スペクトル型 Mw, Se の長周期変光星の視線速度と固有運動を用いて、その
平均絶対等級 〈M〉 を求めた。全体としては 〈M〉 = -1
であったが、グループ間の系統変化がある。例えば、速度要素の内の3つ=
特異角速度 〈τ〉 、特異実速度 θ、実集団運動 Vo、は
周期と共に増加していく。 Me 型星の場合、それはスペクトル型の晩期への移
行を伴う。これらの相関を表す曲線、および第4の速度要素、視差運動、から
絶対等級はスペクトル型と周期とに相関することが判った。Me 星の絶対等級
〈M〉 は、M1e での -2.7 から M8e での +0.3 へとほぼ線形に
変化する。 光度と周期の関係はよりタイトでおそらくはより基本的である。それは、周期 175 日で 〈τ〉 = -2.7 から、150 日では -2.2、450 日では +0.6 と落下する。表9には Me 型と Se 型星の周期光度関係が載っている。 | 周期光度関係の助けを借りて求めた視差を使い、空間速度を定めた。予想さ れるように、空間速度はスペクトル型および周期と相関する。速度とスペクト ル型との関係はおそらく、良く規定されるスペクトル型と周期、および速度と 周期の間の相関からの付随関係であろう。平均速度は 74 km/s で、巨星とし ては非常に大きい。他の高速度星と同様に、運動向点は太陽運動の反対側の半 球面上に位置するケースが圧倒的である。太陽に相対的なグループ運動の方向 は非変光の K5 - M 型星と同じであり、その速度分散も同程度に大きい。 変光星のグループ運動は銀河系中心方向と直交し、太陽近傍の星が銀河系軌道 に沿って向かっている方向と反対向きである。より高速の星が多く向いている 方向は銀河中心方向と 10° 程度しか離れていない。従って、最大の速度 分散は銀河系動径方向にある。速度楕円体の二つの短軸の方向は決めにくいが、 銀河面と垂直な方向が、面方向より僅かに大きい。速度分散が大きいので、 長周期変光星の銀河回転で説明できる。高速度と周期の相関は恒星進化には 難しい問題を提供する。 |
![]() 図1.平均特異角運動 〈τ〉 と視差運動 q のスペクトル型、 変光周期との関係。 |
![]() 図2.グループ運動 Vo と特異角運動 θ の残差運動 V'との関係。 |
![]() 表7.グループ運動 Vo と特異角運動 θ の残差運動 V'との関係。 |
![]() 表8.平均特異角運動 〈τ〉 と視差運動 q のスペクトル型、 変光周期との関係。 |
![]() 図3.グループ運動 Vo と平均特異運動 θ のスペクトル型と 変光周期との関係。 |
![]() 図4.平均絶対等級 〈M〉 のスペクトル型と変光周期との関係。 |