銀河学校2012は2012/3/27-30の4日間にわたって開催され、全国の高校生27名が参加しました。
高校生たちは3つの班に分かれ、 「散開星団から探る天の川の星生成史」、「銀河に咲く赤い光 - 星が生み出される現場 -」、 「宇宙の進化を探れ - 銀河団の観測から探る宇宙膨張 -」というテーマに挑戦しました。 シュミット望遠鏡を用いた観測と天文学の本格的な研究を行い、それぞれの班が優れた結果を出すことができました。 3泊4日のハードなスケジュールをこなしながら、高校生同士やスタッフ・TAとの交流を深めていました。 各班のテーマはこちらこちらをご覧ください。 |
銀河学校2012スナップショット |
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空の暗いところに行くと、夜、たくさんの星が見えます。木曽観測所のある様な本当に暗い場所まで行くと、夜空を横切る天の川を見ることが出来ます。みなさんは、天の川を見たことがありますか。天の川は、われわれの銀河系を横から見た姿です。銀河系の中には太陽を含む2000億個の恒星があるといわれています。これらの恒星はどのように作られたのでしょうか。 夜空には、おうし座にある、すばる、ヒアデス星団など、明るい星がいくつも集まっている場所があります。これらは、われわれの銀河系にある、散開星団のひとつです。散開星団は数1000万年から数億年前に星が生まれた場所です。太陽の年齢はおよそ50億年といわれていますので、これと比較すると、散開星団はごく最近星が生まれたばかりの場所であることがわかります。 この班では、天の川、銀河系のひとつの領域に注目し、そこにある散開星団を調査し、星生成の状況を考察します。手がかりとするものは、星の明るさと色です。それらを使って、どのように解き明かされるのでしょう。自分たちの観測結果からスタートして、自分たちの頭で考えながら、一歩ずつ着実に明らかにしていきましょう。
銀河は星の大集団です。例えば有名なアンドロメダ銀河は約1,000億個の星からなります。この宇宙にはそうした銀河が100億個以上も浮かんでいると言われています。もともと宇宙は銀河どころか星さえもない暗黒の世界でした。しかし、闇を漂う水素が互いの重力でゆっくりと集まり、長い年月をかけて星とその集団である銀河を作りました。それが現在、私達が住む宇宙です。 私達は望遠鏡を使うことで、現在の宇宙に浮かぶ銀河でも星が盛んに作られていることを知ることができます。星が作られる場所からは、「Hα放射」と呼ばれる特殊な「赤い光」が出ます。このHα放射が多くの銀河に観測されるのです。 この班では105cmシュミット望遠鏡にHα放射を捉えることができるフィルタを搭載して、銀河が星を作り出す現場を観測します。星はどのような場所で生まれているのか?銀河は1年あたりに何個の星を生み出しているのか?銀河自身のすべての星を作るのに費やした時間(=年齢)はどれほどか?銀河の華々しい星形成活動を探究します。
2011年のノーベル物理学賞は、「宇宙膨張の加速の発見」を理由として、パールムッター、シュミット、リースの3氏に授与されました。宇宙が膨張していることは、1920年代のハッブルの天体観測によって明らかにされました。さらに、3氏らが行ってきた研究によれば、何か分からないエネルギー(ダークエネルギー)によってその膨張が加速しているというのです。 天文学的にはそれほど特徴のない太陽系の地球に生まれた人類が、宇宙の歴史や将来を見通すことができるようになったのは驚異的なことです。そのような発見に至るまでには、宇宙を調べる道具として天体の性質を明らかにするための多くの研究がありました。特に、宇宙の膨張を調べるためにとても重要な課題は、遠くにある星や銀河などの天体までの距離をはかることです。パールムッター氏らはIa型超新星とよばれる星の最期の大爆発を 観測することで、非常に遠い銀河までの距離を測定しました。しかし、その距離測定は決して簡単なものではなく、いろいろな誤差や不定性がつきまとっているので、その不定性を小さくしたり、複数の方法で宇宙膨張を調べていくことが重要です。 今回の銀河学校C班では、銀河団という天体に注目して、その距離や性質を調べてみましょう。はたして、宇宙膨張(さらにはその加速)を調べられるような正確な距離測定法を考案することができるでしょうか。
『銀河学校2012』は、「NPO法人 サイエンスステーション」が共催しました。
サイエンスステーションのページに当日のレポートがありますので、
合わせてご覧ください。
Last modified 2012/09/11