UV, Visual, and IR Observations of the Peculiar Be Star HD 45677


Sitko, Savage
1980 ApJ 237, 82 - 88




 アブストラクト 

 特異 Be 星 HD 45677 を IUE で観測した。ほぼ同時期に可視、赤外の地上観測も 行った。それらから 0.12 - 12.6 μm SED を作り、星周ダストシェルにおける UV 光から IR 光への変換を調べた。高分解スペクトルからスペクトル型 B2 が示唆され 可視光の結論と合致する。しかし、低電離イオンのラインは予想より強く、 おそらくガス状星周シェルで生まれたものであろう。 スペクトル、特に中間紫外では、に多数の金属輝線が見える。   星周吸収は 2150 A にピークを持つが、減光曲線の形は星間減光と大きく変わる。 HD 45677 の幅の広い赤外輻射は幾つかの炭素星、WC 星と似ており、2150 A の吸収バンドと合わせて考えると、星周グラファイトの存在を示す。 現時点、 JD 2443780、で UV, Opt での光度欠損は赤外超過の量とほぼ等しい。 観測される UV と可視の長期変動は赤外での変動を伴わず、 HD 45677 周囲の ダスト分布が斑点状であることを示す。


 1.イントロダクション 

 HD 45677 

 特異 Be 星 HD 45677 は大きな赤外超過、スペクトル線の時間変動、 可視、赤外の連続光時間変化が特徴である。ANS の far-UV 測光  (Savage et al 1978) から、この星が赤化フリーの星のスペクトルに 対し通常の UV 減光に加え、2200 A 付近でフラックスの谷を持つことが 分かった。その上、赤外超過量は紫外欠落量と同じであった。これは 双方が星周シェルで起きていることを示す。
 IUE 観測 

 この論文は 赤外、可視、紫外の同時期観測から 0.12 - 12.6 μm SED を作り、星周減光と放射を調べる。


 2.観測 




表1.IUE観測記録




表2.地上観測記録

 3.紫外の線スペクトル 




図1.HD 45677 の紫外スペクトル

 4.連続光スペクトル 




図2.HD 45677 の紫外ー赤外スペクトル。点破線=1 μm(ダスト放射も 吸収も弱いだろう)付近で HD 45677 と合わせた赤化ゼロの B2IV 星スペクトル。

 合成スペクトルの特徴 

 図2は HD 45677 の合成スペクトルである。目立つ特徴は、星間減光 に特徴的な、 2150 A 付近のフラックスの窪みである。Savage et al 1978 は、この星への星間減光の寄与を E(B-V) < 0.04 と見積もった。 それに対し、 HD 45677 の可視、紫外フラックスは大きく削られている。

 時間変動 

 図2には以前の観測値もプロットした。明らかに HD 45677 は数年の スケールで時間変動している。可視データはフラックスの永年下降を 示す。しかし赤外データは安定しているようだ。ダストの分布が斑状な ためかも知れない。

 赤外超過 

 HD 45677 の幅広で構造のない赤外放射は炭素星や WC 星と似る。しかし、 炭素リッチ星に良く見られ、SiC に帰せられている 11 μm 放射帯はない。 一方、2150 A 吸収帯はおそらく星間減光のグラファイトと予想される吸収帯 と類似起源であろう。以上から炭素粒子、おそらくグラファイト、がダスト シェルの主成分であろう。
 星周吸収曲線 

 図3には紫外域星周吸収曲線 E(λ-3000)を示す。この曲線は IUE データのみを使って造られた。「減光」でなく「吸収」としたのは、 星周シェルが分光器のアパーチャ内に含まれているからである。この場合、 散乱光は検出される。対照的に、星間空間の場合、散乱光と吸収光は 光路から除かれる。図3の吸収曲線は図2に示す B2 IV SED を用いて作られた。 λ < 2000 A の He II, N I, Fe II 輝線を含む部分は省いた。 λ > 2400 A の 輝線混入を防ぐため、図4に示すような輝線が ない波長域を用いた。そのような波長域は低分散スペクトルでは局所的な 窪みとして現れる。

 吸収曲線の著しい特徴 

 吸収曲線の著しい特徴は、 λ-1 = 4.6 付近のピークに 続く λ-1 ≤ 4.2 での平坦部である。 λ-1 > 5 での曲線が星間減光とよく似ており、 またピーク位置が全く同じではないが近い位置にあるのに対し、 λ-1 < 5 での曲線は星間減光からかなりずれている。 色々な可能性を排除して残るのは、星周ダスト自体である。



図3.HD 45677 の星周減光曲線。白丸=長波長分光器の 25 A 平均 から。黒丸=短波長分光器の 25 A 平均から。十字=輝線混入の少ない 波長域データ。星間減光の補正はないが小さい。実線= E(B-V) 0.25 の 星間減光曲線。  

図4.HD 45677 の 2603 - 2649 A 高分散スペクトル。輝線の混入が 強い領域と弱い領域との差が良く分かる。輝線のないところは λ-1 < 4.6 での吸収を決めるのに使用される。 長波長、短波長端の落下はエシェルブレイジング関数の効果。