New Light on Faint Stars II. A Photometric Study of the Low Luminosity Main Sequence


Reid, N., Gilmore
1982 MN 201, 73 - 94




 アブストラクト

 Mv = +19 までの主系列光度関数を純粋に測光的手法で導いた。 V, R, I シュミット乾板の COSMOS 測定を行った。これから 南銀極方向 18.24 deg2 の I = 17.0 までの完全サンプルを得た。Mv/V-I および、 Mv/I-K 関係による測光視差から、+9 ≤ Mv ≤ +19 範囲の光度関数が 得られた。暗い星の超過は見られない。太陽近傍のミッシングマスは Mv = 17 より明るい星にはない。

 1.イントロ 

 赤に強い乾板とシュミット望遠鏡、COSMOS自動測定の組み合わせにより 低光度の赤い星を深い等級まで探査できるようになった。それにより、円盤と ハローの区別と信頼できる距離の決定が可能となった。ここでは 18.24 deg2 での I = 17.0 までの南銀極観測を報告する。この観測で太陽から 25 pc 以内では Mv = +19 までの星は全て観測される。これにより運動学的なバイアスが 掛からない主系列光度関数の評価が可能となった。同様に密度則を絶対光度毎に 導いた。



 2.標準星 

 2.1.現在のデータの比較 

 2.2.標準星の写真等級への拡張 

 2.3.R,I系列の拡張 

 3.写真乾板の較正 

 4.データ整約 




図5.三角視差が確かな 202 星から導いた可視絶対等級とカラーの関係。 実線= Mv/V-I 関係。破線= Mv/R-I 関係。

 5.絶対等級 - カラー関係 

 測光と三角視差の双方が信頼できる約 200 星からこの論文で用いる Mv/R-I 関係を導いた。この関係と Reid 1982 で導かれた Mv/V-I 関係を図5に示す。下の付録Bにはそのスプラインフィット を表にして示した。非常に赤い星になると R 等級でさえも精度が怪しくなる。 絶対等級の較正にはそこで、赤外測光を使用した。そのような星には Mv/I-K 関係 が望ましい。赤外データのある星は少ない。文献値を同じ測光システムに変換して 得た関係を図6に示す。

図6.三角視差が確かで赤外データのある 52 星から導いた可視絶対等級と (I-K) カラー の関係。白丸は準矮星。



付録B: スプライン近似による絶対等級ーカラー関係

 6.以前の結果の再評価 

 最近多くの赤色矮星サーベイが行われ、数密度超過を発見したと主張しているが、 みな怪しい。



       表4.南銀極 18.24 deg2 での等級ー色格子上の星数分布。

 7.光電測光で決めた光度関数 

 銀河の混入とマルムキストバイアス 

 表4に示した等級・カラー格子上の星数分布と、付録Bの Mv/(V-I) 関係を 用いて、絶対等級、距離、空間密度を求めることが可能になる。その作業の開始 前に、銀河の混入とマルムキストバイアスの評価が必要である。銀河混入は第4章 で 2 % 以下と判った。マルムキスト補正は 0.08 等である。

 主系列星の仮定 

 主系列星以外の天体を検討すると、

(1)準矮星: この数密度は主系列星の 0.005 倍で影響はない。

(2)白色矮星: V = 20 より明るい白色矮星の数は < 6 deg-2 でこれも影響ない。

(3)水平枝星: 青いので我々の赤い星解析には効かない。

(4)赤色巨星: 1.0 ≤ V - I ≤ 1.8, V ≤ 14 では実際に支配的な 星である。我々は、我々の星の光度クラス分類を行っていない。従って、自信を持って 赤色巨星を我々のサンプルから除去できない。Jones 1975 は銀極方向で B = 15 より 暗い巨星は殆ど全く知られていないと言っている。そこで、我々は一時的に保守的立場 を取って、 G, K 型星を考察から除く事にする。

(4)の結果、Mv = +8.5 より明るい星の光度関数は導けない。しかし、それら明るい星 に関しては既に Wielen 1974 や McCuskey 1966 の研究がある。

 光度関数の構成 

 我々の主目的は非常に暗い星の空間密度であるから、 I ≤ 17.0 の星を全て考 える。この見かけ等級限界は乾板限界の2等上であり、完全性と精度が両立する 設定である。


図7.黒丸=本論文の光度関数。実線= 20 pc 以内の Wielen 光度関数。Mv = 16 より明るい星に対する黒丸は 100 pc 以内のサンプルに基づいており、密度勾配を 考えると, log Φ を 0.11 上げる必要がある。暗い方は補正の必要はない。


 V - I から求めた測光視差が 100 pc 以内で、Mv = +8.5 より暗い星を選ぶと 97 星残った。これらの内非常に赤い Mv > +14.5 (V - I > 3.3) の星を AAT 3.9m 鏡で JHK 測光を行った。それらの星に Mv/I-K 関係を適用する。その結果 9 星を除く事ができた。最終的には従って 89 星が 100 pc 以内の星として残った。結果 は図7に示されている。



 8.議論 

 図7の光度関数 

 図7の光度関数は Wielen のそれと良い一致を示す。我々の光度関数は 100 pc までの星から求めたものであり、密度勾配を考慮すると log Φ で 0.11 程度上げるべきであろう。

 光度関数の極大 

 光度関数は Mv = +10 - +14 のあたりで緩い極大を示す。観測誤差を考慮すると それ以上に踏み込めない。
 結論 

 しかし、暗い星の方で超過は認められない。