反射星雲中の星の測光および分光観測を行った。二色図上での赤化勾配は正常で 早期型星よりも晩期型星に対して急であることが判った。 | データからこれらの天体の距離と空間分布を求めた。観測からは約15の反射星雲の アソシエイションが現れた。はっきりした R-アソシエイションの帯がオリオン腕の縁 に沿って白鳥座から一角獣座へ伸びている。 |
反射星雲の発見 Slipher 1913 はメローペ星雲のスペクトルを調べ、それがプレアデス中の 明るい星のスペクトルとそっくりであることに気付いた。1922 にハッブルは 銀河系星雲の明るさの起源に関する画期的な論文 Hubble 1922a, 1922b を 発表し、そこで星雲と中心星の関係を調べた。 反射星雲と銀河系構造 反射星雲を銀河系構造の研究に使おうとしたのは Cederblad 1946 であるが、 その空間分布は何の特徴も見せなかった。これは天体の選択が一様でなく、距離の 見積もりが悪かったためである。 |
ven den Bergh の系統的探査 1954 に公開されたパロマ―アトラスを用い、Struve, Straka 1962, Dorschner, Gurtler 1964, 1965 は反射星雲のサーベイを行った。 van den Bergh 1966 は δ > -33 の星雲内の BD, CD 星を調べた。 延長研究 この論文はそれらの 188 星の UBV 測光を行い、分光データからスペクトル 分類を与えることである。 |
二色図 図1には観測星の2色図を示す。固有カラーの曲線は Schmidt-Kaler 1965 から採った。この線は B-V = [-0.30, 0.00] クラスV B-V = [0.00, 0.90] 明るい超巨星 B-V = [0.90, ] クラス III 巨星 の寄せ集めである。この図から、反射星雲内の星が様々な赤化を受けた早期型 星であることが判る。 表2=観測結果 表2に観測結果を示す。アステリスクは文献からの引用である。文献元は UBV はケースカタログ、MK 分類は Jaschek et al 1964, WHγ は Walker, Hodge 1966 である。 表の第1列は van den Bergh 1966 カタログ中の星番号、第2列= BD, HD 番号。 |
![]() 図1.観測星の2色図。二本の限界赤化直線と青い方の限界が示されている。 |
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3.赤化ラインの勾配これまで調べられた勾配多くの研究から E(B-V)/E(U-B) = 0.7 (早期型星)、1.2 (K-, M-型星)で あるとされている。しかし、後者の値は怪しい。 図1の星は MK 分類から固有カラーが分かっているので、個々の星に対する 赤化を求めることが出来る。図2にはこうして求めた色超過をプロットした。 図2(a) は O-, B-, A- 型星である。その勾配 X は、X = 0.71±0.02 であった。一方、図2(b) の K-, M-型星では X = 0.90±0.11 であった。 ![]() 図2.上:早期型星の赤化直線。勾配 0.71. 下:晩期型星。勾配 0.90. |
4.絶対等級Mv(Hγ) と Mv(ST)Mv(Hγ) は Hγ の等値巾から Mv を決める。スペクトル型から Mv を決めるのは Mv(ST)である。早期型星では (U-B)o に基づいて Mv を 決められる。図3には Mv(ST) と Mv(Hγ) の関係を示す。MK 分類が ない B-型星に対しては主系列星の等級を使用した。B-型星の 70 % は主系列星 なのでこの仮定はまあ認められる。 表3=採用した絶対等級と距離 表3にはこうして求めた3種類の Mv とその重み付き平均を載せた。それを用いて 計算した距離指数も載せた。Av/E(B-V) = 3.0 を使用した。 ![]() 図3.Hγ と 分光絶対等級の関係。 |
van den Bergh 1966 は反射星雲の天空上の分布から、それらがアソシエイションを成しているの ではないかと指摘した。彼はまた、その場所が OB-アソシエイション、T-アソ シエイションの縁に位置することも注意した。今回、星までの距離がわかった ので、銀河面上の分布を議論できるようになった。位置を調べると、 70 % の 星が 15 の R-アソシエイションに属することが判った。アソシエイション毎に 平均距離を計算した結果を表4に示す。l = [245, 345] 区間は今回扱って いないことを注意する。 |
![]() 表4.R-アソシエイションの分布 |
Sco R1 ![]() Sgr R1 ![]() Cyg R1 ![]() Cep R1 ![]() CepR2 ![]() Cas R1 ![]() Cam R1 ![]() Per R1 ![]() |
Tau R1 ![]() Tau R2 ![]() Tau-Ori R1 ![]() Ori R1/R2 ![]() Mon R1 ![]() Mon R2 ![]() CMa R1 ![]() |
![]() 図4.灰丸= R-アソシエイション。白丸= OB-アソシエイション。 図4には、 R-アソシエイションが l = 75 (白鳥座)から l = 220(一角獣座) の方向に帯状に並んでいるのが示されている。星形成帯はペルセウス方向では 太陽から 350 pc しか離れていない。これはオリオン腕の内側縁と考えられる。 Tau R1/R2 と Sco R1 はこの帯から著しく内側に外れている。 |
![]() 図5.ファインダーチャート |
R-アソシエイションは OB-アソシエイションのような若い天体に付随して 存在することが示された。しかし、R-アソシエイションが OB-アソシエイ ションの中に常に見出されるわけではない。 | また、 R-アソシエイションが渦状腕の追尾天体として有用であることも分かった。 |