Red GIant Branch Stars: The Theoretical Framework (Review)


Salaris, Cassisi, Weiss
2002 PASP 114, 375 - 402




 アブストラクト 

 RGB 星の有効温度、カラー、光度、表面組成の予言は個々星に分解できない 天体からの放射光、星団や銀河の CMD, を天体物理的に解釈する際に必要な道具である。 一方、観測との比較は赤色巨星モデルの正確さに対する厳しい試験となる。  銀河系球状星団の赤色巨星モデルの現状を紹介し、モデルに入力する物理量の 不確定性と、モデル計算での物理的仮定の妥当性をを詳細に議論する。観測と理論との 比較には、RGB "bump", TRGB 光度、外層組成を使用する。


 2.RGB 進化 

 2.1.RGB Tip までの進化 

 第1ドレッジアップ 

 RGB 星は大体 2 Mo 以下の星で約 0.1 Mo の厚い水素燃焼殻に覆われたヘリ ウム核を持つ。この時期、対流外層は次第に深くなり、水素燃焼殻は 0.001 Mo にまで薄くなる。この結果、表面対流層の底が水素中心核燃焼生成物領域にまで 達する。このため表面組成に変化が生じる。これが第1ドレッジアップである。 第1ドレッジアップではヘリウムの表面組成が増加する。 N/C 比も上がる。 しかし、注意しておくが、表面対流層の内側と外側では水素組成に段差がある。

 ヘリウム核が以前の対流層底に到達 

 対流層が最も深くなるのは RGB の根本付近で、以降は進化と共に対流層の底は 上方に退いていく。一方、内部ではヘリウム核が成長を続ける。そして、ついに 以前表面対流層が存在した最深部に到達する。

 RGB bump 

 突然燃料水素の増加に直面した星は、表面光度の低下させ、進化速度を緩め るという対応を採る。進化が遅くなる結果、そこには星が溜まる。これが RGB "bump" である。.

図1.M = 1 Mo, Z=0.0004, Y=0.231 の星の進化。