OB 分類の新しい話題 OB スペクトルの可視域分類を新しい総合的な青ー紫数値データに基づいて 見直した。観測は CTIO 1m 光子計数装置で行った。最近の発展の中には、 O3 スペクトル型、O 型星の光度基準、 OBN/OBC 変異、より高精度の 晩期 O/ 早期 B 型などがある。 |
ここに集めた 75 標準天体のスペクトル・光度クラス系列には、それらの 例が含まれている。波長域は 3950 - 4750 A の O3 - B3 (-B8 at Ia) スペクトル範囲である。このアトラスは写真乾板に基づく MK アトラスの デジタル版を目指している。 |
OB 星分類の進展 MK 分類は 3900 - 4900 A 写真分光器 100 A/mm (分解能∼ 2 A) のスペクトルに基づいている。Walborn 1970, 1971 は 60 A/mm のスペクトル を調べ、新しい情報を加えた。それらには、 (1)カリーナ星雲中の O 型星にはそれまでの MK 分類よりさらに早期のものがあった。 それらのために、新しく O3 型が加えられた。 (2)光度クラスの基準が以前は O9 より早期の星にはなかった。早期 O 型星にそれを 付け加えた。 (3)OB 星に CNO 組成異常を発見し、OBN, OBC カテゴリーを設けた。 (4)ラインが多い、 O9.5 - B1 星を細分し、O9.7, B0.2, B0.7 を設定した。 同時期に並行して コンティのグループは等値巾に基づく、定量的な分類を行い、両者の 結果はよく一致した。 |
デジタルスペクトル しかし、現在はデジタル検出器が分光の主流である。そこで、 OB 標準星のスペクトルを CTIO 1望遠鏡で撮った。観測した天体は 標準星か、そうでなくとも過去によく観測された天体である。大部分は 見たところ普通の星であるが、 ON/OC 星はリストに含めた。LMC の Ofpe/WN9 星に対する類似のアトラスが Bohannan, Walborn 1989 に載って いる。 |
3.1.O-型星3.1.1.O-型星スペクトル型系列図1−3: O3 - B0 主系列星スペクトル図1−3には O3 - B0 主系列星スペクトルを示す。これらの分類には、 He II λ4541/He I λ4471 と He II λ4200/He I λ4026 が使われる。図のスペクトル型は以前の写真乾板による分類が付けられている。しかし、 この分類は批判的な見直しが必要である。たとえば、 60 A/mm 写真乾板分類では O3 の 特徴は He I 線が見えないことであった。しかし、図1を見ると O3 星 HDE 303308 に は明らかに He I λ4471 線が存在する。したがって、今回のデータでは O3 と O4 の区別は曖昧である。同様に、 O6 V と O6.5 V スペクトルの違いも 明瞭ではない。O8 V と O8.5 V の差はもっとはっきりしている。O7 型は He II λ4541 = He I λ4471 で定義される。同様に定義から O-型主系列星は 強い He II λ4686 吸収線を持つ。添字 (f) は それに加えて N III λλ4634-4640-4642 輝線が存在することを示す。写真乾板でそのように 分類されたスペクトル線の中で、事前知識なしで後者がはっきりと判別できるのは HD 46223 のみで、HD 101190 と 15 Mon は CCD ではまあまああるかなという程度 であった。もっと高い S/N が要求されているらしい。 HD 48279 で N の穏やかな 増加があることは CCD スペクトルではっきり見える。 |
図4、5: O3 - O8f 超巨星スペクトル 図4と5は O3 - O8f 超巨星スペクトルを示す。中間光度の O 型星の代表例 もここで論じる。添字 f* は N IV λ4058 輝線が O3 の 特性線 N III λ4640 輝線より強いことを意味する。f+ は Si IV λλ4089,4116 が Of と同様に輝線であることを示す。図5には 未同定の λλ4485, 4503 が見える。 図6、7: O9 - O9.7 超巨星スペクトル 図6、7には O9 - O9.7 超巨星スペクトルといくつかの ON, OC 型星を示す。 CNO 異常は非常にはっきりと示されている。特に、 N III λ4097 と N III λ4640/C III λ4650 比にそれが現れている。新しく 創設された O9.7 の特徴は He II λ4541 ≈ Si III λ 4552 である。未同定の λλ4485, 4503 は CNO 異常と相関しない。 |
