Colour-Luminosity Arrays of Nearby Stars


Woolley, Eggen
1958 MN 118, 57 - 64




 アブストラクト 

 太陽から 20 pc 以内の星を集めた Gliese's Catalogue の星を使って、 カラー・光度アレイを作った。ただし、三角視差の測定が独立に2回以上行わ れた星に限定した。星を近銀点距離に従って分類した。  ほぼ円軌道の星のグループAはプレアデスのように比較的 "新しい" アレイ を示す。逆の極端集団 E+ は銀河中心近くまで侵入し、 M 67 的な "古い" アレイを示す。


 1.近傍星のクラス分け 

 分類基準 

 Woolley 1958a で Gliese's Catalogue 1957 にある 20 pc 以内の星を軌道 の離心率に従って分類した。ここではそれらのカラー・光度アレイを調べる。 サンプル星を v の大きさで次のように分類する。



(v の定義がよく分からない。LSR に対する速度のマイナス のように思えるがはっきりしない。)
境界の意味は下の表を参照せよ。



グループ E+ の星は銀河中心から 3.5 kpc (Ro=10 kpc) まで近づくのである。  
 分類結果 

 カタログにある速度の3成分が分かる星を下の表のように分類した。


表1.743 星を銀河中心への最接近距離で分類。


 2.カラー・等級アレイ 

 6 グループのカラー光度アレイを下に示す。 その特徴は、

 (a) 青い4星の平均カラー 

 最も青い4星の平均カラーは、A(0.00), B(0.09), C(0.36), D(0.33), E(0.52) E+(0.53) へと、系統的に変化していく。

 (b) 準矮星 

 AからEへと、準矮星の割合が増加していく。グループAとBでは、準矮星 の存在は疑問だが、C より後では存在が明らかで、E+ では準矮星、巨星、準巨星が 主系列星より多い。

 (c) 矮星と準矮星の交点 

 グループDの準矮星は大部分が、矮星と準矮星の交点付近に集中する。

 (d) 欠損 

 グループAでは (P-V)E = 1.0 - 1.2 mag 付近に星が見えない。 この欠損はグループB、C にも見えるが、 D で消える。これは固有運動 の選択で遅く動く K4 - K5 星が見逃される選択効果と思われる。


図1a.上から下へ、グループ A, B, C の星のカラー・光度アレイ
 A, B グループ 

 グループA、Bのカラー光度図はヒアデス、プレセペと似る。進化理論との 関連で言えば、グループA、Bは O, B 型星が失われ、A 型星が主系列の上に 上がるほどには古いが、晩期主系列星に影響が出るほどは古くない。

 グループC,D 

 C,Dグループでは A 型星は消失している。グループCでは F-型星が、 グループDでは G-型星が主系列の上に出る。

 グループE, E+ 

 グループE、E+はサンプルが不十分である。しかし、E+は非常に古い 星団 M 67 と似ている。

 年齢系列 

 このようにグループA から E+ への系列は年齢が次第に古くなっていく。 グループAの星は銀河中心方向に侵入する軌道にはない。これ等の星は今いる 位置とそう遠くない銀河中心距離で誕生した。一方、グループE+の星は 多くが今いる位置よりずっと銀河中心近くで生まれたと考えられる。
(星の軌道は段々と外側に伸びるのか? 散乱は角運動量一定で総エネルギーは増えるメカニズム? )



図1b.上から下へ、グループ D, E, E+ の星のカラー・光度アレイ