Association Membership for the 20 Day Cepheid RU Scuti


Turner
1980 ApJ 240, 137 - 144




 アブストラクト 

 19.7 日セファイド RU Scuti の近傍にある明るい星の UBV 測光と MK スペ クトル型を示す。二つのはっきりした集団が見えてきた:DM = 11.60 (2.09 kpc) で Trumpler 35 星団(t=25 Myr)の中にある近距離群と DM = 12.74 (3.53 kpc) で t=9 Myr の遠距離群である。  赤化量と進化段階の一致から RU Sct は Trumpler 35 群に属する。 OB 星に対する赤化 E(B-V) = 1.03 から ⟨MV⟩ = -5.19 が得られた。明るい背景アソシエイションは WC9 星 MR90 を含んでいるらしい。


 1.イントロダクション 

 長周期セファイドが帰属する可能性のある集合の研究シリーズの第3弾である。 これまでに、 18.9 日 セファイド VY Carinae と Car OB2 アソシエイション、 67 日セファイド S Vulpeculae と Vul OB2 アソシエイションの関係を 調べた。今回は 19.7 日セファイド RU Scuti である。  この変光星は以前に、15' 離れた Trumpler 35 の外側成員でないかと言わ れた。この星はまた暗い未研究の OB 星集団の中にあり、そのメンバーかも知 れない。今回はそれがどちらも正しいことを述べる。


 2.観測 

  17 の高光度星 

 RU Sct (18h39.3m, -4d10')1950 の 1.5° には Nassau, Stephenson 1963 による Luminous Stars in the nOrthern Milky Way による と 17 の高光度星がある。しかし、UBV 測光があるのは3個である。

 観測 

 そこで、 1977 年ラスカンパナスのトロント大学 0.6 m 望遠鏡で4晩に亘り電光測光観測 を行った。装置はパルスカウント測光器と 1P21 フォトメターである。 表1にその結果を示す。
 分光観測 

  14星の分光観測を KPNO 2.1 m, 0.9 m 望遠鏡と ラスカンパナス 0.6 m 望遠鏡で行った。

 スペクトル型分類と色超過 

 それらの M-K スペクトル型分類を行った。そのために、同じセットアップで MK 標準星を観測した。分類の結果は表1の第6列にある。色超過も計算した。





表1.測光結果

 3.解析 


図1.表1の色超過間の関係。

 表1 = E(U-B) と E(B-V) の関係 

 図1に色超過 E(U-B) と E(B-V) の関係をプロットした。 図2には (V-Mv) と E(B-V) の関係をプロットした。

 距離 

 図2には二つの系列が見える。遠い方は O-型星と 早期 B-型超巨星から成る。 R = Av/E(B-V) = 3.0 から、 DM = Vo - Mv = 12.74, D = 3.53 kpc を得る。 近い方は進化の進んだ星が多く、減光も小さい。それらの星に対しては DM = Vo - Mv = 11.60, D = 2.09 kpc を得る。この近い方の集団は距離と 赤化が Trumpler 35 星団の星と一致する。

図2.変動する減光。小丸=Tr35成員。大丸=表1の星。 R = 3.00 ラインは分光星へのフィット。破線=星団 ZAMS データへのフィット。

 Trumpler 35 アソシエイション 

 近い方の O-B 星集団は Trumpler 35 星団を物理的に取り巻いていると考え られ、「Trumpler 35 アソシエイション」のメンバーであろう。





表2.スペクトル型と Mv の関係


図3.表1の星に対する E(B-V) の 0.01 単位の表示。影=銀河面の遮蔽がきつい 箇所。白丸= Tru35 メンバー。黒丸=背景星。略号は、RU = RU Sct, TY = TY Sct, Tr35 = Trumpler 35, WN = MR 89, WC = MR 90.

 色超過マップ 

 図3には表1の星の色超過を 0.01 単位で表示した。最大の色超過は銀河面 に沿った星数の遮蔽が強い所に見られる。

 RU Sct は Tr 35 の成員か? 

 RU Sct の色超過は Pel 1977 が調べ、 E(B-V) = 0.90 - 0.99 を得た。 星団メンバーの視線速度の測定はない。RU Sct の距離も不思議だが論文にない。 RU Sct の 19.7 日と言う周期は年齢 21 - 28 Myr を与える。  図4の CMD の ZAMS ターンオフは B3 であり、 25 Myr という年齢を示唆 する。年齢の一致も RU Sct が星団メンバーであることを支持する。

 RU Sct の性質 

 赤化と星団距離とから RU Sct の絶対等級は Mv = -5.19 と決まった。表3 には RU Sct の観測的性質をまとめた。

図4.赤化補正 HR-図。小丸= Tr 35 成員。大丸=周辺のアソシエイション星。 実線= RU Sct の等級とカラーの変動。


表3.RU Sct の観測パラメター。


 4.議論 

 Dolidze 32 

 RU Sct は Tr35 星団コロナに属すると考えられる。星団中心からの投影距離 は 10 pc である。興味深いことに、この近くには Dolidze 32 星団がある。 この星団の距離は未定であるが、

 TY Sct 

 TY Sct は周期 11.1 日で Tr 35 の成員の可能性が指摘されている。この星 の色超過は RU Sct と同じくらいで成員説を支持する。問題はその視線速度 が RU Sct より 20 km/s プラス側にずれていることである。同じ星団だと 年齢が 1.5 倍なのも、もし不安定帯の第1通過でないなら不自然である。

 二つの WR 星 

 MR 89 (WN) は赤化が大きく、遠方星であろう。MR 90 (WC) は Anon Sct OB と赤化、距離が似ている。この星は図5に示すアソシエイションの HR-図 に自然に入る。このアソシエイションは 9 Myr と評価され、 WC の年齢に あう。これまでアソシエイションに属する WC 星の例はなく一層の研究が 必要である。

図5.背景星の赤化補正 HR-図。 白丸=MR 90。実線= ZAMS.