3.1.2.O-型星の光度系列図8: O3 型での光度系列図8には、O3 型での光度系列が示されている。カリーナ星雲の HD 93120A は O3 超巨星の規範星である。このタイプの星は強い N IV λ4058 輝線と N V λλ4604, 4620 吸収線を特徴とする。光度クラス III の HDE 269810 (LMC) ではこれらのラインは中程度の強度になる。Walborn 1982 が 論じているように、O3 の超巨星と巨星との違いは物理的な光度差には対応していない のかも知れない。O3 If* と WN-A スペクトルには関係がある。 |
図9ー11: O6 - O8 型での光度系列 図9ー11にはかなり似た O6 - O8 型での光度系列を示す。主系列では強い He II λ4686 吸収線が見え、しばしば弱い N III λλ4634-4640-4642 輝線を伴う。この組み合わせには ((f)) 記号が付けられる。中間光度クラスでは He II λ4686 吸収線が弱まり、一方 N III 輝線が強くなる。これは (f) 記号が 与えられる。最後に Of 超巨星ではこの両者 He II, N III ラインがどちらも輝線となる。 O9 - B0 では Si IV 吸収線強度が光度基準になる。O8 スペクトルでは He II λ4531/He I λ4387 比が光度効果を示す。 図12,13: O8.5-O9 型での光度系列 図12,13は O8.5-O9、O9.5 - O9.7 型の光度系列を示す。ここでは光度基準は 古典的 MK 分類で与えられた Si IV λλ4089, 4116 吸収線である。 He II λ4686 吸収線は負関係を示す。 |
3.2.1.B 型星のスペクトルタイプ系列図14,15:B-型主系列のスペクトル系列図14と図15では B0.2 - B3 の主系列スペクトル系列を示す。 B0 V は図3と図23に 載っている。早期 B-型星では分類基準がヘリウム線比からシリコンへ移る。初めは Si III λ4552/Si IV λ4089 比、続いて Si II λ4128-4130/Si III λ4552 比が使われる。 図16−19:B0.2 - B0.7 光度系列 図16−19では、B0.2 - B0.7 IV, B0 - B2 III, B1 - B2 II, B0 - B3 Ib 光度系列をそれぞれ示した。図16、17は新しく入れたスペクトル型の重要性を 示している。図19の Ib スペクトルでは Si III λ4552/Si IV λ4089 が B0 から B1 へと増えていく。この変化は図19によく現れている。 図20−22: B0 - B8 Ia 系列 図20−22は B0 - B8 Ia 系列を示す。二つの Ia+ 天体も含んでいる。分類基準は 前と同じなので繰り返さない。 |
3.2.2.B 型星の光度クラス系列図23,24: B0 V - Iab および B0.2 V - III 光度系列図23は B0 V - Iab、図24は B0.2 V - III の光度系列を示す。主な光度 基準は、Si IV λ4089/He I λ4026, 4121, 4144 比、 Si IV λ4116/He I λ4121 比である。 He II λ4686/He I λ4713 の逆相関 効果も使用される。He II λ4686 は B0 Ia でさえも吸収線のままである。図23と 図24を比べると、これら全てを B0 で一括しては光度基準が単調に変化することは 望めないが、 Si III/Si IV 比に基づいて B0.2 を導入すると全ての基準が整合するこ とが判る。 図25、26: B1 型星の光度クラス V - Ia+ 図25、26は B1 型星の光度クラス V - Ia+ を示す。主な光度 基準は、Si III λ4552/He I λ4387 である。O II スペクトルが Ia/Ia+ で目立つ。 図27:B2 V - II 光度系列 図27は B2 V - II 光度系列を示す。B2 Ia 標準星は図21に示されている。 Si III λ4552/He I λ4387 は依然として光度基準として働く。 He I λ4144/He I λ4121 は B2 主系列星では非常に大きい。 |