アブストラクト対物プリズム探査で見つけた赤色矮星の光電測光により、等級制限の完全サンプル を得た。三角視差のある星の等級を Kron - Cousins システムで観測し、 そこから決めた測光視差を適用して、上記サンプルの星の空間密度を Mv = +7 から Mv = +12 に渡って求めた。結果として得られた光度関数は Luyten や Wielen の 光度関数と合致した。運動学を解析した結果、低速度 M 矮星が多い証拠は見つから なかった。 |
1.イントロ運動学的な銀河面密度(Oort 1965)と銀河面成分密度の和が一致しない問題から M 型矮星の密度が高いのではないかという疑問が議論されてきた。この論文では 南銀極方向で V = 19 までの深いUKシュミット多色写真(BVRI)観測を報告する。 Smethells は対物プリズム 1720 deg2 により 12 等までの M 矮星を 探査した。Weistrop 1980 はその一部の光電測光を行った。その結果は Gliese 1981 により、Mv - スペクトル型関係(Gliese 1971)の補正に使われた。この論文では 未観測の星の測光結果を報告する。そして、測光視差から空間密度を導く。 |
2.1.観測光電測光観測は SAAO 1m、50cm望遠鏡で行われた。 2.2.絶対等級 - カラー関係正確な絶対等級 - カラー関係には次の3つの条件が必要である。(1)信頼できる三角視差が得られている。 (2)カラーが正しく決められている。 (3)Lutz-Kelker 補正を正しく行う。 Cousins 1980 は Gliese カタログ (Gliese 1969, Gliese, Jahreiss 1979) の 多くの星の測光を行った。しかし、173/493 星のみが上の3条件を満たしている。 そこに低光度主系列星 30 個を加え、図2の関係が得られた。曲線は三次の スプライン関数である。この関係は円盤の主系列星にのみ有効である。 |
![]() 図2.可視絶対等級と色指数の関係。破線は(B-V) に対して、一点鎖線は(V-K) KC、実線は(V-I)KC に対して。点は主系列星、黒丸は 準矮星の (V-I)KC がプロットされている。 |
123/186 Smethells リスト星がサザランドで光電測光された。残りの星は Weistrop 1980 が観測済みである。 |
4.1.二色関係4.2.光度関数表6には Smethells 完全サンプルに対する絶対等級と見かけ等級の分布が 与えられている。図5を見ると分かるように、Luyten の関数を大きく上回る 結果は得られなかった。![]() 表6.Smethells 完全サンプルに対する絶対等級と見かけ等級の分布 | ![]() 図5.黒丸=この論文の主系列光度関数。短破線=Smethells, 長破線=Sanduleak 1976, 一点破線=Wielen, 実線=Luyten |