アブストラクト
パロマ― 120 cm シュミットで撮った Hα, [S II] 干渉フィルター乾板
に糸状の星雲が見つかった。それは W 50 の東端と西端に位置する。赤外乾板
には、その中心付近に何の星集団もなかった。 SS 433 までの距離は過大に評価
されており、この天体は W 50 に随伴しているのではないか。
1.イントロダクション
SS 433 W 50 = G39.7-2.0 の中心付近に位置する。W 50 に随伴する可視の
構造は見つかっていない。
2.観測
POSSを調べると、W 50 の中心付近は巾 0°.5 の暗黒帯に覆われている。
暗黒雲にも、その外側の濃い星野にも、輝線星雲は見えない。星の光を抑えるため、
パロマ― 1.2 m シュミットに巾 165 A Hα(図1) と巾 166 A [S II](図2)
干渉フィルターによる写真を撮った。
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SS 433 の東西、W 50 の電波シェルがダス
ト帯を超して広がる位置に微かな輝線構造が見えた。東側円弧の最も明るい部分は
POSSのレッドプリントにも現れている。
Velusamy, Kundu 1974 の 11 cm 電波サーベイの結果と比べると、可視の
糸状構造は電波シェルの外側端付近に位置することが分かる。これは SNR で
あろう。IV N + Wratten 89B 赤外乾板を撮ったが、星の集団は SS 433 位
置に見つからなかった。
3.議論
W 50 のフィラメントは非常に弱く、少し拡散している。形態学的には
これは RCW 89 と RCW 103 の中間にある。電波、可視観測から W 50 の広がり
は 56′ × 88′ である。 Ryle et al
の Σ - D 関係によると、距離 3.3 kpc が導かれる。すると実サイズは
54 × 84 pc となる。これはこれまで知られた中で最大の大きさで、
W 50 距離は少し過大に見積もられているのかも知れない。
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