The ISO/SWS Post-Helium Atlas of Near-Infrared Stellar Spectra


Vandenbussche + 13
2002 AA 390, 1039 - 1048




 アブストラクト

目的 I = MK 分類の拡張 
 2.36 - 4.1 μm, λ/δλ ∼ 1500 の ISO/SWS スペクトル 300 星を示す。観測は液体ヘリウムが無くなった後に行われた。 観測の目的は MK 分類を近赤外波長域に拡張することである。

 目的II = 種族合成モデル用サンプル 
 もう一つの目的は銀河の種族合成モデルに使用するための一様な恒星スペクトルの サンプルを提供することである。

 データ較正と整約 
 論文ではデータ較正と整約を述べる。さらにスペクトル全体の概観を述べる。 定量的分類は早期型星に関しては Lenorzer et al 2002, 晩期型は Vandenbussche et al in prep. で報告する。

 1.イントロ 

スペクトルアトラス
 J,H,K: Meyer et al 1998, Wallace et al 2000, Wallace,Hinkle 1996
 K     Forster Schreiber 2000
 0.5−2.5 μm  Lancon,Wood 2000
  この論文では300星の2.36−4.1μmスペクトルをR=1500− 2000で示す。



 2.天体 

(1)ISO visibility
(2) F>1Jy
(3) スペクトル型と光度クラスを広くカバー
 ――> 293星

 3.観測  

 4.キャリブレーション 

 5.データリダクション 


図1. 距離は大部分Hipparcosから。    WR,C星は推定値



表5.AO より早期星の観測スペクトルの概観

表6.AO より晩期星の観測スペクトルの概観




 6.NIRスペクトルの特徴 

 6.1. OB星 

Lenorzer et al 2002に詳しい。

 H ライン
OB-型巨星、矮星では H 吸収線が見える。
  Bracket series: Brα[4.0523μ]、Brβ[2.6259μ]、
  Pfund series: Pfγ[3.7406μ] - Pf22[2.4036μ]
  Humpherys series: Hu14 [4.0209μ] and higher

O-型超巨星の幾つかは H 輝線を示す。Be 星も H 輝線を示す。


He 
O-型超巨星の幾つかは HeII 輝線 HeII(7-6)[3.0917μm]を示す。

 WR 星
濃い星風からの太い輝線, HeI, HeII, CIII, CIV, [CaIV]3.21μm が目印。
WR/SWS は Morris et al が準備中。



図9.O, WR星のスペクトル



図10.B, Be星 フラックスはJyを3.8μで1にして縦軸に沿ってずらした。


 6.2. AF星 

HI吸収線が支配的である。それらは、
  Bracket series (n=4): Brα[4.0523μ]、Brβ[2.6259μ]、
  Pfund series (n=5): Pfγ[3.7406μ] - Pf22[2.4036μ]
  Humpherys series (n=6): Hu14 [4.0209μ] and higher



Herbig Ae/Be 星(HD190073) ではシェルからの輝線が吸収線を埋めている。


図11 A, F型巨星



図12 A, F型矮星


 6.3 G型星 

様々な原子線が見える。 晩期GになるとH線は弱まり、分子線が現れてくる。
CO 第1倍振動は 2.36 - 2.45 μm に現れる・


図13には G 矮星、図14には G 超巨星を示す。




図13 G型矮星






図14 G型超巨星


 6.4. KM星 

スペクトルには原子線が見えるが、支配的なのは分子線である。
   CO 第1倍振動: 2.36 - 2.45 μm
   OH : 3.02 - 3.4 μm
   H2O : 2.36 - 3.8 μm
   SiO 第1倍振動: > 4 μm


シェルからのダスト放射が光球吸収線を埋めるので、バンド強度の解釈は複雑である。 M 巨星では、周星ガスが吸収や放射に寄与する(辻 1997)。
図15には K0 - M8 の巨星を載せた。

図15 K,M型星:原子線+CO+OH+H2O(2.8−3.8μm)     SiOが現れてくる


 6.5. 炭素星 

C2H2, HCN : 3.05 μm 中心
HCN : 2.5, 3.6, 3.85 μm
C2H2 : 2.6, 3.8 μm
CO 第1倍音
CH 基準振動  3−4μ
CS  第1倍音


  CO 第1倍音 2.5 μm
  CH 基本振動 3 - 4 μm
  CS 第1倍音 4 μm
青木より。

図16 C星  CO, CS, CHの最も強いラインだけが示されている。


 7. 電子的データ 

スペクトルは http://www.edpsciences.fr から採れる。

 8. 結論 

おしまい