74個の連続電波源ピークでフォルムアルデヒド (H2CO) 分子 の観測を NRAO 140 フィート望遠鏡で行った。63/74 天体は Reifenstein et al. 1970 の H109α サーベイから選ばれた。望遠鏡の分解能は 6.5' で ある。周波数分解能は 1.7 km/s であった。結果を用いて、運動距離の遠近 分解を行った。 | HIIR 中の 4 つは円運動からの逸脱が大きかった。これは円周運動の仮定に 注意が必要なことを示唆する。H2CO, HI, OH の比較をした。 与えられた方向に対して、一般にはそれらのラインは共通の視線速度を示した。 しかし一つの吸収雲を単一の温度と乱流速度で特性付けることは出来ない。 H2CO 雲と HIIR との関係を議論した。Schmidt の銀河回転曲線を 使って、銀河系内の HIIR とH2CO 雲の分布を示す。 |
フォルムアルデヒド フォルムアルデヒドは Snyder et al 1969 により発見された。このラインが 吸収線としてしか観測されず、その幅が広いことから、連続電波源に対して この吸収線を広くサーベイすると、銀河系の運動と星間空間の物理に有益と 考えられ、実施された。 サーベイの理由(1)運動距離の遠近分離 運動距離の遠近縮退は内側銀河系内の HIIR に付きまとう問題である。 それらの速度自体は Reifenstein et al 1970 の H 109α ラインサーベ イから分かっている。太陽と HIIR の間にある星間物質による吸収線速度が HIIR 速度を越えなければ、近距離が採用される。逆に、吸収線速度が HI 最大速度まで伸びていたら遠距離である。大抵の場合、この選択に問題はない。 しかし l = [20, 30] では HIIR 速度が HI 最大速度に近いため遠近分離が困 難である。その上、表1に示す4天体は円運動からの大きな逸脱を示す。 これらには近距離を適用した。 |
サーベイの理由(2)銀河面上の分布 H2CO 雲の分布をプロットして銀河面上の分布を知ることが出来る。 (H2CO 雲の遠近問題が 生じないか? ) サーベイの理由(3)星間物質の性質 H2CO を他の吸収線と比較して、星間物質の性質を研究する。 |
![]() 図1.HIIR の分布 |
![]() 図4.H2CO 雲の分布 |
図1の HIIR 分布は R = 4 - 6 kpc に集中している。
渦状腕をそこから見て取るのは無理である。サンプル数が少なすぎるのかも
知れない。 R < 4 kpc ではシュミット回転曲線の適用は難しい。
そこで、その範囲にある HIIR は次の二つに分けた。 (1) l = [-1, 1] の天体は GC 距離にまとめた。 (2) 残りは R = 4 kpc とした。 | R < 10 kpc の 40 天体中 4 天体は非円周運動と考えられる。 |
![]() 図2.H2CO のオパシティとH2CO - H109α 速度の 差との関係 |
![]() 図3.H2CO 雲の数と速度差 |