, R Dor のサブミリ連続波 ALMA 観測 (Vlemmings et al 2019) マゼンタ太線=この論文で採用した AGB 大気構造線。 |
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![]() 表4.AGB ダストの候補物質。 |
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![]() 表5.M-星と C-星における元素ごとのダストの候補物質。 |