モザイク画像の作成


最後に、モザイク画像の作成。
中島さんのページを参照しつつ、mscimgを使って 足し合わせる。
単純に
imcombine offsets="wcs"
としないのは、これではディストーション補正が入らないから。
mscimgは高次のディストーションの補正をしてくれている(はず)。

とりあえずモザイク

mscimage @tmpin.tbl @tmpout.tbl fluxcon- ntrim=20
imcombine @tmpout.tbl combine-v1_1.fits offsets=wcs zero=median
とかする。できた。

露出時間などでマスクしてモザイク

とはいえ、足しただけだと露出時間の短いところに引っ張られてエッジのノイズがひどかったりする。
ので、露出時間マップ(exposure map)をみて、露出時間が中心の50%以下の領域はマスクして足し合わせたい。
以下のよう、まず各画像のマスク(mscimageを実行した際につくられる)に、露出時間のマスクのマップを足し上げる
# 以下、実際にはスクリプトで各露出セットごとに実行
# 中心での露出時間 X は imstat であらかじめ算出
 imcopy (露出時間マップ) tmp.fits
 imreplace tmp.fits 1 upper=(X/2)
 imreplace tmp.fits 0 lower=(X/2)
 imarith (露出画像のマスク) + tmp.fits (露出画像のマスク)
 imarith (露出時間マップのマスク) + tmp.fits (露出時間マップのマスク)
あと、sdf2-*_3 のデータセットは左上のはね上がりがひどくて、ここもマスクしたい。 このマスクも、imeditを適当に使ってつくる。
で、それを足し上げる。
(2997/8/29): 元ファイルのNCOMBINEでウェイトをかけられていなかった。
weight=!WCSDIM
の引数(キーワードはWCSDIMでなくても、各フレーム共通の値を持つもの)をつけることで、ウェイトがかかる。
imdel combine-mask-v2_0.fits
imcombine @tmpout.tbl combine-mask-v2_0.fits offsets=wcs zero=median masktype=goodvalue maskvalue=0 weight=!WCSDIM
これでOK。以下のような感じ。
ちなみに、画像サイズは1.2GBくらいになった。
最終画像。可視の視野が青線
個々の視野はこんなの。
露出時間マップ。オーバーラップしている領域は総露出時間は14000秒を越えている

シーイングサイズのマッチングもしてモザイク

各データセットのシーイングは、0.7-1.1arcsecくらいと、結構大きくばらついている。 とくに2005年のSDF1は、WFCAMの光軸調整もまだ完全ではなく、1.1arcsec近くと悪い上に 検出器ごとのばらつき、さらには検出器内でも場所によってPSFが違い、 なかなかめんどう。
まずは、検出器ごとにデータセットを足し合わせ、それぞれでFWHMを imexam/moffatで測定する。結果は以下(FWHM/stddev-before)。
# なお、星のサンプルはFWHMが小さいものを選んでつくっているので、 stddevの大小にはバイアスが入っていて信用してはいけない。
(Pointing)_(Detector#)# of starsFWHM-before(pix)stddev-before(pix)gaussian kernel size(pix)FWHM-after(pix)stddev-after(pix)
sdf1_1 24 5.352083 0.223476 -
sdf1_2 15 4.927333 0.160144 0.755 5.348000 0.144416
sdf1_3 13 4.969231 0.157649 0.74 5.350769 0.143980
sdf1_4 17 5.132353 0.077878 0.57 5.347647 0.071169
sdf2_1 11 3.647273 0.058011 1.505 5.348182 0.042814
sdf2_2 26 3.750769 0.088922 1.46 5.351538 0.060808
sdf2_3 23 3.970000 0.258002 1.36 5.351739 0.271207
sdf2_4 23 3.749130 0.082088 1.47 5.350000 0.044526
sdf3_1 20 4.175500 0.066894 1.25 5.344500 0.048526
sdf3_2 20 4.408500 0.099513 1.13 5.346000 0.085346
sdf3_3 15 4.608000 0.124857 1.02 5.348000 0.109921
sdf3_4 24 4.274583 0.055150 1.20 5.345417 0.038403
sdf4_1 15 4.709333 0.116703 0.93 5.350000 0.092304
sdf4_2 20 4.855000 0.150781 0.83 5.349500 0.130823
sdf4_3 16 4.926250 0.082680 0.79 5.348125 0.070995
sdf4_4 24 4.892917 0.099811 0.80 5.348750 0.081359
これをみると、FWHMはsdf1_1の5.35pix(~1.07arcsec)に合わせることになる。

それぞれ足し合わせた画像にgaussian filterをかけて、5.35pixになるように、 ある程度試行錯誤でgaussian kernelのサイズを調べる。結局、上表 一番右の欄のような値となった。あわせて、このgaussian filter をかけたあとのFWHMなども示す。

最後に、(imcimg処理済の)各露出セットの画像ごとに、このgaussian filterをかけて、 先ほどと同じようにimcombineで足し合わせる。

最終モザイク画像で、上でFWHMを測った星を再測定した結果は
# of stars : 306     
FWHM(pix)  : 5.341503        
stddev(pix): 0.129422
となり、ほぼ求めるものができたと考えられる。

BzK3色合成図

というわけで、シーイングを合わせた画像でとりあえずBzK三色合成。 ついに可視SDF全面を覆えた!!(一部露出が浅いが)

シーイングサイズのマッチングもしてモザイク (J-band)

J-bandのデータも同様にしてシーイングサイズをあわせてモザイク。
(Pointing)_(Detector#)# of starsFWHM-before(pix)stddev-before(pix)gaussian kernel size(pix)FWHM-after(pix)stddev-after(pix)
sdf1_1 24 5.080000 0.153921 0.62 5.351250 0.149201
sdf1_2 15 5.275333 0.248270 0.43 5.348000 0.243179
sdf1_3 13 5.024615 0.266332 0.68 5.346923 0.237402
sdf1_4 17 4.806471 0.095606 0.86 5.347647 0.084820

最終モザイク画像で、上でFWHMを測った星を再測定した結果は
# of stars : 69     
FWHM(pix)  : 5.353623
stddev(pix): 0.182033
となりOK!
Last Updated 2007/8/30
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